史上空前の大混戦 ナ・リーグのサイ・ヤング争いを制するのは

May 29th, 2026

今季のナ・リーグのサイ・ヤング賞レースは、史上最激戦になるとも言われている。

27日終了時点で「50イニング以上」「防御率2.00未満」「奪三振率1イニング以上」を満たす投手が6人いる。サイ・ヤング賞が各リーグで表彰されるようになった1967年以降、同時期としては前例のない数字だ(2026年は各球団平均56試合消化)。

一方のア・リーグは、ヤンキースのカム・シュリトラーが最有力候補として頭一つ抜けているが、ナ・リーグは“誰が抜けてもおかしくない”状態が続いている。今後数週間で、この群雄割拠のレースが収束するのか、それともさらに混沌を深めるのかが焦点となる。※成績は27日終了時点。

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昨季サイ・ヤング2位のサンチェスが“無失点街道”継続中

昨季ナ・リーグのサイ・ヤング賞2位に入ったクリストファー・サンチェスが、今季さらに別次元の投球を見せている。

4月30日に初回で2失点を喫したのを最後に、そこからは無失点を継続中。現在まで44回2/3連続無失点で、フィリーズに115年間残っていた球団記録を更新した。さらに、オーレル・ハーシュハイザーのMLB記録(59回連続無失点)まで残り14回1/3に迫っている。

昨季は202イニングで212奪三振、防御率2.50でサイ・ヤング賞2位。そこから今季はさらにギアを上げ、防御率1.47、FIP1.81はいずれもリーグトップ。FanGraphs算出のWARも3.3で、全選手中3位につけている。

二刀流・大谷翔平、防御率は驚異の0.82

サンチェスと並ぶもう一人の異次元投手が大谷翔平だ。

昨季はリハビリ明けで慎重な起用だったが、今季は本格的に投手としてマウンドに上がり、直近のロッキーズ戦では6回無安打で、ここまで55イニングで防御率0.82、被打率.147という圧倒的な数字を残している。

9試合終了時点では、1913年以降で4番目に低い防御率に相当するペース。ただし規定投球回には達していないため、防御率タイトルの対象外となる。それでもサイ・ヤング賞は投票対象であり、投手としてのインパクトは依然としてリーグ屈指だ。

球界最速右腕ミジオロウスキー、300奪三振も視野

ブルワーズの剛腕ジェイコブ・ミジオロウスキーが、登板ごとに新たな“速球記録”を更新している。

前回のカージナルス戦では、100マイル超えを57球記録。これは2008年に投球追跡が始まって以降、他の投手を10球上回る最多記録だった。また、同期間における先発投手の最速奪三振は103.4マイル(約167キロ)を計測し、5月8日の自己記録103.3マイル(約166.9キロ)を更新した。

この試合でミジオロウスキーは12奪三振をマークし、カージナルス相手にキャリア最多タイ。直近4登板のうち3試合で2桁奪三振を記録し、今季最初に100奪三振に到達した投手となった。

長身右腕の奪三振率は対戦打者の40%超。今季は2019年のゲリット・コール、ジャスティン・バーランダー以来となる300奪三振到達の可能性もある。

防御率は1.83で、5月は驚異の0.29と圧巻の内容を続けている。

2024年サイ・ヤング王者、さらに上回る序盤成績

2024年ナ・リーグのサイ・ヤング賞投手、クリス・セールは、今季も好スタートを切っている。ブレーブスの左腕は10先発で防御率1.89、72奪三振、被打率.181で、例年ならこの時点でレースの中心にいてもおかしくない内容だ。

実際、2年前にサイ・ヤング賞と投手三冠を同時に獲得したシーズンの同時期と比べても、数字的には今季の方が上回っている。それにもかかわらず、現時点ではナ・リーグの最終候補にすら入らない可能性があるという、異例のハイレベルな争いになっている。

サイ・ヤング争いの“伏兵たち”

ブルワーズのサイ・ヤング候補はミジオロウスキーだけではない。カイル・ハリソンもいる。元トッププロスペクトで、今はブルワーズで「投手として開花」した存在だ。ジャイアンツとレッドソックスでは2023〜25年に42試合(37先発)で防御率4.39だったが、今季は別人のような投球を見せている。

24歳の左腕は直近3登板で18イニング連続無失点。今季は51回2/3で防御率1.57、61奪三振と安定感を示している。

さらに、23歳の元ドラフト全体2位右腕レッズのチェイス・バーンズも好調だ。2026年シーズンで単一の変化球として最多となる、スライダーだけで50奪三振を記録。5月は防御率1.19、シーズン通算でも64回1/3で1.96と安定している。

さらに忘れてはならないのがフィリーズのザック・ウィーラーだ。胸郭出口減圧手術からの復帰となった今季は開幕から1カ月を欠場したためサイ・ヤング争いでは不利な立場だが、それでも6先発で防御率1.67と健在ぶりを示している。状態を維持できれば、投票レースに再び割って入る可能性もある。

異次元の抑え投手、メイソン・ミラー

リリーフ投手のサイ・ヤング賞受賞は、2003年のエリック・ガニエ以来途絶えている。そして今季のナ・リーグの先発投手の層の厚さを考えると、この「空白期間」が続く可能性は高い。

だが、驚異的な数字を出しているパドレスのクローザー、メイソン・ミラーの存在は無視できない。ミラーは今季16セーブ機会をすべて成功させ、防御率0.76、FIP0.24、奪三振率52.2%で異次元の投球を続けている。

昨季の受賞者スキーンズは?

そしてもう一人、忘れてはならないのが、昨季ナ・リーグ・サイ・ヤング賞を受賞したポール・スキーンズだ。

右腕は常に高いレベルで投げてきたが、2026年はやや苦しいスタートとなっている。直近2登板で9失点を喫し、防御率は3.00まで悪化した。ただし、内容自体は決して悪くない。WHIPは0.82でリーグトップ、K/BB比7.22もトップクラス。さらに、200打者以上と対戦した投手の中で、期待防御率(xERA)2.40はリーグ3位だ。1カ月後には再びサイ・ヤング争いの中心に戻っていても驚きはない。