【ブルージェイズ8−6カブス】シカゴ/リグレーフィールド、6月20日(日本時間21日)
六回まで、ブルージェイズは前日19日(同20日)の大敗をそのままグラウンドに持ち込んでいるように見えた。
打線は沈黙していた。救援陣は手薄になっていた。再び敗北することは避けられないと感じられた。
しかし、ドールトン・バーショ(29)が1度のスイングでムードを変えた。
そして1イニング後に岡本和真(29)が打球をとらえた時には、球場全体の雰囲気が一変していた。
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試合の大部分で沈黙していた打線がようやく目覚め、5得点を挙げた八回の攻撃を原動力に、ブルージェイズは5点ビハインドから猛反撃し、カブス戦に勝利した。
ジョン・シュナイダー監督(46)は「選手たちの戦いぶりを評価している。きのうの試合は最悪だった。完全に圧倒された後、ピート・クロウアームストロングの本塁打で0−5とリードを許した。しかし、選手たちは決して諦めない。きょうは素晴らしい試合だった」と語った。
その粘り強さは、密かにトロントを象徴する特徴の1つとなっている。
ブルージェイズは0−5とリードを許して七回を迎え、四回まで無安打に抑えられていたカブスの先発コリン・レイ(35)からほとんど好機を作れずにいた。19日(同20日)の2−16で敗れた試合から数えて、ブルージェイズは直近15イニングで2得点しか挙げていなかった。
逆転を信じる理由はほとんどなかった。
しかし、バーショが打席に入った。
この日、負傷者リストから復帰して最初の試合に出場した中堅手は、七回1死一、二塁の場面で打席に立った。ワンスイングでスコアを3−5とした。
シュナイダー監督は「あの場面でのバーショの本塁打は大きかった。チームを勢いづけた。試合に入り込み、点差を縮める展開に持ち込めた」と一打を振り返った。
ダグアウトも同じように感じていた。
先発のパトリック・コービン(36)は「選手が健康な状態で復帰するのは常に良いことだ。あの投球に対して素晴らしいスイングをし、チームに最初の3点をもたらした」と反撃の一打を語った。
逆転にはまだ別のギアが必要だった。八回にそれをつかんだ。
マイルス・ストロー(31)が先頭打者で四球を選び、ジョージ・スプリンガー(36)が単打で続いた。ベンチからそのまま代打で出場したアレハンドロ・カーク(27)が適時打を放ち、4−5と1点差。続いてブラディミール・ゲレーロJr.(27)が中堅へ同点適時打を放ち、リグレー・フィールドの観客席に点在するブルージェイズファンから歓声を引き出した。
突如として、勢いはブルージェイズのものとなった。岡本はその流れを確実なものにした。
走者を塁に置き、攻撃が続く状況で、新人スラッガーは甘い速球をとらえ、左翼席へ打ち込んだ。打球がフェンスを越えると、塁を回りながらブルージェイズのダグアウトに向けて指を差した。
その直前、冷静さを保つよう自らに言い聞かせていた。
岡本は「最低限、ランナーを進めることができればいいと思っていた。うまく捉えられてよかった。本当に粘り強く(打線が)つながっていましたし、ブラディ(ゲレーロJr.)が同点タイムリーを打って、僕はちょっと気楽な場面というか、同点だったので思い切って振っていこうと思った結果が、ホームランになってよかった。つないで逆転勝ちができたので、あしたにつながる」と振り返った。
結果はそれをはるかに上回った。
シュナイダー監督は「苦労してきた選手が、あの場面で期待に応え、試合を同点にしてくれたことをうれしく思う」と活躍を喜んだ。
しかし、リリーフ投手陣の働きがなければ、この逆転劇は起きなかった。
コービンは3回2/3で降板し、シュナイダー監督は前日にすでに大きく消耗していた救援陣で残りのイニングをやり繰りすることになった。
試合を壊すことなく、ラザロ・エストラーダ(27)らトロントの救援陣は点差を挽回可能な範囲にとどめた。
シュナイダー監督は「ラザロは素晴らしい仕事をした。救援陣も良かった。チームとして彼らに多くの負担を強いているが、期待に応えている」とねぎらった。
ルイス・バーランド(28)が直面した場面が最大の勝負所となった。
ブルージェイズがリードを奪った後、八回無死でメイソン・フルハーティ(24)が満塁のピンチを招いた。同点の走者が塁にいる状態だった。カブス打線の中軸を迎え、バーランドがマウンドに上がった。リグレーフィールドは再び活気づいた。
バーランドは全く動じなかった。シュナイダー監督の言葉はシンプルだった。
「まだ3点のリードがある。自分の投球に集中するだけだ」
バーランドはまさにその通りに投げた。
バーランドは最小失点でピンチを切り抜けた後、九回もマウンドに上がって試合を締めた。チームにとって今季最も満足のいく勝利の1つを守り切った。
自身の心境についてバーランドは「まだ3点のリードがあると考えていた。1球1球に集中した。ワールドシリーズで投げた経験があり、それを上回るものはない。観客の歓声は大きかったが、目の前のことに集中し、周囲の声を遮断することができた」とピンチを乗り切ったシーンを振り返った。
ブルージェイズは岡本の本塁打を忘れないだろう。バーショの復帰を忘れないだろう。反撃を許さずに奪った8得点を忘れないだろう。
しかし、このシリーズ最初の2試合の大部分で精彩を欠いていた後だけに、この日の逆転劇は、さらに重要な出来事として記憶されるかもしれない。
それは、どんな試合でも決して勝負は終わっていないということを、チームに思い出させた。