オフシーズンの勝者たち:ドジャースからホワイトソックスまでの戦略を分析

3:23 AM UTC

グローブを弾く音、バットの快音、そして「人生最高のコンディションだ」と語る選手たちの声。
週末の大雪に追われていても、春の兆しが聞こえてくる。

スプリングトレーニング開幕まで、数週間を切ったが、2026年シーズンに向けて、最も準備を整えたチームはどこだろうか。

ここでは、この冬に印象的な動きを見せた7チームを紹介する。これは「開幕前の優勝候補7チーム」を意味するものではなく、あくまで、昨季よりもより良いポジションで新シーズンを迎えるための戦略を実行したチームに注目している。

ドジャース

2年連続ワールドシリーズ覇者のドジャースは、トロフィーを手にした全く同じメンバーでシーズンを迎えても、再び優勝候補として注目されていたはずだ。しかし、王者は現状維持で満足するチームではない。

ドジャースはまず、フリーエージェント市場で最高のクローザーと目されていたエドウィン・ディアスと、3年6900万ドル(約103億5000万円)で契約し、チームの数少ない課題を補強した。

さらにオフ最大級の補強として、フリーエージェント市場でナンバーワンと評されたカイル・タッカーと4年2億4000万ドル(約380億円)で契約。4度のオールスター経験を持つ強打者を、層の厚い打線に加えた。

連覇を果たしたチームが、オフに市場最高の打者と最高のクローザーを獲得。これ以上ないオフシーズンになった。

ブルージェイズ

ア・リーグ覇者のブルージェイズは、まずディラン・シースを7年2億1000万ドル(約315億円)で獲得。昨季、クリス・バシットとマックス・シャーザーを失ったローテーションの補強として即戦力となる。さらに、韓国リーグで昨季17勝1敗、防御率1.89を記録したコディ・ポンセを加えたほか、タイラー・ロジャース獲得でブルペン強化をした。

狙っていたカイル・タッカー獲得には至らなかったが、29歳の強打の内野手・岡本和真を獲得。主に三塁での起用が見込まれている。ボー・ビシェットを失ったものの、アンドレス・ヒメネスが遊撃に回り、アーニー・クレメントやダービス・シュナイダーが二塁を守れるため、戦力バランスは整っている。

ブルージェイズは2025年にチーム力を結集し、1993年以来のワールドシリーズ制覇にあと一歩まで迫った。今オフの補強によって、2026年はその最後の一歩を踏み出す態勢が整った。

メッツ

メッツはクリスマス前の1カ月間に積極的な補強を展開。まずブランドン・ニモを放出してマーカス・セミエンを獲得し、ホルヘ・ポランコ、デビン・ウィリアムズ、ルーク・ウィーバーと契約した。しかし、エドウィン・ディアスがドジャースと契約し、ピート・アロンソがオリオールズへ移籍したことで、オフの序盤は低調な印象もあった。

状況が一変したのは先週だ。

ルイス・ロバートJr.を獲得して打線の穴を埋めると、ビシェットを三塁手として3年1億2600万ドル(199億円)で契約。さらにブルワーズのエース、フレディ・ペラルタを有望株ジェット・ウィリアムズとブランドン・スプロートを差し出して獲得する大勝負に出た。

2025年にポストシーズンを逃したメッツは、40人枠の約30%を入れ替え、2026年に向けて新たな顔ぶれで挑む。オクトーバー進出を目指すチームは、まさに再出発の年を迎える。

カブス

カブスはメッツ同様、低調に始まったオフシーズンを数日で一変させた。まず、マーリンズから右腕エドワード・カブレラを獲得し、11月のクオリファイングオファーを受け入れて復帰した今永昇太との先発ローテーションを強化した。

さらに数日後、アレックス・ブレグマンと5年1億7500万ドル(約27億3000万円)の契約を締結。これは、3年前のダンズビー・スワンソン(1億7700万ドル=約27億6000万円)以来の大型FA獲得で、カブス史上3番目に高額な保証総額となる。加えて、過去6年間日本でも活躍したタイラー・オースティンを獲得し、ベンチの層も厚くした。

ブラッド・ケラー、ドリュー・ポメランツ、アンドリュー・キットレッジらの流出で弱体化が懸念されたブルペンを強化。フィル・マトン、ジェイコブ・ウェッブ、ホビー・ミルナー、ハンター・ハーヴィーを加え、昨季ナ・リーグ5位のブルペン防御率3.78をさらに盤石にした。

オリオールズ

オリオールズは、フロントのマイク・エリアス球団本部長が築いた若手コアを軸に、チーム全体の完成形を目指している。オフシーズンはまず、テイラー・ウォードを獲得し、求められていた外野の打力を補強。代償として有望株のグレイソン・ロドリゲスを手放したが、ア・リーグ東地区という激戦区で“今勝つ”姿勢を貫くには妥当なリスクだった。

クローザーのライアン・ヘルスリーとは2年2800万ドル(約4億4000万円)で契約。エリアス体制下でマルチイヤー契約を結んだFAは2人目となった。その後、ペイト・アロンソを5年1億5500万ドル(約24億1000万円)で獲得。球団史上最大規模のFA補強で、総保証額はクリス・デービス(7年1億6100万ドル=約25億1000万円)に次ぐ大型契約となる。2025年の不振を受け、真剣に優勝争いに挑む姿勢を示す一手となった。

アロンソ獲得から約1週間後には、エリアスは4人の有望株とドラフト指名権を放出してレイズから右腕シェーン・バズを獲得。ザック・エフリンも新契約で復帰し、カイル・ブラディッシュ、トレバー・ロジャース、ディーン・クレマーを含む先発陣が強化された。今後も左腕フランバー・バルデス獲得の可能性があり、ローテーションの柱としての補強は続く見込みだ。

パイレーツ

ここまで紹介した5チームはいずれも最近プレーオフに進出しているが、パイレーツは2015年以来、10月の舞台に立っていない。オフ序盤には、パイレーツは今冬の補強に積極的になるとの噂があったが、誰もトップクラスのフリーエージェント市場に飛び込むとは予想していなかった。

しかし、パイレーツは2016年12月のイヴァン・ノバ以来、マルチイヤー契約のフリーエージェント獲得がなく、打者ではその前年のジョン・ジャソ以来となっていた。今冬、この流れが変わり、オールスターのライアン・オハーンを2年契約、2900万ドル(約4億5000万円)で獲得。また、2度のオールスター経験を持つブランドン・ロウもトレードで加入した。オハーンとロウの加入により、2025年にナ・リーグ最下位だった打線に厚みが加わるだろう。

また、ロウ獲得トレードで加入したメイソン・モンゴメリーや、フリーエージェントで1年契約775万ドル(約1億2000万円)で加入したグレゴリー・ソトは、ブルペンの強化に寄与する見込みだ。

さらに、レッドソックスのNo.3プロスペクトで攻撃力が期待されるセンターのジョスティンソン・ガルシアも獲得。充実した補強で、2018年以来の勝ち越しを狙える布陣を整えたと言える。

ホワイトソックス

パイレーツ同様、ホワイトソックスにとっての冬の動きは、リーグの大型補強とは異なる形で注目された。しかし、シカゴは日本の強打者・村上宗隆と2年3400万ドル(約5億5000万円)を結び、多くの人を驚かせた。もしそのパワーがメジャーで通用すれば、この契約は大きな掘り出し物となる可能性がある。

左腕アンソニー・ケイとも2年契約1200万ドル(約1億9000万円)で合意。昨季、NPBで155イニングを投げ、防御率1.74を記録した投手で、過去にフェデをメジャー復帰させて成功した経験を持つホワイトソックスにとって、有力なブルペン候補となるだろう。

さらに、セランソニー・ドミンゲスと2年2000万ドル(約3億2000万円)で合意。加えて、多くがフリーエージェント市場でトップ左腕の一人と見なしていたショーン・ニューカムは、1年契約450万ドル(約7200万円)で加入。これにより、防御率4.16でア・リーグ10位だったブルペンを補強すると同時に、今後のトレードデッドラインで有効な戦力となる可能性もある。

先週、ルイス・ロバートJr.をメッツにトレードし、内野手ルイスアンヘル・アクーニャと右腕トルーマン・ポーリーを獲得。若くコントロール可能な戦力を増やすとともに、長らく取りざたされてきたロバートのトレードの憶測に一区切りをつけた。また、かつてのトッププロスペクト、ジャレッド・ケレニックとはマイナー契約を結び、リスクを抑えつつ戦力を厚くしている。