ファンにとって、シーズン最初の2カ月はあっという間に感じられるだろう。ただ、以下に挙げる10人にとっては、序盤の不振は永遠のように感じられたかもしれない。しかし、彼らは本来のスイングを取り戻し、今では球界屈指の成績を残している。
ニック・カーツ(アスレチックス)
25日(日本時間26日)のマリナーズ戦で連続出塁記録を48試合に伸ばし、注目を集めている。2025年のア・リーグ新人王は、四球や単打だけで出塁を重ねているわけではなく、最初の19試合での1本塁打から復活し、その後の33試合で7本塁打をマーク。2本目の本塁打を放った4月18日時点では、打率.215、長打率.308にとどまっていたが、そこからの154打席で打率.331、出塁率.474、長打率.587を記録し、5月のwRC+191は規定打席に到達しているのア・リーグ打者でトップとなっている。
ボビー・ウィットJr.(ロイヤルズ)
4月中旬時点では打率.254、長打率は.300未満に留まっていたが、現在は2024年、2025年と同様にア・リーグの安打数でトップに立っている。直近36試合で長打率を約200ポイント上げ、.481まで戻しており、実際今季の8本塁打は全て直近27試合で生まれている。球界屈指の守備力も健在で、25日(日本26日)の試合前時点でFanGraphs(ファングラフス)によるWARで3.3を記録しMLBトップに立っていた。
フリオ・ロドリゲス(マリナーズ)
スロースターターとして知られるマリナーズのスターは、今季も開幕20試合で長打率.267にとどまっていたが、その後は長打率をほぼ倍増させて.529とし、直近34試合で8本塁打を放っている。特に序盤は、三振とゴロの多さが目立っていたものの、4月17日以降、三振率は18.2%と改善し、ゴロ率も55.8%から38.9%へ大きく低下している。
ラファエル・デバース(ジャイアンツ)
ロドリゲスと同じく、エンジンがかかるまで時間が必要なタイプ。ここ2シーズンでも同様の傾向を示していたが、最終的には両年でwRC+130超えを記録した。25日時点のwRC+は94と、リーグ平均の100を下回っているが、4月終了時点ではwRC+51(打率.207、出塁率.248、長打率.289)だったことを考えれば大きな改善だ。実際、5月以降は打率.301、OPS.935、wRC+159を記録している。同月のハードヒット率は55.2%まで上昇し、3〜4月から約13ポイント改善している。さらにバレル率も、4月終了時点の7.4%から5月は13.8%へほぼ倍増した。
ジャズ・チザムJr.(ヤンキース)
ヤンキース打線は今もMLB屈指の攻撃力を誇るが、シーズン序盤は特に凄まじかった。しかし、その中でもチザムは開幕23試合で打率.173、OPS.498と苦戦していた。しかし、24試合目にようやく初本塁打を放つと、翌25試合目にも再び本塁打を記録。その初本塁打以降、25日時点でチザムは5本塁打、打率.303、OPS.873を記録している。
アレック・ボーム(フィリーズ)
はっきり言えば、シーズン最初の1カ月間はMLBでも最悪クラスの打者だった。5月突入時点で打率.151、出塁率.218、長打率.208で、106打席で長打はわずか4本。wRC+20は規定打席到達者の中でワースト2位だった。5月序盤も状況は改善せず、暫定監督ドン・マッティングリーは「リセットさせたい」との考えから、2日間ベンチに置いた。
その判断は大成功だったようだ。復帰初戦で2本塁打を放ち、その後14試合で打率.346、出塁率.393、長打率.654、長打8本を記録している。
サミュエル・バサヨ(オリオールズ)
今季20試合目にサイクルヒットまで三塁打のみという活躍を見せ、その1試合だけでOPSは596から.722へ急上昇した。それ以降の24試合で打率.316、長打率.539を記録。17試合で安打を放ち、打率は.172から.267まで上昇した。
マイケル・ブッシュ(カブス)
開幕戦で3安打を放ち最高のスタートを切ったが、その後13試合47打数でわずか3安打。4月後半から状態を上げ始めたが、それでも4月終了時点のwRC+は71とまだまだ物足りない数字だった。しかし5月に入ってからはwRC+179を記録し、規定打席到達者の中で6位。25日時点で、今月50打球以上放った打者の中では、ハードヒット率61.1%がMLB3位、バレル率20.4%は2位となっている。
ギャビン・シーツ(パドレス)
4月23日、ロッキーズ戦の九回に自らの30歳の誕生日を祝う代打での3ランを放ち、そこから調子をあげている。その打席まで、シーツは打率.219、出塁率.260、本塁打2本。その2本とも4月10日に放ったものだった。しかし、以降の25試合で7本塁打。しかも、その多くが勝負どころでの一打で、期間中の成績は打率.290、出塁率.402、長打率.609としている。
ライリー・グリーン(タイガース)
確かにタリク・スクーバル不在の影響は大きいが、それ以上にタイガースがア・リーグ中地区最下位に沈んでいる理由は打線にある。スクーバルが負傷者リスト入りした5月4日以降、チームは19試合で16敗。総得点49、チームOPSは.576となっている。そして、そんな打線をほぼ1人で支えているのがグリーンだ。
開幕22試合で打率.247、長打率.364だったが、その後32試合では打率.353、長打率.509を記録。4月29日以降本塁打こそ出ていないものの、25歳の外野手は今月9度のマルチ安打を記録し、出塁率は.422。なお、グリーンを含めたタイガースの5月出塁率はわずか.286だ。
