先発ローガン・ギルバートがわずか3イニングしか投げられず、初回に得た3点のリードはすぐに消え去った。ア・リーグ優勝決定シリーズ(ALCS=7回戦制)の第2戦、序盤の展開からすれば、マリナーズのダン・ウィルソン監督は「勝利の方程式」の3人を起用せずに済むとは想像できなかっただろう。
しかし、マリナーズ打線は爆発し、ブルージェイズに10-3と快勝。アンドレス・ムニョス、マット・ブラッシュ、ゲーブ・スパイアーのリリーフ投手3人を温存することができた。
マリナーズは球団史上初のワールドシリーズ進出に大きく近づいている。敵地で2勝を挙げ、トレードデッドライン以降ではMLB最高勝率をマークしている相性の良い本拠地に戻ることだけが理由ではない。投手陣をリセットできたことが最大の理由だ。
「1日くらい休養が取れて、ハイレバレッジ(プレッシャーの大きくかかる場面)、長いイニングの投球を避けられるなら、それはそれでいいことだ。ここ数日、本当に大変な思いをしてきた選手たちには、休ませてあげたい。だから、本当に本当に、投手たちを誇りに思うし、休ませることができて本当にうれしいよ」と捕手のカル・ローリーは語る。
ジョージ・カービーは通常の間隔(中4日)で第3戦に、ルイス・カスティーヨはALDS第5戦のリリーフ登板の影響を加味して1日長い間隔(中5日)で第4戦に先発する予定だ。両投手ともホーム(2人の通算防御率2.80)の方がロード(同通算防御率4.90)より好成績を残している。そして、レギュラーシーズンでエース級の活躍だったブライアン・ウーが第5戦に復帰する予定だ。
そして14日(日本時間15日)は休養日ということもあり、リリーフ投手陣もフレッシュな状態で戻ってくるだろう。
タイガースとのALDSで延長15回の死闘を制し、そこからわずか2日でトロントに向かう頃には、マリナーズは燃料切れ寸前だった。5時間フライトが遅れ、11日(同12日)の午後10時まで飛行機が着陸せず、翌日に控えるALCS第1戦まで24時間もなかった。
しかし、第1戦で先発ブライス・ミラーが6回を投げ抜き、第2戦ではエデュアルド・バザードが2番手として2回を抑えたことで投手陣は救われた。
「ブライスはやってくれたね。あの投球でまさに土台ができた。それから(ムニョスに)休息を与えられたのも大きな意味がある。それを実現させたのはオフェンス陣だ。だから多くの選手の貢献で、リセットができた」とギルバートは第2戦後に語った。
バザードは今季のポストシーズンでダークホースとして台頭し、ALDSの全5試合に登板。ALDS第5戦では満塁のピンチを切り抜け、ALCS第2戦では劣勢で登板したものの、流れを呼び込む好投だった。
「信じられない。今季はずっと素晴らしい投球をしていた。バザードは今年ずっと、リーグで最も過小評価されているリリーフ投手だと思う。毎回、いつものように調子がいい。ヴァージー(カルロス・バルガス)とエマーソン(・ハンコック)も登板して、全員が6つのゼロを出して試合を終わらせた。本当にすごいことだ」とギルバートは舌を巻いた。
マリナーズのブルペン陣はポストシーズンで防御率3.25、奪三振率23.2%(いずれも地区シリーズ進出チーム中3位)の好成績を収めている。また、被OPSは同2位の.561、同1位のWHIP1.00と内容は良い。
ワールドシリーズ優勝を狙うには、すべての投手が役割を担う必要がある。第2戦で援護に恵まれたことで、マリナーズは勝ちパターン以外の投手を起用でき、投手陣に休養を与えることができた。
