【ウースター1−5スクラントン】ウースター/ポラーパーク、9月3日(日本時間4日)
ヤンキース傘下3Aスクラントンに所属する前田健太(37)が八回2死までノーヒットノーランの好投でメジャー復帰をアピールした。7回2/3で100球を投げ、1安打1失点、1四球、9三振で5勝目を挙げた(6敗)。最速は94.1マイル(151.4キロ)。日本球界復帰の決意を明かしてから初めての先発でメジャー昇格に望みをつなぎ、NPB球団に健在を示した。
マウンドを降りる背番号「8」に拍手が送られた。敵地にも関わらず、ノーヒットノーランをファンは期待していた。八回2死。前田は7番打者にセンターオーバーのソロを浴びた。レッドソックスの2021年ドラフト5巡目、メジャー未経験のネイサン・ヒッキー(25)に14号アーチを打たれ、降板。7回2/3まで無安打無得点を続ける好投だった。
「とにかくいい結果を出し続けるしかないかなと思います。打たれるのは悔しいので、自分が納得できるいいピッチングを続けていきたいと思います」
来季、2026年は日本球界復帰を目指す決意を明かしてから初めての登板。普段は、報道陣が取材に訪れないマイナー戦に日本メディアが4社訪れ、米国ラストイヤーの右腕を追いかけた。
好調時を彷彿(ほうふつ)とさせるようなテンポのいい投球。最速は94.1マイル(151.4キロ)をマークした。スライダーはキレよく決まり、ストライクカウントを稼ぎ、決め球で空振りも奪った。さらにチェンジアップは、鋭く落ちた。メジャー経験者5人が並ぶ打線から、9三振を奪った。
「投げる試合は勝ちたい、打たれたくない、抑えたい。いいピッチングをしたいのは、どこで投げても変わらない。モチベーションは正直、小学生の時も中学生の時、高校もプロもメジャーもマイナーもそうですけど、とにかく打たれたくない、勝ちたい思いで毎試合投げる。そこの気持ちは正直、全く変わることはないです」
レギュラーシーズンは残り1カ月を切った。メジャーは9月から26人のベンチ入り枠が28人に拡大された。しかし、前田の昇格は叶わなかった。右脇腹の負傷から復帰した左腕、ヤーブローが投手1枠に入った。マエケンはメジャー試合に出場できる前提の「メジャー40人枠」に入らないマイナー契約。好調で好成績ならば、即昇格、という単純な方程式ではない。しかし、NYロゴのピンストライプを着る目標は揺るぎない。
「メジャーリーグに上がりたいです。別にそこは諦めたわけではないですし、そこへのモチベーションを失っているわけではない。ただ(昇格の可否は)自分でコントロールできるものではない」
3Aのレギュラーシーズンは21日まで。前田はあと3度の先発が見込まれる。八回途中ノーヒットの好投は、メジャー復帰と日本球界へ力強いアピールになったことは間違いない。マエケンの完全復活は近い。
