右腕マイケル・キング、3年契約でパドレス残留(関係者取材)

4:17 AM UTC

パドレスは今オフ、先発投手を必要としていたが、遠くまで探しに行く必要はなかった。

右腕マイケル・キングが、3年契約に合意したことを8日(日本時間19日)、複数の関係者がMLB.comに明かした。総額7500万ドル(約116億円)で最初の2シーズンの終了後にそれぞれオプトアウト(契約破棄権)が付いている。球団からはまだ正式な発表はない。

関係者によると、マイケル・キングは1200万ドル(約18億6000万円)の契約金を受け取り、2026年の年俸は500万ドル(約7億8000万円)。2027年の年俸は2800万ドル(約43億4000万円)で、オプトアウトした場合は500万ドル(約7億8000万円)のバイアウト(契約解除金)が支払われる。2028年の年俸は3000万ドル(約46億5000万円)でバイアウトはない。実質的に、この契約は1年で2200万ドル(約34億1000万円)、2年で4500万ドル(約69億8000万円)、3年で7500万ドル(約116億3000万円)の価値になる。

キングは、サンディエゴでの2年間でローテーションの柱となる先発投手へと成長した。キャリア最初の5年間は、ヤンキースで主に救援投手として登板していた。しかし、フアン・ソトのトレードでパドレスに移籍して以降、キングは46試合(先発45試合)に登板して防御率3.10を記録。プレーオフの3試合でも堅実な投球をした。

キングは今オフの早い段階で、2205万ドル(約34億2000万円)のクオリファイング・オファー(QO=FA選手へ規定額の1年契約)を拒否していた。他球団と契約した場合には、パドレスはドラフト指名権の補償を受け取る権利があった。だが、主戦投手の1人を失うことへの補償としては不十分だった。パドレスは代わりにキングに対して7500万ドル(約116億3000万円)を保証した。これはキングが1シーズン後にオプトアウトした場合、実質的にQOと同程度のコストになる。

キングの復帰は、補強を切実に必要としていたローテーションにとって大きな後押しとなる。今オフ、すでに右腕ディラン・シースがフリーエージェントで退団し、ブルージェイズと7年契約を結んでいる。(パドレスはこの移籍により、ドラフト指名権の補償を受け取ることになる)。

一方、ダルビッシュ有は肘の手術を受けたため、2026年シーズンを全休する。また、投手としての今後の去就についても、いまだに熟考を続けているようだ。

30歳のキングが戻ったことで、パドレスは突如として先発ローテーションの5分の4が埋まった。昨季はニック・ピベッタがエースとして開幕投手を務めた。ピベッタにはトレードの噂もあったが、残留する可能性が極めて高い。一方、ジョー・マスグローブはトミー・ジョン手術から復帰する見込みだ。

現時点でのパドレスの先発ローテーションは以下のように構成される。

  1. ニック・ピベッタ
  2. マイケル・キング
  3. ジョー・マスグローブ
  4. ランディ・バスケス
  5. J.P.シアーズ

このローテーションには層の厚さに懸念がある。シアーズは昨季苦しみ、パドレスが近年の相次ぐトレードで多くの上位プロスペクトを放出したため、控えの選択肢が少ない。明らかに、まだ補強が必要だ。

しかし、その補強は主にローテーションの端を埋めるものになる。具体的には、先発5番手や1、2人の控え投手らだ。(パドレスは18日、トリストン・マッケンジーとマイナー契約を結んだ)

キングという、ローテーションの1、2番手を任せられる強力な右腕をパドレスは手に入れた。そのポテンシャルは計り知れない。健康であれば、キングはメジャーでも最高の先発投手の一人だ。ヤンキース時代の2023年シーズン終盤、トレードされる前に先発への転向を本格化させた。通算64試合の先発登板で、キングは防御率3.35、9回あたりの奪三振数10を記録している。2種類の速球に加え、チェンジアップ、カットボール、そしてそれぞれ軌道の異なるスイーパーを織り交ぜる多彩な球種は、先発として明らかに通用している。

先発投手としてのキャリアを通じて、キングがマウンドに立っている間は常に素晴らしい投球をしてきた。しかし、2025年シーズンには2つの大きな負傷に見舞われた。まずは右肩の筋力を低下させた神経の問題、そしてシーズン後半の復帰に向けて調整していた際の膝の負傷だ。キングは4カ月の大部分を欠場し、9月に復帰した際は本来の姿ではなかった。

これらの負傷への懸念が、フリーエージェント市場でのキングの評価に影響した可能性がある。しかし、パドレス以上にキングを熟知している球団はなく、再獲得できたことを喜んでいる。

キングとの契約は、パドレスの今オフ最初の大きな動きとして、やや驚きを持って受け止められた。球団は依然として、ローテーションの後方を担う1、2人の先発投手と少なくとも1人の野手(できれば一塁手)を必要としている。キングに多額の資金を投じた後、これらのニーズを満たすために他の選手の年俸を削減する必要があるかどうかが注目される。もちろん、A.J.プレラーGMは常にトレードに意欲的であり、その道を選ぶ可能性もある。

いずれにせよ、パドレスの今オフ最初の大きな一手が決まり、先発ローテーションの構想は一気に明確になった。