エンゼルスは今季、マイク・トラウトの健康を守るためにセンターからライトにコンバートしたが、2026年は再び一部の試合でセンターを守らせることも検討している。
トラウトは昨季、2019年に3度目のア・リーグMVPを受賞して以来最多となる130試合に出場したが、そのうちライトを守ったのは、4月下旬に一塁ベースを踏んだ際に手術した左膝を骨挫傷し離脱するまでの22試合だけだった。その後はちょうど1カ月間戦列を離れ、復帰してからは外野には戻らず、シーズン終了までDHのみで出場した。
エンゼルスは現状、真の意味での「毎日出場するセンター」を欠いている。球団有望株ランキングで7位のネルソン・ラダ外野手がメジャー昇格の準備を整えるまでは、ブライス・テオドシオ、ジョー・アデル、トラウトらを組み合わせてセンターを守らせる案もある。一方で、フリーエージェント市場やトレードで中堅手を探している段階でもある。ペリー・ミナシアンGMは選択肢は開かれているとし、トラウトを外野の3ポジションすべてで起用する可能性も含めて検討していると語った。
「何も除外するつもりはありません」とミナシアンGMは話した。
「春季キャンプに入る時点でチームがどんな構成になっているか、そのときに何が試合に勝つ一番の近道になるかを見極めることになります。センターで出る日もあれば、レフトで出る日もあるかもしれないし、DHで出る日もあるかもしれない。まだ分かりません」
34歳のトラウトは、骨挫傷からの復帰に向けて、このオフシーズンは通常通りの調整ができている。ミナシアンGMによると、昨季はDHとして106試合に限られた起用だっただけに、トラウト本人は再び外野でプレーできることを楽しみにしているという。
トラウトが外野でプレーする機会を増やせれば、エンゼルスはホルヘ・ソレアをより多くDHで起用できる。ソレアにとっては、ロースター(選手編成)の中で最も適した役割であり、本人も望んでいるポジションだ。ソレアは今季、本来より多く外野を守った結果だと自分で考えている背中の負傷により、シーズン最後の60試合を欠場した。
「2人とも順調で、例年通りのオフのメニューをこなしていて、状態も良いです」とミナシアンGMは話した。
「マイクが健康であれば、外野を高いレベルで守ることができます。いまは体調も良く、外野でプレーする意欲にあふれている。どの程度そうさせるかは、ロースターがどうなっていくかを見て判断しますし、カート・スズキ監督の決断にも関わってきます」
一方で、トラウトは打撃面での立て直しも目指している。
オールスター選出通算11回のトラウトだが、今季は打率.232、出塁率.359、長打率.439、26本塁打、14二塁打、64打点にとどまり、オールスターには選ばれなかった。
最大の課題はコンタクト率だった。打席の32%で三振に倒れ、これはキャリア平均の23.1%やリーグ平均の22.2%を大きく上回る数字だった。
ただ、シーズン終盤にスイングを微調整し、7試合で5本塁打を放ち、かつての自分に近づけるという手応えをつかんだ。ミナシアンGMは、通算400本塁打という大きな節目が迫り、そのプレッシャーとも向き合っていたと指摘している。
「彼は自分が望んでいたシーズンにはならなかったと、真っ先に認めると思います」とミナシアンGM。
「400本塁打に近づいていることも分かっていました。それが直接、思うような成績を残せなかった理由だと言うつもりはありませんが、毎日その数字が目の前にちらつけば、自分に余計なプレッシャーをかけてしまうこともある。あの数字に到達して、さらにスイングを修正してからは、彼本来の能力がよく見えたと思います」
ここ数年の負傷歴を考えれば、トラウトが来季センターで多く出場すると考えるのは現実的ではない。ただ、少なくともセンターを任せることは選択肢の一つではある。
エンゼルスはセンターのマーケットも注視しているものの、先発投手の補強、救援陣の強化、三塁手、二塁手の補強の方が、より優先度の高い課題と見られている。
「一番分かりやすく言えば、“センターを取りに行かなければいけないのか?”と言われれば、必ずしもそうではありません」とミナシアンGM。
「そのポジションを任せられると信じている選手は何人かいますし、テオドシオが非常に高いレベルの守備ができることも分かっています。より個々の選手ごとに判断していく話です。この選手はチームにフィットするのか、この選手はチームを変えられるのか、攻守両面で助けてくれるのか。層の厚みを増してくれるのか。絶対に必要かと言われればそうだとは言いませんが、強化を検討しているポジションかと言われれば、間違いなくそうだと言えます」
