エンゼルスの新監督にカート・スズキ氏が正式就任

October 21st, 2025

エンゼルスは21日(日本時間22日)、元メジャー捕手のカート・スズキ(42)を新監督として正式に発表した。前日にはアルバート・プホルスとトリー・ハンターが候補から外れたことが報じられており、スズキが後任に決定した。

日系3世で日本名は「キヨシ」。ミドルネームに使用しており、「カート・キヨシ・スズキ」がフルネームだ。

スズキは現役時代、16年間で複数球団を渡り歩き、2021〜22年の2シーズンをエンゼルスでプレー。現役引退後はペリー・ミナシアンGMの特別補佐を務め、スプリングトレーニングやマイナー視察にも同行していた。球団の組織改革の過程にも関わり、現役時代にはマイク・トラウト、ローガン・オホッピー、テイラー・ウォード、リード・デトマーズ、ジョー・アデル、チェイス・シルセス、アンソニー・レンドンらとチームメートだった。

また、ミナシアンGMがブレーブスのアシスタントGMを務めていた2017〜18年には、同球団でスズキは選手だった。

ただし、スズキはプロでの指導者経験がない。新たなコーチングスタッフの選定を任されることになり、前任のスタッフはすでに他球団との交渉が可能な状態にあるという。スズキが希望すれば一部のコーチ陣は残留も可能。なお、スズキはジャイアンツの監督候補の面接を受けていた。

スズキは現役時代、強気で粘り強いリードとクラブハウスでのリーダーシップで知られていた。2014年にはツインズでオールスター出場、2019年にはナショナルズの世界一にも貢献している。

通算成績は1635試合で打率.255、出塁率.314、長打率.388、通算143本塁打、295二塁打、730打点。所属球団はアスレチックス(2007〜12年、13年)、ナショナルズ(2012〜13年、19〜20年)、ツインズ(2014〜16年)、ブレーブス(2017〜18年)、エンゼルス(2021〜22年)。

2004年のドラフトでアスレチックスに2巡目指名され、カリフォルニア州立大フラートン校時代にはチームをカレッジ・ワールドシリーズ制覇に導いた。ハワイ州ワイルク出身で、MLB史上初のハワイ生まれの監督となる。

エンゼルスは、2024年に就任したロン・ワシントンの後任としてスズキを起用。前監督のワシントンは6月20日にシーズン終了まで健康上の理由で離脱した。6月30日に冠動脈バイパス手術(4枝)を受けた。レイ・モンゴメリーが監督代行を務めたが、シーズン後に両者とも来季の監督には就かない方針となった。モンゴメリーは球団への別職種での復帰を検討中。ワシントンは球団の別役職の申し出を断り、他球団での再監督就任を目指している。

近年のエンゼルスは監督交代が相次いでおり、長期政権だったマイク・ソーシアが2018年限りで退任して以降、スズキは5人目の監督となる。これまでにブラッド・オースマス(2019年)、ジョー・マドン(2020〜22年)、フィル・ネビン(2022〜23年)、ワシントン(2024〜25年)が指揮を執ったが、いずれも結果を残せなかった。

スズキが引き継ぐチームは、10年連続で負け越し、ポストシーズン進出も2014年を最後に遠ざかっている。2025年は72勝90敗で、球団史上最悪だった2024年の63勝99敗からは9勝上積みしたものの、根本的な課題は残る。今季のチーム成績は得点25位(673点)、出塁率28位(.298)、防御率28位(4.89)だった。

なお、エンゼルスは当初からプロでの監督経験を必須条件とはしていなかったようで、候補に挙がったアルバート・プホルス、トリー・ハンター、そしてスズキはいずれもプロの指導経験がない。それでも球団は、経験が限られていても成功している事例としてガーディアンズのスティーブン・ボート監督、マリナーズのダン・ウィルソン監督のような再現を期待している。