カブスの今オフ最優先課題、投手層を厚くすること

November 12th, 2025

カブスの編成本部長ジェド・ホイヤーは11日、今週もし試合があるなら、野手は十分そろっていると冗談を飛ばした。カイル・タッカーがフリーエージェント(FA)となったとはいえ、シカゴにはベテランと若手を合わせて先発野手の全ポジションに人材がいる。

では、投手はどうか。

「そこがこのオフの焦点になる」とホイヤー編成本部長はラスベガスのコスモポリタンで行われているGM会議で語った。

「トレードを探るし、FAも探る。市場上位の選手も見るし、マイナーFAも見る」

先発とブルペンの両方でカブスは2026年に向け投手の上積みが必要だ。救援陣には複数の空席があり、ホイヤーは複数年契約より、価値重視の補強で埋める傾向がある。先発投手の補強は今後、数カ月のホットストーブで見出しになる動きを見せる可能性が高い。

一連のオプション判断で左腕の今永昇太(32)がFA市場に入る前から、先発陣の上積みは急務だった。カブスは今永の再契約を引き続き探る。今永は11月18日までに、シカゴに残留するための1年2202万5000ドル(約33億4780万円)のクオリファイング・オファーを受諾するかどうか決める必要がある。その一方で、先発ローテ強化へ複数の補強策がある。

「考え得る選択肢はすべて探る」とホイヤー編成本部長。

「投手に関してはFA市場だけに絞らない。トレード市場も見ることになるだろう。実現するかどうかは分からないが、FAは何人かと契約することになるはずだ。トレード市場については、まだ読めない」

現状、カブスは2026年に向けてマシュー・ボイド、ジェイムソン・タイヨン、コリン・レイは契約が残る。ジャスティン・スティール(年俸調停権あり)は左肘手術からの復帰過程にあり、すでに投球を再開しており、シーズン序盤の復帰を目標にしている。ケイド・ホートンはナ・リーグ新人王の次点となったばかりでハビアー・アサド、ベン・ブラウン、ジョーダン・ウィックスも内部の先発候補となる。

カブスはここにさらに上積みが必要だ。

先発投手市場の「上位層」には、FAのディラン・シース、マイケル・キング(とものパドレス)、フランバー・バルデス(アストロズ)、レンジャー・スアレス(フィリーズ)、ザック・ギャレン(ダイヤモンドバックス)が含まれる。いずれも前所属球団からクオリファイング・オファー(QO)を受けており、拒否して新球団と契約した場合はドラフト指名権の補償が発生する。ブランドン・ウッドラフもブリュワーズからQOを提示されている。カブスにとって、FAにQOが付いていることが補強の妨げになることはない見込みだ。

トレード面では、カブスは昨夏のトレード期限前に、マッケンジー・ゴア(ナショナルズ)、ジョー・ライアン(ツインズ)、サンディ・アルカンタラ(マーリンズ)、エドワード・カブレラ(マーリンズ)らの獲得可能性を探る交渉を行っている。これら過去のやり取りは、この冬に再交渉する際の土台になり得る。

カブスのもう一つの選択肢は、国際市場に目を向けることだ。とりわけ、西武ライオンズの右腕、今井達也(27)がポスティングされる最近のニュースを受け、可能性が広がっている。カブスは海外スカウティングの体制とネットワークを強化しており、ダルビッシュ有、鈴木誠也、今永昇太らで成果を上げてきた実績は、MLB移籍を目指す選手にとって依然として魅力的な移籍先となる助けになり得る。

「優れた選手が多い」とホイヤーは国際市場について語った。

「日本からも優れた選手が多くやって来る。韓国からも良い選手が来る。アメリカ人選手で海外から戻ってくる選手も少なくない。だから、間違いなくそうした市場に関与していくつもりだ」

今永はカブスで活躍した選手の1人で、オールスターに選出され、2024年にはナ・リーグのサイ・ヤング賞と新人王の投票で票を得た。今季は負傷と不安定さに悩まされた時期もあったが、それでもシカゴのポストシーズン進出に欠かせない存在だった。

「この2年の全体像を見れば、非常に優れていた」とホイヤー編成本部長は語った。

またホイヤーは、カブスが今永の3年の球団オプションを行使しなかった判断について「昇太への評価とは無関係だ」と補足した。

「契約構造が複雑だった」と今永の当初の契約についてホイヤー。

「その構造を踏まえると、最終的に球団オプションを行使するのは適切ではないと判断した。彼(今永)もすぐに、プレーヤーオプションを選ぶのは適切ではないと感じた。どちらの側にもわだかまりはない。前に進むだけだ」

そして前を向けば、カブスはこのオフに先発ローテを補強する必要がある。

「今オフは積極的に動くつもりだ。そのまま受け取ってくれて構わない」と勝負をかける意気込みを示した。