進まないタッカー争奪戦 最大の大物はどこへ行く?

January 6th, 2026

フリーエージェント(FA)市場が始まった11月上旬から、外野手カイル・タッカーは市場のNo.1選手と広く認識されてきた。では、1月の第1週になっても、タッカーが2カ月前と比べて契約に近づいていないように見えるのはなぜなのだろうか。

タッカーの市場は、少なくとも近年のトップFA選手の何人かと比べた場合、ゆっくりと進んでいる。ここまでで最大のニュースは1カ月前、タッカーがブルージェイズのフロリダ州ダニーデンにある選手育成施設を訪れたというものだった。そして、そのニュースから今に至るまで、いくつかの進展が見られた。

先週、ブルージェイズは岡本和真と4年6000万ドル(約94億円)で契約。それでも、2つの業界の情報筋は、いまだにブルージェイズをタッカーの新天地の有力候補として挙げている。ブルージェイズのラインナップは既に強力だが、タッカーのような左の強打者を加えることで、ア・リーグ優勝候補筆頭としての地位を固めることだろう。

「ブラディ(ゲレーロJr.)との契約延長を決めた時点で、チームは勝利のために全力を尽くすというメッセージを送った。ディラン・シースとの契約も大きかったが、タッカーとの契約で彼らの非常に理想的な12カ月は締めくくることができる」

関係者は、ブルージェイズのチーム状況をそう語った。

タッカーとの契約は、ブルージェイズの既に3億ドル(約470億円)近いペイロール(総年俸)を他球団からは受け入れがたいほどの数字まで引き上げるだろう。しかし、ブルージェイズは2026年シーズン終了後には、ジョージ・スプリンガー、ケビン・ゴーズマン、シェーン・ビーバー、そしてドールトン・バーショらがFAとなることで、7000万ドル(約109億円)以上が浮く見込みだ。

1月17日(日本時間18日)に29歳を迎えるタッカーは初めてFAとなった今オフ、少なくとも3億ドル、そして4億ドル(約620億円)近くの長期契約を求めているとされている。

タッカー獲得にかかる資金は高額なため、獲得の可能性がある球団は限られている。興味を寄せている球団としては、ブルージェイズに加え、ヤンキース、メッツ、ダイヤモンドバックス、ジャイアンツ、ドジャースが挙げられている。しかし、これらの球団からも興味を示しているという報道がある一方で、実際に契約を締結する動きは見られない。

ただ、動きが遅い大物FAはタッカーだけではない。コディ・ベリンジャー、アレックス・ブレグマン、ボー・ビシェット、レンジャー・スアレス、フランバー・バルデス、ザック・ギャレンも、依然としてFA市場で新たな契約を模索中だ。

「タッカーに関しては予想以上に静かだ。今オフの上位FAの何人かに共通する傾向のようだ。オフシーズン開始時に見られた契約予想の中には、非常に楽観的なものもあった。市場は、ここ数年の大型契約、大谷翔平、ゲレーロJr.、山本由伸は、われわれが目指すべきものというよりはむしろ例外的なものだということを示唆しているようだ」ととあるナ・リーグの球団幹部は言う。

市場に残っている大物FAの中で、外野手は他にベリンジャーしかいない。しかし、内野手とはいえビシェットの去就は、タッカーの動きにも影響するだろう。ブルージェイズがビシェットと再契約すれば、タッカー争奪戦から降りることは確定的で高額入札の候補が消える可能性が高い。

ヤンキースとメッツはともにインパクトのある外野手の獲得に意欲的だが、タッカーよりもベリンジャーの獲得を優先しているようだ。とはいえ、ベリンジャーが最終的にニューヨークにとどまるとしても、どちらか1球団としか契約できないことを考えると、タッカー獲得に関心がないわけではない。

オフシーズンを通してヤンキースとベリンジャーの再契約は可能性が高いと思われていたが、ベリンジャーがタッカーとの契約を待ってから自身の契約を締結し、さらに有利な立場を築く可能性もある。タッカーは、ベリンジャーがピンストライプのユニフォームをまとった最初のシーズンのように、ヤンキースタジアムに完璧にマッチしたスイングを持つ数少ない左打者の一人かもしれないと考える者もいる。ただし、ベリンジャーの契約はタッカーよりも低くなると予想されており、さらに既にニューヨーク特有のプレッシャーを乗り切れることを証明している。

メッツはブランドン・ニモとジェフ・マクニールをトレードしたことで外野に穴が空き、さらにピート・アロンソの退団で打線にも大きな穴がある。タッカーはメッツにとって完ぺきな選択肢だが、フアン・ソトとのコンビは非常に高価になる。さらに、メッツは投手陣の補強も進めなければならない。

タッカーが望むような長期契約を得られない場合、短期で年俸の高い契約を結ぶ選択肢もあるだろう。昨季、ブレグマンはレッドソックスとオプトアウト(契約破棄条項)が付いた3年1億2000万ドル(約187億円、後払いあり)の契約を結び、1年目で好成績を残して再びFA市場に出た。

タッカーがそのような短期契約を検討するならば、ドジャースが飛びつき、強力打線にもう1人のオールスターを加える可能性があると考えられている。

「ドジャースが彼と長期契約を結ぶとは思えないが、もし彼が短期契約に前向きなら、アンドリュー(・フリードマン編成本部長)はそういう契約を望んでいる。タッカーは優秀だが、ドジャースが彼を必要としているのは明らかで、彼らはただ市場が動くのを待っているような感じだ」とあるア・リーグの球団幹部は語った。