逆境を糧に成長する22歳トン、パドレスに5回8三振で2勝目

「スマブラ」でつながったベテラン左腕マナイアとの絆

September 18th, 2025

メッツ6-1パドレス】ニューヨーク/シティフィールド、9月18日(日本時間19日)

メジャー昇格以降、会心の投球を続けていたジョナ・トンだったが、レンジャース相手の前回登板では、4安打3四球で6失点を喫し、初回を投げきれずに降板。思わず感情的になる場面を見せた。

そんなルーキーを支えたのが、ベテラン左腕のショーン・マナイアだ。ダグアウトでトンに近寄ると、その日のレンジャーズ先発でサイ・ヤング賞を2度受賞したジェイコブ・デグロムを指差しながら話しかけた。

「彼だって同じ経験をしてきた。あそこにいる全員がこういう日を過ごしてきたんだ」

22歳の右腕にとっては、この経験は大きな糧になっただろう。コーチと共に登板を見直し、修正を図った。その成果が、この日の登板に表れた。

5回、8三振、4安打、1失点でパドレス打線を封じ、6-1の勝利に貢献。許した安打は単打のみで、唯一の失点も不運が絡んだものであり、自責点はついていない。残すは9試合。激しさを増すナ・リーグのワイルドカード争いにおいて、チームを救う活躍だった。

「もう残りは少ない。すべての試合が大事だ」とカルロス・メンドーサ監督は語る。

打線も新人を援護した。初回にピート・アロンソが4試合連続となる37号ソロを放つと、三回にはブランドン・ニモが24号3ラン。今月初めに8連敗したものの、直近4試合で3勝と持ち直している。

トンは初回にピンチを迎えるも、マニー・マチャドの二塁への走塁をニモが好送球でアウトにし、ピンチを防いだ。最後の8人の打者を連続で打ち取り、持ち味の直球を武器に力強い投球を見せた。

トンはマイナー時代から、苦しい試合を乗り越え、次の登板に生かしてきた。昨季、1Aで頭角を表し、ハイAに昇格するも、わずか1イニングで5失点するなど順風満帆ではなかった。しかし、今回と同様、修正に取り組み、次の登板、そのまた次の登板と改善を繰り返し、12試合で防御率3.38を記録。有望株としての評価を確立させた。

「若手に求めるのはそこだ。困難な瞬間が必ず訪れるからこそ、それをどう乗り越えるかを見せてほしい」とメッツの育成担当副社長アンディ・グリーンは語った。

「トンはその力があることを示してきた。そういった経験を頼りに再びマウンドに立ち、ストライクゾーンに投げ込み、持ち味を発揮できることを知っている」

こうしたトンの成長は、チームメイトの支えなしでは語れない。今季初め、マナイアが腹斜筋のリハビリを行っている際に2人は出会うと、趣味の話になり、トンは恥ずかしそうに「大乱闘スマッシュブラザーズ」と回答。これを聞いたマナイアの目が輝き、友情が芽生えた。33歳の左腕は、トンにとって単なるベテラン以上に、信頼できる仲間になっている。

「クラブハウスでのサポートには本当に感謝している」とトンは語った。

ポストシーズンに進出すれば、トンには間違いなく出番がやってくるだろう。22歳の若武者が、ワンランク上の舞台でどのような投球ができるかは分からない。しかし、いかなる結果になったとしても、メッツはそれを糧にトンがさらに大きな投手に成長することを知っている。