ブルージェイズ、WS第7戦での勝負を分けた重要な場面

November 3rd, 2025

ワールドシリーズ(WS)第7戦を前に、ブルージェイズは投手陣の状態に手応えを持っていた。マックス・シャーザーが立ち上がりを整えさえすれば、ブルペンには主力がそろい、十分な力があるという見立てだった。

シャーザーは4回1/3を1失点に抑えて役目を果たし、今ポストシーズン15試合目の登板で単一ポストシーズン最多登板記録を更新したルイス・バーランドに五回途中を託した。打線は三回にボー・ビシェットが大谷翔平(31)から3点本塁打を放ち、先に主導権を握った。

それでも、試合は延長11回の末に痛恨の敗戦。今ポストシーズンでたびたび大仕事をした投手トリオ、イェサベージ、ジェフ・ホフマン、シェーン・ビーバーがそれぞれ本塁打を打たれたことが大きな要因となった。

それぞれの重要な場面を振り返ってみよう。

八回のイェサベージ

ドジャースを敗退寸前まで追い込んだドジャースタジアムでの12奪三振の快投から3日後、イェサベージはジョン・シュナイダー監督の指名を受け、4−2とリードした七回に登板した。六回にアンドレス・ヒメネスがタイムリー二塁打を放ち、追加点をもたらした直後だった。

イェサベージはドジャースの上位打線を落ち着いて封じ、大谷に四球を与えたものの、続くフレディ・フリーマンを併殺打に仕留め、わずか12球で無失点に抑えた。

八回も続投したイェサベージは、先頭のベッツを打ち取ったが、マンシーに投じた1ボール1ストライクからのスプリットが高めに浮き、右翼席への本塁打となってリードは1点に縮まった。

九回のホフマン

イェサベージの後を受けて八回を締めたホフマンは、1点リードの九回も続投。頭の中で何度も描いてきた「ワールドシリーズ最終戦を締める」という子どもの頃の夢まで、あと3アウトに迫っていた。場内の誰もが打順の大谷を把握しており、3人目に回ることも分かっていたが、その前に悲劇が起きた。

先頭のキケ・ヘルナンデスを三振に仕留めた後、9番のミゲル・ロハスにはフルカウントまで粘られる。7球目、真ん中に入ったスライダーを左翼へ運ばれ、同点のソロ本塁打。ロハスはレギュラーシーズン7本塁打(後半戦は2本)にとどまっていた打者だった。

この一発は、ワールドシリーズ最終戦で九回の「同点または勝ち越し本塁打」としては史上2本目。1960年、ビル・マゼロスキーの歴史的一発に続く出来事となり、今ポストシーズンの最初の9登板で被本塁打ゼロ、地区シリーズとリーグ優勝決定シリーズの決定戦でセーブを挙げてきたホフマンからの一撃にロジャースセンターは騒然となった。

「本当に最悪だ。終わり方はこうじゃないはずだった。たった1球……。自分がここにいる全員からワールドシリーズの優勝リングを奪ってしまった気分だ。だから本当にクソみたいな気分だ。あの場面はもっと確実に投げ切って、ああいう事態を起こしてはいけなかった」

ホフマンはその後、続く2人の打者を抑えて4−4のまま試合を終盤へ持ち込んだが、流れが完全に変わった空気は否めなかった。

「ロハスを軽視するわけじゃないけど、あの場面で本塁打を打つなんて誰も予想していなかった」とドジャースのベッツは語った。

「もちろんチームは彼を信じていたけど、本塁打までは想定してなかった。でもあの一発を打った。まさに“らしい”展開だった」

延長11回のビーバー

セランソニー・ドミンゲスは、試合中盤から何度も肩を作っていたが10回に登板し、満塁のピンチを迎えながらもヒメネスとゲレーロJr.の好守に助けられ、無失点で切り抜けた。

続いて登板したのはビーバー。第4戦で先発し、5回1/3を1失点に抑えて勝利の流れを作ったヒーローの一人だった。

トロントの中軸、ゲレーロJr.、アイザイア・カイナー=ファレファ(九回にビシェットの代走で出場)、アディソン・バージャーに11回裏で打順が回る見込みだったため、ビーバーは11回表を無失点で切り抜けることが必須だった。ビーバーはロハスと大谷を内野ゴロに打ち取ったが、2死からウィル・スミスに対してカウントを悪くし、次打者にフレディ・フリーマンを控えた場面で2−0から甘く入ったスライダーを左翼のドジャース・ブルペン上へ運ばれる勝ち越しソロ本塁打を許した。

「スライダーを得意にしている強打者に、甘いスライダーを投げてしまった。2ボールから相手は狙っていた。投げ切れなかった」とビーバーは語った。

「自分はフレディのために出塁することだけを考えていた。バトンをつないで攻撃を止めないようにね。うまくスイングして打球を上げられたら、そのままスタンドに入った」とスミスは話した。

総括

本来はここまで追い込まれる展開ではなかった。打線が加点できず、残塁14、得点圏は17打数3安打、ビシェットの3ラン以降は1得点にとどまったため、終盤のリリーフには完璧が求められた。

ブルージェイズがWSまで到達できたのは、レギュラーシーズンとポストシーズンを通じたイェサベージ、ホフマン、ビーバーの大きな貢献があってのことだ。だが最終的には、最も信頼を置く投手3人が浴びた3本塁打が、第7戦の明暗を分けた。トロントでは、あと一歩で優勝を逃した、と痛切に記憶される。

「クラブハウスはしばらくかなり静かだった」とビーバー。

「それぞれが整理すべき感情がある。きょうの結果は全員で背負う。勝つのも負けるのも、全員で一緒だ」