ワールドベースボールクラシック(WBC)を終え、気づけばレギュラーシーズンまで残り1週間となった。再びスプリングトレーニングへと意識を戻す時だ。
そう、嘘ではない。わずか1週間である。2026年MLBシーズンは3月25日(日本時間26日)、サンフランシスコ・ジャイアンツとニューヨーク・ヤンキースの対戦で幕を開ける。
実感は薄いかもしれないが、スプリングトレーニングはほとんど終了している。この数週間、フロリダとアリゾナのキャンプでは多くの出来事があった。ここではWBCに注目している間に見逃したかもしれない主なトピックを振り返る。
*※成績はすべて17日(日本時間18日)終了時点のもの。*
有望株の台頭
MLBパイプライン全体トップ2の有望株はいずれもメジャーキャンプに残っている。遊撃手コナー・グリフィンはパイレーツでチームトップの4本塁打を放ち、ハードヒット(95マイル(約153キロ)以上の打球)は12本で、ニック・ヨークに次ぐ2位。19歳としては見事な成績だ。
もう一人、ケビン・マクゴニグル(こちらも遊撃手)は、3Aを飛び越えてタイガースの開幕ロースター入りを狙っている。今春はOPS.977を記録し、変化球にも見事な適応を見せている。
他にも目立つ若手は多い。MLBパイプライン全体16位のカーソン・ベンジはメッツの期待に応え、32打数で打率.406、OPS.972。全体79位でヤンキース傘下の身長6フィート7インチ(約201センチ)大柄右腕カルロス・ラグランジュは、100マイル(約161キロ)超の速球で注目を集めている。今春のフォーシーム平均球速100.5マイル(約161.7キロ)を上回るのはメイソン・ミラーのみだ。
また、ブレーブスの有望株3位ディディエ・フエンテスも、子どもの頃に憧れていたヤンキース相手に5奪三振の好投を見せた。すでに負傷者が相次いでいる先発陣において、フエンテスと22歳のJR・リッチー(全体90位)は明るい材料となっている。
ポジション争いの行方
これらの有望株の多くが、スプリングトレーニングで最も注目されるポジション争いの中心にいる。グリフィンは堅実な守備を誇るニック・ゴンザレスに代わり、パイレーツの正遊撃手の座を狙っている。一方ベンジは、右翼手のレギュラー争いでマイク・トークマンと競っている。マクゴニグルがタイガースで開幕ロースター入りするには、昨季オールスターに選ばれたハビアー・バイエズとザック・マッキンストリーの牙城を崩さないといけない。
リーグ全体で先発ローテーションの枠を巡る争いも激化している。まずはレッドソックスだ。ローテーション入りを目指し、3人の若手投手が競い合っている。オフにパイレーツからトレードで加入したヨハン・オビエドは、スプリングトレーニング4試合で防御率1.59を記録し、優れた速球を披露。強力な速球といえば、左腕ペイトン・トールも同様で、全体19位の有望株はオフシーズンに他の球種を磨き、100マイル(約161キロ)超のフォーシームをより活かす準備を進めてきた。さらに、チーム有望株3位である左腕コネリー・アーリーも、春の4登板で防御率2.25を記録している。
一方、パドレスは状況が少し異なる。ジョー・マスグローブが負傷者リスト入りし、パドレスの先発ローテーション後半の2枠は若手ではなくベテラン投手たちが競っている。ウォーカー・ビューラー、ヘルマン・マルケス、マルコ・ゴンザレス、トリストン・マッケンジー、JP・シアーズらが候補に挙がっている。パドレスのクレイグ・スタメン監督は、開幕前日まで最終決定が持ち越される可能性があると述べた。
負傷者情報まとめ
まずは明るいニュースから見ていこう。フランシスコ・リンドーアは左手有鉤骨(ゆうこうこつ)の手術から約4週間半後、15日のオープン戦に初出場し、感覚を取り戻しつつある。同様に、右手有鉤骨を骨折してから1カ月後、コービン・キャロルも復帰し、実戦に復帰している。両スターは開幕に間に合う見込みだ。
ゲリット・コールはシーズン開幕時にはヤンキースのローテーションに入らないが、トミー・ジョン手術からの復帰に向けて大きく前進している。昨年3月以来の実戦登板となった18日のレッドソックス戦では1回を投げ、無失点、2安打に抑えた。なお、速球は最速98.7マイル(約158.8キロ)を記録した。
ザック・ウィーラーも再び打者と対戦している。14日にはライブBPを初めて行い、胸郭出口症候群の手術からの回復に向けて一歩前進した。
タンパベイ・レイズのシェーン・マクラナハンも本来の姿を取り戻しつつある。オールスター左腕は直近のスプリングトレーニング登板で7奪三振を記録。メジャーの試合に登板すれば、2023年8月以来となる。
明るい話題がある一方で、悪いニュースもある。シンシナティ・レッズの右腕ハンター・グリーンは、投球肘の骨片を除去する手術を受け、少なくとも7月までは離脱する見込み。ヒューストン・アストロズの左腕ジョシュ・ヘイダーはブルペン投球を再開しているが、左上腕二頭筋の腱炎のため開幕には間に合わない。
キャンプへの新規加入選手
アンドリュー・マカッチェンが現在レンジャーズに所属していることをご存知だろうか。39歳のベテランは3月初旬にレンジャーズとマイナー契約を結び、メジャー昇格を目指している。ここまでは順調で、今春は12打数7安打を記録している。
ナショナルズはザック・リテルと契約し、若いローテーションにベテランの経験値を加えた。30歳の右腕は昨季、レイズとレッズで合計186回2/3を投げ、ナ・リーグワイルドカードシリーズ第2戦(対ドジャース)でも先発を務めた。
自動ボール・ストライク判定システム(**ABS**)の傾向が判明
T-モバイルが提供する自動ボール・ストライク・チャレンジシステム(ABS)は、この春の大きな話題の一つ。新しい技術というわけではなく、昨年のスプリングトレーニングでも試験導入されていたが、今年からメジャーリーグでも正式に導入される。
昨年の3Aのデータから多くの知見が得られており、この数週間の結果からもいくつかの傾向が見えてきた。守備側(成功率59%)は打者側(44%)よりも高い成功率を示しているが、これは投手よりも捕手の影響が大きい。投手によるチャレンジは今春わずか29回にとどまっている。
10回以上チャレンジを行った捕手の中では、パドレスのフレディ・フェルミン(成功率86%)とジャイアンツのパトリック・ベイリー(82%)が最も高い成功率を記録している。
チーム別では、打者側ではカブス(58%)とフィリーズ(56%)が最も高い成功率を示し、ダイヤモンドバックス(25%)が最低となっている。タイガースの打者は最も少ない12回のチャレンジにとどまり、ガーディアンズの打者は最も積極的で40回のチャレンジを行っている。
守備側ではヤンキースが最多の40回のチャレンジを行い、オリオールズは最少の16回となっている。判定覆しの結果と期待値を比較するモデルに基づくと、カージナルスが守備側として最も成功したチーム(+10.7)となっている。
これらの詳細なデータについては、Baseball Savant(ベースボールサバント)のABSダッシュボードで確認することができる。
