来たる冬のフリーエージェント市場を見据えたパワーランキングを初めて公開した。その中で注目を集めているのがカイル・タッカーでランキングのトップに名を連ねている。
リストで2位に挙げたのはアレックス・ブレグマンだが、彼がフリーエージェントになるかどうかすら、まだ確定していない。ブレグマンは、レッドソックスとの契約の最後の2年(8000万ドル=約118億4000万円)のオプトアウトオプションを持っており、そのうち4000万ドル(約59億2000万円)は繰り延べ(後払い)となっている。動向はシーズン終了後に注目されるが、対象はブレグマンだけではない。
まったくその通りだ。
多くの選手がオプトアウト(契約破棄)条項やプレーヤーオプション(選手に契約ん選択権)を持っており、その行使を検討することになる。一方でクラブオプション(球団が契約延長を決める権利)を持つ選手もおり、これは自分で決められず、2026年の運命は所属球団に委ねられることになる。さらにレギュラーシーズンが終わるまで確定しないベスティング・オプション(成績の条件付き契約延長権)もある。契約の中には相互オプション(選手と球団の両者に契約延長を決める権利)が盛り込まれている場合もあるが、これはほとんど行使されないため今回の対象には含めていない。一方にとって有利な契約であれば、もう一方は拒否するのが常だからだ。オプションの行使に関する決定は、ワールドシリーズ終了後5日以内に下されなければならない。
MLB.comでは、こうした25人の選手を取り上げ、オフシーズン初期にそれぞれの状況がどう展開していくのかを見ていく。
◆オプトアウト(契約破棄)
アレックス・ブレグマン(三塁手/レッドソックス)
契約残り:2年8000万ドル(約118億4000万円、そのうち4000万ドル=約59億2000万円は繰り延べ)
2026年シーズン開幕時の年齢:32歳
ブレグマンは昨年2月、レッドソックスと3年総額1億2000万ドル(約177億6000万円)の契約を結んだが、そのうち6000万ドル(約88億8000万円)は繰り延べ(後払い)分となっている。ケガの影響で出場は85試合にとどまっているものの、出場時には好成績を残しており、16本塁打、53打点、OPS.922を記録している。これ以上の平均年俸を市場で得られるかは不透明であり、オプトアウトはリスクを伴う可能性がある。それでも、多くの関係者は、ブレグマンがこのオプトアウト条項を活用し、レッドソックスとより長期的な再契約を結ぶための交渉材料にすると考えている。
ジャック・フラハティ(右投手/タイガース)
契約残り:1年2000万ドル(約29億6000万円)
2026年シーズン開幕時の年齢:30歳
フラハティは2月にタイガースと2年総額3500万ドル(約51億8000万円)の契約を結び、契約金500万ドル(約7億4000万円)と2025年の年俸2000万ドル(約29億6000万円)を得ることになっている。今季は規定の先発15試合に到達したことで、2026年の年俸は1000万ドル(約14億8000万円)から2000万ドル(約29億6000万円)に倍増した。ただしシーズン終了後にはオプトアウトでき、フリーエージェント市場に再挑戦する選択肢もある。今季は26先発で7勝13敗、防御率4.87と苦しんでおり、シーズンをどう締めくくるかが契約に関する決断に大きく影響することになる。
ルルデス・グリエルJr.(左翼手/ダイヤモンドバックス)
契約残り:1年1800万ドル(約26億6000万円)
2026年シーズン開幕時の年齢:32歳
グリエルは2024年シーズン開幕前にダイヤモンドバックスと3年総額4200万ドル(約62億2000万円)の契約を結んでおり、この契約には今季終了後に残り1年1800万ドル(約26億6000万円)をオプトアウトできる条項が含まれている。来季は年俸1300万ドル(約19億2000万円)が保証されており、さらに2027年には年俸1400万ドル(約20億7000万円)のクラブオプションが設定されている【500万ドル=約7億4000万円のバイアウト(契約延長しなかった際の違約金)を含むため、2026年まで残留すれば最低でも1800万ドル=約26億6000万円が保証される】
今季は121試合に出場し、18本塁打、77打点、OPS.717の成績を残している。この冬に市場を試す選択肢はあるものの、現行契約のままアリゾナに残る可能性の方が高いと見られている。
キム・ハソン(遊撃手/レイズ)
契約残り:1年1600万ドル(約23億7000万円)
2026年シーズン開幕時の年齢:30歳
右肩のケガの影響でわずか24試合の出場にとどまっており、2026年の契約1600万ドル(約23億7000万円)をオプトアウトする可能性は低いと見られている。レイズはオフシーズンに大型契約をトレードに出そうとする傾向があるが、今季のケガ続きの状況を考えると、レイズがキムを放出するのは容易ではないだろう。
テイラー・ウォールズやカーソン・ウィリアムズが遊撃のポジションに入る可能性もあり、その場合はブランドン・ローと決別すれば、キムを二塁へ回す選択肢も考えられる。
フランキー・モンタス(右投手/メッツ)
契約残り:1年1700万ドル(約25億2000万円)
2026年シーズン開幕時の年齢:33歳
モンタスは昨冬、レッズとブルワーズで7勝11敗、防御率4.84という不安定な成績に終わったにもかかわらず、メッツと2年総額3400万ドル(約50億4000万円)の契約を勝ち取った。だが2025年はさらに厳しいシーズンを送っている。広背筋の負傷でシーズン最初の3カ月を棒に振り、復帰して9試合(先発7試合)で3勝2敗、防御率6.28と低迷。先発ローテーションから外れ、最終的には肘の負傷でIL入りした。
トミー・ジョン手術が必要になる可能性もあるモンタスだが、契約最終年1700万ドル(約25億2000万円)は確実に残留する見込みだ。登板できるかどうかにかかわらず、2026年の年俸を保証できるからだ。
タイラー・オニール(右翼手/オリオールズ)
契約残り:2年3300万ドル(約48億8000万円)
2026年シーズン開幕時の年齢:30歳
オニールは昨オフ、オリオールズと3年総額4950万ドル(約73億2000万円)の契約を結んだが、移籍1年目の今季はわずか43試合の出場。出場時には8本塁打、23打点、OPS.726と一定の成果を挙げてはいるものの、試合に出る機会そのものが少ない。そのため、フリーエージェント市場に賭けてオプトアウトする可能性は低いと見られる。
トレバー・ストーリー(遊撃手/レッドソックス)
契約残り:2年5500万ドル(約81億4000万円)
2026年シーズン開幕時の年齢:33歳
ストーリーは契約の最後2年5500万ドル(約81億4000万円)をオプトアウトできる。2022年にレッドソックスへ加入して以降では、最高のシーズンを送っている。だが、ベテラン内野手がオプトアウトしてフリーエージェント市場に挑む可能性は極めて低いだろう。ボストン加入後の最初の3年間で出場はわずか163試合だったが、今季はすでに127試合に出場しており、これは2021年にロッキーズで142試合に出場して以来最多の数字となっている。
◆プレーヤーオプション(選手側に契約延長の選択権)
ピート・アロンソ(一塁手/メッツ)
契約残り:1年2400万ドル(約35億5000万円)
2026年シーズン開幕時の年齢:31歳
今季70試合を終えた時点では、アロンソはナ・リーグMVP候補に名を連ねるかと思わせる活躍で、17本塁打、63打点、OPS.981を記録していた。しかしその後の60試合では、12本塁打、40打点、OPS.693と数字が大きく落ち込み、序盤の勢いから失速している。それでも、本格的な長距離砲がフリーエージェント市場に多く出てこない状況を考えると、アロンソは2400万ドル(約35億5000万円)のオプションを破棄し、再びフリーエージェント市場に挑む可能性が高いと見られている。
コディ・ベリンジャー(一塁手/外野手/ヤンキース)
契約残り:1年2500万ドル(約37億円、バイアウト500万ドル=約7億4000万円)
2026年シーズン開幕時の年齢:30歳
2024年に一度成績を落とした後、ヤンキースへ移籍したベリンジャーは見事に復活した。120試合で24本塁打、75打点、OPS.810をマーク。ベリンジャーはすでに2025年の年俸2750万ドル(約40億7000万円)のプレーヤーオプションを行使しているが、2024年2月にカブスと結んだ3年総額8000万ドル(約118億4000万円)の契約には最後のオプションが残っており、この好成績を追い風にフリーエージェント市場で新たな長期契約を狙うと見られている。
シェーン・ビーバー(右投手/ブルージェイズ)
契約残り:1年1600万ドル(約23億7000万円、バイアウト400万ドル=約5億9000万円)
2026年シーズン開幕時の年齢:30歳
2025年はここまで先発1試合のみ。ビーバーが2026年のオプションをどうするかを予想するのは時期尚早だ。2020年のア・リーグのサイ・ヤング賞投手はトミー・ジョン手術からのリハビリ中だった昨オフ、ガーディアンズに残留し、2年総額2600万ドル(約38億5000万円)の契約を結んだ。今季終盤にかけて健康状態を証明し、往年の投球を取り戻せることを示せば、400万ドル(約5億9000万円)のバイアウトを選んでフリーエージェント市場に出る可能性もある(しかもクオリファイング・オファーの制約が付かない状態で)。一方で健康面やパフォーマンスに苦しむようなら、オプションを行使してトロントにもう1年残留する選択肢を取る可能性もある。
エドウィン・ディアス(右投手/メッツ)
契約残り:2年3700万ドル(約54億7000万円、そのうち1000万ドル=約14億8000万円は繰り延べ)
2026年シーズン開幕時の年齢:32歳
ディアスは2022年の圧巻のシーズンで評価を高め、メッツと5年総額1億200万ドル(約151億円、そのうち2650万ドル=約39億円は繰り延べ)の契約を勝ち取った。しかし2023年は膝の故障で全休し、2024年シーズンも時折不安定だった。それでも3度のオールスター選出を誇る守護神は、今季大きく復活。防御率1.65、セーブ成功率は26機会中24セーブと抜群の成績を残しており、契約最終2年分のオプションを同時に行使するよりも、これを拒否して32歳でフリーエージェント市場に出る可能性が極めて高いと見られている。
ジョク・ピダーソン(DH/外野手/レンジャーズ)
契約残り:1年1850万ドル(約27億4000万円)
2026年シーズン開幕時の年齢:33歳
今回のオプトアウト候補の中では最も明白なケースだろう。ピダーソンはメジャー12年のキャリアで最も不振のシーズンを過ごしており、レンジャーズ加入1年目の今季は70試合でわずか6本塁打、13打点、OPS.587にとどまっている。この状況では、2026年の1850万ドル(約27億4000万円)のオプションを行使するのは確実と見られている。
ロベルト・スアレス(右投手/パドレス)
契約残り:2年1600万ドル(約23億7000万円)
2026年シーズン開幕時の年齢:35歳
過去2シーズン連続でオールスターに選出され、スアレスは現在の野球界で最も信頼できるクローザーの1人であることを証明してきた。今季はリーグ最多の34セーブを挙げ、年齢を考慮してもフリーエージェント市場では年俸平均800万ドル(約11億8000万円)を超える契約を得られるのは確実とされている。そのため、シーズン終了後に2026年と2027年のオプションを拒否し、フリーエージェント市場に挑む可能性が高い。
◆クラブオプション(球団側に契約延長の選択権)
オジー・アルビーズ(二塁手/ブレーブス)
契約残り:1年700万ドル(約10億4000万円、バイアウト400万ドル=約5億9000万円)
2026年シーズン開幕時の年齢:29歳
アルビーズは今季、OPS.629、10本塁打、50打点(130試合)とキャリアで最も低調なシーズンを送っている。それでも契約内容は球団にとって有利であり、2026年と2027年にそれぞれ700万ドル(約10億4000万円)のクラブオプションが設定されている(いずれもバイアウトは400万ドル=約5億9000万円)。この差額300万ドル(約4億4000万円)を考えれば、ブレーブスがアルビーズを来季も残留させる可能性は極めて高い。手首の手術からさらに時間が経ち、再起を図るシーズンになることが期待されている。
ホセ・アルバラード(左投手/フィリーズ)
契約残り:1年900万ドル(約13億3000万円、バイアウト50万ドル=約7400万円)
2026年シーズン開幕時の年齢:30歳
アルバラードは復調のシーズンを送っていたが、5月中旬に禁止薬物の陽性反応で80試合の出場停止処分を受けた。ポストシーズンでの登板資格は失ったものの、2026年のクラブオプションは行使され、フィリーズの救援陣に戻る見込みだ。
ピート・フェアバンクス(右投手/レイズ)
契約残り:1年700万ドル(約10億4000万円、バイアウト100万ドル=約1億4800万円)
2026年シーズン開幕時の年齢:32歳
フェアバンクスのオプションは、当初合意した700万ドル(約10億4000万円)を上回る見込みだ。登板数やセーブ機会に応じた出来高が加わり、1000万ドル(約14億8000万円)を超える水準になるとされている。フェアバンクスはすでに信頼できるクローザーとしての実力を証明しており、オプションが行使される可能性は高い。
ルーカス・ジオリト(右投手/レッドソックス)
契約残り:1年1400万ドル(約20億7000万円)
2026年シーズン開幕時の年齢:31歳
現時点では、レッドソックスはジオリトに対して2026年の1400万ドル(約20億7000万円)のクラブオプションを保持している。ただし今季あと28回2/3イニングを投げれば、このオプションは1910万ドル(約28億3000万円)の相互オプション(選手と球団両者に選択権)に切り替わり、150万ドル(約2億2000万円)のバイアウトが発生する。ジオリトは2021年以来となる好シーズンを過ごしており、20先発で8勝2敗、防御率3.72を記録中。シーズン通算140イニングに到達すれば、その相互オプションを拒否して再びフリーエージェント市場に出る可能性がある。
今永昇太(左投手/カブス)
契約残り:下記参照
2026年シーズン開幕時の年齢:32歳
今永の契約状況は、このオフで最も複雑なケースの一つだ。2024年シーズン開幕前に結んだ4年総額5300万ドル(約78億7000万円)の契約には、いくつもの分岐がある。まずカブスが3年総額5700万ドル(約84億6000万円)のクラブオプションを行使すれば、今永は2026年と2027年に2000万ドル(約29億6000万円)、2028年に1700万ドル(約25億2000万円)を受け取ることになる。シカゴがこれを拒否した場合、今永は2026年の1500万ドル(約22億2000万円)のプレーヤーオプションを行使できる。その場合、カブスはさらに2027〜2028年の2年間4200万ドル(約62億2000万円)を契約に追加でき、そうでなければ今永は2027年に再び1500万ドル(約22億2000万円)のプレーヤーオプションを選択できる。
来季もカブスに残留する可能性が高いと見られているが、その時点で契約がどのようになっているかは予想が難しい。
ラモン・ロレアーノ(外野手/パドレス)
契約残り:1年650万ドル(約9億6000万円)
2026年シーズン開幕時の年齢:31歳
ロレアーノはキャリア最高のシーズンを送っている。前半はオリオールズで82試合に出場し、15本塁打、46打点、OPS.884と好成績を残し、シーズン途中にパドレスへトレード移籍した。移籍後もサンディエゴで22試合に出場し、4本塁打、15打点、OPS.942を記録している。こうした活躍を踏まえれば、パドレスが来季のオプションを行使するのはほぼ間違いないだろう。
ブランドン・ロー(二塁手/レイズ)
契約残り:1年1150万ドル(約17億円、バイアウト50万ドル=約7400万円)
2026年シーズン開幕時の年齢:31歳
ローは今夏、トレード候補として注目を集めていた。なぜなら、レイズは選手の年俸が1000万ドル(約14億8000万円)を超える水準になると、放出を検討する傾向があるからだ。ローは2度目のオールスター選出を果たし、107試合で25本塁打、63打点、OPS.804と好調を維持している。この成績を踏まえれば、レイズがオプションを行使するのは確実とみられる。オフシーズンの焦点は、残留させるのか、それともトレードに動くのかという点になりそうだ。
マックス・マンシー(三塁手/ドジャース)
契約残り:1年1000万ドル(約14億8000万円)
2026年シーズン開幕時の年齢:35歳
膝と脇腹の故障により今季は89試合の出場だが、4月に不調でシーズンをスタートして以降は見事な活躍を見せている。ここまで17本塁打、64打点、OPS.880を記録。マンシーは「ドジャースで引退したい」と語っており、それが確実とまではいかないものの、2026年もチームに残留する可能性は高いと見られている。
フレディ・ペラルタ(右投手/ブルワーズ)
契約残り:1年800万ドル(約11億8000万円)
2026年シーズン開幕時の年齢:29歳
今季エースを担ったペラルタは、27先発で15勝5敗、防御率2.68と圧巻の成績。今回挙げられたクラブオプションの中でも最も明白なケースの一つであり、ブルワーズが2026年の年俸800万ドル(約11億8000万円)のオプションを行使するのは間違いないだろう。
サルバドール・ペレス(捕手/一塁手/ロイヤルズ)
契約残り:1年1350万ドル(約20億円、バイアウト200万ドル=約3億円)
2026年シーズン開幕時の年齢:35歳
レギュラー捕手としての役割は終わりつつあるが、一塁とDHをこなすことで、ほとんどの試合で打線に名を連ねている。今季もなお22本塁打、74打点(124試合)と長打力を発揮しているが、2023年シーズン開幕からキャプテンを務めているリーダーシップこそ、ロイヤルズがオプションを行使するに十分な理由といえる。
ルイス・ロバートJr.(中堅手/ホワイトソックス)
契約残り:1年2000万ドル(約29億6000万円、バイアウト200万ドル=約3億円)
2026年シーズン開幕時の年齢:28歳
ホワイトソックスが今夏にロバートをトレードしなかったことを考えれば、シカゴが2026年のオプションを行使するのは確実だろう。契約には2027年の同額2000万ドル(約29億6000万円)のクラブオプションも含まれており、球団は2年間にわたり保有権を持つことになる。ロバートは今季序盤2カ月は大きく苦しんだが、6月10日以降の50試合では9本塁打、29打点、12盗塁、OPS.815と2023年にオールスターに選ばれた頃の姿を取り戻しつつある。
クリス・セール(左投手/ブレーブス)
契約残り:1年1800万ドル(約26億6000万円)
2026年シーズン開幕時の年齢:37歳
セールはアトランタで再び好投を続けていたが(15先発で5勝4敗、防御率2.52)、肋骨の骨折によって2025年シーズンが中断された。約2カ月以上の離脱を経て復帰が近づいており、2026年も優勝争いを目指すブレーブスにとって、2024年のナ・リーグサイ・ヤング賞投手のオプションが行使されるのはほぼ確実だ。
