ワールドベースボールクラシック(WBC)の歴史で最も重要な瞬間は、2023年3月21日にマイアミのローンデポパークで訪れた。
決勝は、野球界で最高の2選手であり、当時のチームメートでもあった大谷翔平(31)とマイク・トラウト(34)による夢の対決で決着した。
マウンドには日本の主将、大谷。打席にはアメリカ代表の主将、トラウト。九回2死走者なし、1点差。日本は5大会で3度目のWBC制覇、アメリカは日本に並ぶ2度目の優勝を狙っていた。
カウントは3−2となった。そして野球史に、WBCが真に定着した瞬間として刻まれる場面が訪れた。大谷は、打てるのは投げた本人だけではないかと思わせるようなスイーパーでトラウトを三振に打ち取った。
歓喜のあまりグラブと帽子を放り投げた大谷を中心に日本が沸く中、トラウトは孤独な足取でベンチへと引きあげた。
あの瞬間はアメリカ代表の原動力となった。豪華な2026年のロスターに名を連ねる選手には、その場面を今大会出場の理由の1つに挙げた選手もいる。
準々決勝で日本がベネズエラに敗れる波乱があり、アメリカとドミニカ共和国による注目の対決を数時間後に控えた中、今大会は出場していないトラウトは、アリゾナ州テンピでエンゼルスのチームメートとともに遠くから戦況を見守っていた。
トラウトは「前回の雰囲気についてよく聞かれる。あの決勝戦も大歓声だったが、ベネズエラ戦は本当にすごかった」と振り返る
「みんな、自分の国に対して情熱的だ。それは素晴らしいことだ。昨夜、ウィルヤー・アブレイユが本塁打を放った時の盛り上がりを見れば分かる。そうあるべきだと思う」
国や野球への愛を証明し、WBCは確固たる地位を築いた。大谷とトラウトの対戦が大会史に残る重要な瞬間だったとするならば、2026年大会は人気が真に最高潮に達した大会として記憶されるかもしれない。
トラウトは「今は多くの人が賛同していると思う。以前なら出場しなかったような選手たちも今は出場している。だから、どのチームも層の厚いラインアップになっている。ベネズエラやドミニカ共和国、あの打線はとんでもない」
そして、今大会最大のサプライズはイタリア代表だ。14日にプエルトリコ代表を倒し、無敗のまま準決勝に進出した。
WBCは参加者の増加や愛国心だけでなく、純粋なドラマ性によっても盛り上がっている。
トラウトは「素晴らしい大会になっている。勢いのあるチームがある。イタリアは良いチームで、打線もいい。見ていて楽しい」と語る。
決勝進出を懸け、15日(日本時間16日)にマイアミのローンデポパークで行われるアメリカ代表とドミニカ共和国の対戦を前に、トラウトは、これが素晴らしいWBCのカードであるだけでなく、今年1年のハイライトの一つとして振り返ることになるだろうと語った。
WBCを「エキサイティングな大会」から「必見の大会」へと押し上げた瞬間の中心にいた球界史上最高の選手の一人による言葉には重みがある。
トラウトは「間違いなく今シーズン注目の試合の一つになる。今夜の対戦を誰もが楽しみにしていると思う」と話した。
