外から見る者にとって、今季のマックス・マンシーは眼鏡をかけ始める前とかけ始めた後で、二つの顔を持っているように映るだろう。
確かに、右目の乱視を矯正するための眼鏡をかけ始めてから、マンシーの打撃が復調したことは事実だ。だが本人は、その成功を眼鏡のおかげだけだとは考えていない。地道に努力を積み重ねてきたと自負しているためだ。
「眼鏡のおかげだって簡単に片付けたくないんだ。ここ数年ずっとひどかったわけじゃないからね。たしかに眼鏡が効いてるのかもしれない。でも、僕としては、これまでやってきたトレーニングの成果や、自分自身の力を信じたいんだ。ただの道具ひとつで劇的に変わったって言うのは、ちょっと違う気がする」と本人は語る。
この試合では今季9号となる同点ソロを九回裏に放ち、ドジャースの延長勝利につなげた。初回にも2ランを放っており、1試合2発は今季2度目、直近4試合で5本塁打と調子を上げてきている。
そして迎えた延長十回表。前日の延長戦では敗戦投手となったタナー・スコットが、十回表に三者凡退の好投でリベンジを果たし、最高の流れで裏の攻撃につなげるとフレディ・フリーマンがサヨナラ二塁打。前日の雪辱を果たす勝利をつかんだ。
一方で、五回にはエラーを犯し(今季9個目)、クレイトン・カーショウがその後に2失点(自責点0)で降板する流れを作ってしまった。それだけに、九回の一発には自らのミスを帳消しにしたという意味合いも強かった。
「ミスをするのは本当にキツい。特にカーショウみたいなピッチャーの時は、より痛みが増す」とマンシー。「だから、あの場面で少しでも取り返せたのは、自分にとって大きかった」。
カーショウもこう語る。「チームでやってる以上、互いを支え合うんだ。あのプレーは確かに難しかったけど、特に問題じゃない。彼は今、すごく良いスイングをしてる。2本目のホームランは彼自身もうれしかっただろうけど、僕も見ていてすごくうれしかったよ」
本人も、「数字を無視することはできない」と言うように、眼鏡着用後の成績は明らかに向上している。
- 4月30日以前:打率.180、OPS .531、長打5本(本塁打ゼロ)、105打席
- 4月30日以降:打率.277、OPS 1.015、長打13本(本塁打9本)、118打席
眼鏡を初めて試合で着用したのは4月30日。奇しくもこの日は自身の「キャリア最長本塁打ブランク」(シーズン106打席目)を終わらせた日でもあった。視力自体はほぼ完璧だったが、前年にキケ・ヘルナンデスの乱視を診断した同じ眼科を訪れたことで、自分がわずかに左目優位であることを知ったという。
もっとも、単に視力矯正だけで成績が好転した訳ではない。ここまでの復活劇には、マンシーの精神的な強さも大きく関係している。
「彼はこれまでにも何度も困難を乗り越えてきた」とデーブ・ロバーツ監督。「守備のエラーや打撃不振、外からの批判。そういうものに惑わされず、目の前の状況に集中して取り組んでいる。その姿勢が今につながっている」。
火曜日の試合も、その精神力が如実に表れた場面だったと指揮官は振り返る。
「五回のエラーを引きずることなく、次の打席でしっかりと結果を出した。この球団でプレーするには、そうした精神的なタフさが不可欠だ。彼はそれを証明してみせた」
