フランシスコ・リンドアが左右両打席で本塁打を放ち、デービッド・ピーターソンが好投を見せた試合で、一番の注目を集めたのは、フアン・ソトの打席だった。
三回、2死一塁の場面で迎えた打席。ソトは適時二塁打を右中間へ放ち、17打席0安打のスランプを脱出。さらに六回にもセンター前へのヒットを放ち、直近3週間で2度目となるマルチヒットを記録した。
「彼はこれからどんどん調子を上げていくだろう」とリンドアは語る。「外野からは『ソトはどこだ』なんて声も聞こえるけど、僕らは彼のバッティングを見てきている。打席での内容は良かったし、今日はそれにやっと結果がついてきただけだよ」
ソトにとって、今日の結果はただの1打点以上の意味を持つ。今季からメッツに加入した中で、開幕から2カ月間、鳴り物入りでの移籍となったにも関わらず低迷が続き、批判の的となってきた。
この日の試合前には球団編成本部長のデビッド・スターンズが約24分間の記者会見に応じたが、最初の8問中7問がソトに関する内容だった。
「本人も今の成績では納得していないと思う」とスターンズは語る。「大きな契約を結んだ選手には結果が早く求められる。それは当然のことだし、ソトも理解しているはずだ」
4月はまだしも、5月以降は明らかに打席での積極性を欠き、早い段階で難しいカウントになる場面が増えていた。
「彼が今ちょっと無理をしすぎていると思うか?ああ、たぶんその通りだと思うよ」と、スターンズは金曜の試合前に語った。
打順も一度は中軸から下げられた。ニューヨークのブーイング、ボストン遠征での走塁問題、ヤンキースとのサブウェイシリーズ後の報道陣からの早退など、フィールド外での出来事も彼を助けるものとはならなかっただろう。
しかし、そんな中でも本人は冷静だった。
「いつ打てるようになるかは分からない。でも、努力を続けるだけだ」とソトは語る。
打撃だけでなく、この日は七回にライト前方のフライをランニングキャッチする好守も披露。六回にはライト線へのタイムリー性の当たりを懸命に追い、追加点を防いだ。このプレーに対し、カルロス・メンドーサ監督も高く評価した。
一夜にして批判が消えるわけではない。だが、今のソトに必要なのは、こうした「兆し」だろう。
「今月の彼は、皆が思い描く『フアン・ソト』ではないだろう」とスターンズは語る。「でも、どんなスター選手にも(調子お)波はある。われわれの仕事は、その波を乗り越えさせる手助けをすることだ」
