FA市場に残る各部門のトップ選手たち

4:10 AM UTC

フリーエージェント(FA)市場で何でもこなすスーパースターを見つけられれば理想だが、実際にはチームがどんなタイプの戦力を必要としていても、毎オフにそのニーズに合う選手はそろっている。

今オフのFA野手から、コンタクト能力、長打力、走力、守備力、肩の強さという野球の「ファイブツール」を基準にそれぞれの分野で際立った長所を持つ選手を探していく。すでに一部のビッグネームは市場から消えているが、どのカテゴリーにも依然として有力候補がそろっている。

ここでは、FA市場にまだ残っている選手の中で、最も優れたツールを持つ顔ぶれを取り上げる。

コンタクト能力:ルイス・アライズ

今季のアライズは本人の基準からすれば物足りないシーズンだったが、それでもナ・リーグ最多の181安打、シーズンを通して三振はわずか21個だった。規定打席に到達した打者で、1シーズンの三振がこれほど少なかったのは、1998年にトニー・グウィンが18三振にとどまって以来だ。

今季のアライズの三振率はわずか3.1%で他の規定打席到達打者と比べると、その半分以下の水準だった。空振り率も5.3%とメジャー最低でアライズは現代で最も確実にバットにボールを当てられる打者と言っていい。

ここではボー・ビシェットを推す考え方もある。ビシェットは2025年に自己最高の打率.311を記録し、スタットキャストの予測打率でも.298で現在FA市場にいる選手の中でトップだった。さらに、ハードヒット(打球初速95マイル=約153キロ)以上の割合がアライズのほぼ3倍(49%対17%)と高く、コンタクトを長打につなげる能力ではビシェットの方が優れている面もある。しかし、純粋なコンタクト能力の高さとその再現性の面で抜きんでているのはアライズだと判断した。

次点候補:ボー・ビシェット

パワー(長打力):カイル・タッカー

カイル・シュワーバーやピート・アロンソがまだFA市場に残っていれば、この項目はどちらかのものになっていたはずだ。その2人を確保したフィリーズとオリオールズの動きは評価すべきだが、主力クラスの打者であるタッカーは、市場に残っている。

2025年にシルバースラッガー賞を受賞したタッカーは、長打力で安定しており、しかも水準が高い。過去5シーズンで平均27本塁打しているだけでなく、打球の質から算出される予測長打率は.518で、この期間のMLB打者の上位5%に入る。

タッカーの長打力を支えているのは、引っ張り方向へのフライを打つ能力だ。全打球の約3分の2がフライやライナーで、その中でも引っ張り方向へのフライ・ライナーの割合が非常に高い。こうした打球は他のどの打球よりも本塁打になりやすい。

次点候補:エウヘニオ・スアレス

スピード(走力):ハリソン・ベイダー

今オフのFA市場は、純粋な俊足タイプが豊富とは言えないが、その中でも高いスピードを持っている1人がベイダーだ。スピードは若いうちにピークを迎えがちだが、ベイダーは来季32歳のシーズンに入る。

ベイダーの2025年のスプリントスピードは毎秒28.8フィート(約8.8メートル)で、メジャー平均の毎秒27フィート(約8.2メートル)を大きく上回っていた。これを上回ったFA選手は毎秒29.3フィート(約8.9メートル)を記録し、2026年はロイヤルズと契約合意しているレーン・トーマスだけだった。

それでもベイダーはスプリントスピードでメジャー全体の上位15%に入り、そのスピードは外野での守備範囲の広さに強く生かされている。守備は非常に優れている。さらにベイダーは、スタットキャストが「エリートスピード」と定義する毎秒30フィート(約9.1メートル)以上を今も定期的に記録しており、2025年にはその水準に達した走塁が37回あり、FA選手の中で最多で、メジャー全体でも上位20人に入っていた。

次点候補:J.T.リアルミュート

守備力:コディ・ベリンジャー

ベリンジャーは、今オフのFA選手の中でも攻守の総合力がトップクラスだ。ここでは守備に絞る。

ベリンジャーは昨季、守備だけで+9点の失点防止を記録し、同じFAクラスの中で最も価値の高い野手だった。

外野の守備範囲に限って見ても、2025年にヤンキースで記録したアウト獲得貢献は+7(OAA=平均的野手と比べどれだけアウトを取ったか)でフィリーズのハリソン・ベイダーが残した数字と並び、このFAクラスのトップだった。

ベイダーもここで名前を挙げるにふさわしい。毎年スタットキャストのデータで上位に入る、安定して優れた外野手だからだ。

次点候補:ハリソン・ベイダー

肩の強さ:J.T.リアルミュート

このFAクラスの外野手でも強肩で知られる選手の何人かはすでに契約を結んでいる。例えばアドリス・ガルシアは、2025年に平均91.9マイル(約148キロ)の送球を記録している。それでも、このクラスで最も突出した強肩は、本塁の後ろを守る捕手にある。

その選手がJ.T.リアルミュートだ。走者を刺す送球で、メジャーの捕手の中でも最速クラスのポップタイム(捕手が捕球してから、二塁ベースカバーの野手が捕球するまでのタイム)を維持している。34歳のリアルミュートは、2025年に二塁送球の平均ポップタイム1.86秒を記録し、スタットキャストのランキングで再びトップに立った。リアルミュートは実質的に、毎シーズンこのランキングの頂点付近にいる。

二塁までボールを速く運べる捕手は、リアルミュートの他にいない。捕手としての強肩は、走塁を封じるうえで大きな武器になっている。走者を刺す能力はメジャーでも最も価値の高い捕手の1人だ。

次点候補:ミゲル・アンドゥハー