【ドジャース4-3エンゼルス】アリゾナ州グレンデール/キャメルバックランチ、2月28日(日本時間3月1日)
打撃面で自己ワースト級のシーズンを終えたムーキー・ベッツは、メジャー12年目にして初めての取り組みに着手した。それがスイングの再構築(rewiring)である。
ベッツにとってそれは原点回帰を意味する。自分の強みをより深く理解し、理想的なメカニクスを繰り返すことで体に覚え込ませる。そうすることで、昨季のような長いスランプに陥らないための揺るぎない土台を作ろうとしている。
「単に問題を修正するのではなく、自分が一番得意なことに立ち返った。古いパターンを直そうとするのではなく、動きを体に染み込ませることに集中した」とベッツは語る。
3月1日(日本時間2日)の試合で、トラウトは早速その感覚を試した。結果は2打数無安打だったが、1得点を記録し、チームは4-3で勝利した。キャメルバックランチのバックフィールドには誰よりも早く姿を見せることが多いトラウトだが、この日は健康なレギュラー陣の中で最後にカクタスリーグの試合に出場した。
負傷などがあるわけではないが、ここまで慎重に調整するのは、徹底した負荷管理のためだ。一見すると過剰に見えるかもしれないが、ドジャースは今春だけを見ているわけではない。2年連続でワールドシリーズを戦い抜いた疲労や影響も十分に考慮されている。
デーブ・ロバーツ監督はこう説明する。
「ムーキーには、最初からフルスロットルでスプリングトレーニングに入らせたくなかった。6週間あるキャンプを、段階的に仕上げる期間として使ってほしかった」
ワールドベースボールクラシック(WBC)に参加しないドジャースの選手にとっては、久々の“通常の春”である。2024年はソウル、2025年は東京での開幕シリーズの影響でキャンプが短縮され、さらにワールドシリーズ連覇の代償としてオフ期間も他球団より約1カ月短かった。
ベッツにとって2025年は試練の年だった。スプリングトレーニング終盤には胃腸の病気にかかり、2週間で約18ポンド(約8キロ)減量。体重は戻したものの、シーズン序盤から3分の2までの不振に影響していたと、後に本人も認めている。
8月上旬に、ベッツは自らのシーズンは終わったと語り、キャリア最悪の打撃成績になることを受け入れていた。しかし、その後すぐに立て直し、今ではあのシーズンに対する見方も変わっている。
「チームを助けられるようになるまでは落ち込んでいた。でも仲間の力になれたと感じてからは大丈夫だった」とベッツは語る。
「その前は本当に悔しかった。数字そのものよりも、貢献できていないことが嫌だった。自分の役割を果たせていないと感じていた。だから終盤に少しでも役立てたとき、ようやく一歩引いて『よくやった』と認められたんだ」
最終的な成績は打率.258、出塁率.326、長打率.406、OPS+104。最後の47試合で打率.317、OPS.892と持ち直したことで数字は改善した。しかしポストシーズンでは打撃が安定せず、オフにスイングの「再構築」に取り組む決意を固めた。
「実はその過程を楽しむことができた。自分自身について多くを学び、どうすれば自分が最も機能するかも理解できた」とベッツは語った。「迷いのない精神状態を作り、それを維持できるようになった。一度その感覚をつかめば、もうあちこち探す必要はなくなるんだ」
2025年シーズンのどん底でも前に進めたのは、この意識の変化があったからだ。そしてその姿勢を、今後も持ち続けるつもりだという。
ドジャースのデーブ・ロバーツ監督は、「ベッツはできることをすべてやってきたという意味で成長している。今はただ優勝を目指している。昨年は打撃で苦しんだが、それを脇に置き、チームの勝利に貢献しようとした姿勢が何より重要だった」と語った。
さらにロバーツ監督は、ベッツが単に調子を取り戻すだけでなく、シーズン終盤にはMVP争いに名を連ねるだろうと予測。ベッツ自身も、それ以上を期待している。
「それが自分に課しているハードルだ。こんなに手応えを感じるのは久しぶりだ」とベッツは語った。
