アーロン・ジャッジ、打席で「何かをしない」優秀さとは?

But the 6-foot-7 slugger isn't using them how you might have expected

May 30th, 2026

アーロン・ジャッジ(34)は、新しいABS(自動ボール・ストライクのチャレンジ)システムの主な恩恵を受ける選手の1人と広く予想されていた。今春のヤンキースのキャンプで誰もがその話をしていたからだ。6フィート7インチ(約201センチ)の長身に審判たちは長い間、ジャッジに対してストライクゾーン下限の判定に苦労しており、それを正しく判定できる機能は興味深いものになりそうだった。

ジャッジは2月に「楽しみにしている」と語っていた。

「僕は審判ではないから、少し奇妙な感覚になると思う。僕は打者だ。バッターボックスに入って『これはボールか?あれはストライクか?』と考えようとしたことなんて1度もない。打てると感じたら、それはストライクだと感じている」

捕手のオースティン・ウェルズ(26)も「ジャッジは球界で最も誤審の多いストライクゾーンを持つ選手の1人だ。とても背が高いから、常に膝より下の球をストライクと判定されている」と同調した。「それは厳しい。長い間そのように判定されてきたから、ジャッジにとってはより難しいかもしれないが、このシステムから恩恵を受けることは分かっている」と考えを明かした。

シーズンに入って2カ月、それは事実となっている。ただ、予想と少し違う。

ジャッジはチャレンジを行う際、確かに効果的であり、7度の試みで6度の判定を覆している。これは86%の成功率であり、素晴らしい数字だが、同時に珍しいことでもある。28日(日本時間29日)まで、他の75人の打者がジャッジと同じかそれ以上の回数のチャレンジを行っている。ジャッジはこのシステムを控えめに使用しており、チャレンジは3月に1度、4月と5月にそれぞれ3度ずつだ。

しかし同時に、これまで何度か詳しく説明してきたように、これには単なるチャレンジ成功率以上の意味がある。すべてのチャレンジが平等に作られているわけではない。なぜなら、投球コースや試合状況を考慮する必要があるからだ。チャレンジしなかった機会も考慮に入れなければならない。例えば、仮に5度の機会で5度成功したとすれば、完璧な100%の成功率を得られるが、同時に何十回もの機会を逃す結果になるかもしれない。

そこでStatcast(スタットキャスト)の予想モデルに対する「判定覆し率」の出番となる。この視点で見ると、ジャッジは実際、打者陣においてナショナルズのCJ・エイブラムス(25)に次いで、球界で2番目に多くのABSの価値を生み出している。

Overturns vs. expected includes context of pitch location, game situation, and chances not challenged.

このデータが示す事実として、ジャッジが直面した機会(チャレンジした投球としなかった投球の両方)に基づくと、平均的なMLBの打者は10回のチャレンジを行い、4勝6敗の成績になることが予想される。ジャッジはそれより少し消極的だが、改めて言うまでもなく、成績は6勝1敗だ。平均的な打者よりも2勝多く、5敗少ない。差し引きプラス7となり、いくつかの小数や四捨五入を考慮すれば、全体で2位の数字となる。

では、それは具体的にどういうことか。5月上旬、オリオールズ戦でゾーンのはるか下の球を見逃し三振と判定された際にジャッジが行ったように、チャレンジを成功させることで明確な価値を生み出すことができる。

投球コース(ゾーンから1.3インチ=3.3センチ下)と試合状況(試合終了となる可能性のある見逃し三振)に基づくと、それは非常に価値のあるチャレンジだ。その「予想される勝利」の枠でジャッジは+0.64を獲得する。なぜなら、平均的な打者がその状況でその投球に対してチャレンジする頻度がそれくらいだからだ。具体的には64%の頻度であり、常に判定を覆している。

今季ジャッジが直面したチャレンジ可能な全球、つまり139球すべてについて同じ計算ができる。ジャッジがヘルメットを叩いてチャレンジを要求しなかった投球に注目しよう。

4月にレンジャー・スアレス(30)から見逃しストライクと判定された投球へのチャレンジを見送ったことについてはどうか。まったく影響はない。なぜなら明らかなストライクであり、誰もこれにチャレンジしないからだ。チャレンジ率0%は、打者への影響がゼロであることを意味する。

では、イニングの3アウト目となるジェフリー・スプリングス(33)からの見逃し三振に対して、チャレンジを見送ったことについてはどうか。

その状況でその投球に対してチャレンジが行われる頻度は36%であり、正しくボールと判定された投球だからこそ、その100%が失敗に終わる。失敗に終わるチャレンジであるため、「予想される敗北」の枠に+0.36(36%)を入れる。他の多くの打者がチャレンジして失敗している状況で、適切にチャレンジを見送り、敗北を回避したことで、いかに周囲をリードしているかが分かるだろう。

もちろん、これは逆のパターンにも当てはまる。5月3日(同4日)のオリオールズ戦でリコ・ガルシア(32)からの外角に外れた見逃し三振に対し、ジャッジはチャレンジしないことを選択した。少なくとも、バッターボックスに立たずテレビを見ている僕らの目には、これは明らかにボールであり、その状況でその投球に対して、打者は53%の頻度でチャレンジを要求している。判定は覆っていたはずなので、「予想される勝利」の枠に+0.53を入れる。チャレンジを実行しなかったため、それは獲得できなかった価値となる。

言い換えれば、今季ジャッジが直面した投球のうち、(A)ジャッジがチャレンジせず、(B)もしチャレンジしていれば判定が覆っていた投球は、わずか17球しかなかった。そのうちのいくつかは、上記のガルシアの例のようにヤンキースに打撃を与えた。しかし大半はそうではなかった。例えば、2死走者なしで、リード・デトマーズ(26)の初球が誤ってストライクと判定された事実にジャッジがチャレンジしなかったからといって、誰が気にするだろうか? そこでわざわざヘルメットを叩いてチャレンジする打者はわずか5%であり、そのためジャッジが失う価値は非常に小さい。

チャレンジを見送って本当に意味のある価値を失った投球は、ガルシアの例と、19日(同20日)のディラン・シース(30)に対するフルカウントでの同様の例の2つだけだ。残りはどうか? 実際はどうでもいいものばかりだ。サブウェイ・シリーズでクレイ・ホームズ(33)が受けたような、一回の初球の判定に対するチャレンジを見ることはないだろう。

シーズン開幕前に大半の人が抱いていた期待を考慮すると、「覆る可能性があった17球」が多くないように聞こえるなら、僕らも同感だ。

マイク・トラウト(34)が最多の30球。一回にはチャレンジのリスクを冒さないと仮定すれば、ジャッジの数はさらに少なくなり、残りのイニングでの「見逃した」投球は、2カ月以上の期間でわずか11球に減る。

今季トラウトが一回以降に800球以上の投球を見ている事実を考慮すると、決して多くはない。では、ジャッジにとって大きな変化をもたらすという期待があった事実を踏まえると、どう解釈できるか?

その一部は、(一回を除く)見逃しを示したこの画像から見て取れる。すべてがゾーンの下限にあるわけではない。ゾーンの周囲全体に散らばっている。高めの投球さえある。

この一部については、2025年の3Aのデータを精査し、少なくともマイナーリーグにおいて、ABSから最も恩恵を受けた選手は最も大柄な選手たちではなく、最も小柄な選手たちだという見解に至った2月の時点で明確になっていたと考えている。

メジャーリーグのこれまでの状況を確認しても、その傾向は維持されている。ここでは打者の積極性よりも正確性を重視しているため、少なくとも判定覆し率を見る限りはそうだ。

  • 小柄(5フィート9インチ、約175.3センチ以下):48%
  • 中柄(5フィート10インチから6フィート2インチ、約177.8センチから188.0センチ):46%
  • 大柄(6フィート3インチ、約190.5センチ以上):45%

これはすべて、同じ6フィート7インチ(約201センチ)の外野手であるジェームズ・ウッド(23)がチャレンジを大の苦手としている(10回中3回成功の23%)ことに起因するわけではないが、マイナスに働くこともなく、単に大きなストライクゾーンを持っているからといって、これが突然の恩恵になるわけではないという考えを後押ししている。

結局、ジャッジは対処すべき誤審にそれほど多く直面していない。確かに、もっと積極的にいってほしい投球は1、2球あったし、「君はアーロン・ジャッジだ。チームメートのためにチャレンジを温存するな」という主張にも一理ある。しかし、ジャッジが賢明にも見送ったチャレンジ可能な投球の方が多かった。

ジャッジに対するストライクゾーンの判定は、ほぼ正確に行われている。ジャッジはどの投球にチャレンジすべきかだけでなく、どの投球にチャレンジすべきでないかについても、ほぼ的を射ている。チャレンジしていない時でさえ、チャレンジの価値を集めている。

もちろん、ジャッジの偉大さはすでに周知の事実だ。「何かをしないことに優れている」という事実は、ジャッジを表現する新しいアプローチだと思う。