長年カブスの先発投手として活躍し、108年ぶりのワールドシリーズ制覇にも貢献したカイル・ヘンドリックスが現役引退を決めたようだ。ヘンドリックスはメジャー12年目の今季、地元カリフォルニアのエンゼルスでプレーした。
10日(日本時間11日)、MLB.comが関係者から得た情報によると、メジャー12年目のシーズンを終え、来月36歳の誕生日を迎えるヘンドリックスは近日中に現役引退を表明する予定だという。
ダートマス大学出身で、現在より球速が速かった時期にチェンジアップとシンカーを駆使して精密な投球を見せ、「プロフェッサー」(教授)の愛称で親しまれたヘンドリックスは、メジャー通算307試合(うち301先発)に登板して防御率3.79を記録。最初の11シーズンはカブスでプレーし、球団の黄金期に主力選手として活躍した。
カブスでプレーした11年間で276試合(うち270先発)に登板し、防御率3.68を記録。270先発はヒッポ・ボーンと並んで球団歴代9位タイにランクインしており、1259奪三振は同7位の数字だ。
カブスがヘンドリックスを獲得したのは2012年のトレード・デッドライン。先発右腕ライアン・デンプスターとのトレードで、レンジャーズからの移籍だった。2年後の7月10日にメジャーデビューを果たすと、ヘンドリックスは着実な成長を遂げ、先発ローテーションに定着した。
デビューイヤーの2014年は13先発で防御率2.46を記録し、ナショナル・リーグの新人王投票で7位にランクイン。2016年には31試合(うち30先発)に登板して防御率2.13をマークし、最優秀防御率のタイトルを獲得しただけでなく、ナ・リーグのサイ・ヤング賞投票で3位にランクインした。
好成績を残した2016年だが、レギュラーシーズンの活躍は「前座」に過ぎなかった。ヘンドリックスはポストシーズンの戦いで印象的な活躍を披露。リーグ優勝決定シリーズ第6戦ではクレイトン・カーショウ(ドジャース)との投げ合いの中で7回1/3を無失点に抑える快投を見せ、カブスを1945年以来となるリーグ優勝に導いた。
3勝3敗で迎えたワールドシリーズ第7戦に先発すると、4回2/3を2失点(自責点1)に抑える力投。カブスは第7戦に勝利し、1908年以来108年ぶりとなるワールドシリーズ制覇を成し遂げた。
カブスでの最終シーズンとなった2024年は浮き沈みの激しい1年だったが、カブスの選手としての最終登板では見事なピッチング。レッズを相手に7回1/3を無失点に抑えた。
ヘンドリックスは2024年シーズン終了後にキャリアで初めてフリーエージェント(FA)となったが、その時点でカブスの最古参選手であり、2016年の優勝メンバーでカブスに残っていた最後の選手だった。
その後、ヘンドリックスはエンゼルスと1年契約を結び、今季は1年間ローテーションを守って31試合に先発。164回2/3を投げ、8勝10敗、防御率4.76を記録した。
