何が起きた!?ホームランキャッチ未遂からのダブルプレー

October 14th, 2025

何が起きていたのか、分かっていた人の方が少ないのではないだろうか。

ナ・リーグ優勝決定シリーズ(NLCS=7回戦制)第1戦の四回、1死満塁でドジャースのマックス・マンシーが放った打球に、ブルワーズの中堅サル・フリーリックがフェンス際でジャンピングキャッチを試みた。

打球は一度グラブに収まったが、完全には捕球できず、そのままフェンス上部に跳ね返り、再びフリーリックのグラブの中に入った。この一連の”ホームランキャッチ未遂”がドジャースの混乱を招いた。

一度は、三塁からスタートを切ったテオスカー・ヘルナンデスも、ボールがグラブに入ったのを確認すると急いで三塁に戻り、タッチアップを図った。しかし、再び走り出す時には、すでに中継役のジョーイ・オルティスのもとにボールが届いており、テオスカーは本塁フォースアウトとなった。

二塁走者のウィル・スミスも打球が捕られたと勘違いして二塁に戻っていたため、テオスカーをフォースアウトにした捕手ウィリアム・コントレラスは、余裕を持って三塁へ向かい、ベースを踏んでスミスをアウトにした。

ドジャースのデーブ・ロバーツ監督は状況を確認するため、ベンチから出て審判団に説明を求めた。審判団はプレーの経過を確認したが、レフトの外野審判チャド・フェアチャイルは最初から「ノーキャッチ」の判定を示していたため、マンシーの打球はヒットではなく、非常に珍しい「8-6-2」のダブルプレーとして記録された。

それでもドジャースは、本塁と三塁でのフォースアウトが正しかったかを確認するため、正式にリプレイ検証を要求したが、フィールド上の判定はそのままとなった。

無得点の均衡を破る満塁弾となるはずだった打球は、結果的に回の終わりを告げるものとなった。もしボールがフェンス(とフリーリックのグラブ)を越えていれば、ドジャースの勝率は88%に達していた計算だったが、逆にブルワーズの勝率が56%に上昇した。

The win probabilities for potential results of Muncy's deep drive.

さらに珍しいのは、時速104マイル(約167キロ)の打球速度で、スタンド目前まで飛んだこの大飛球が「フィールダーズチョイスによるゴロアウト」として記録されたこと。スタットキャストによれば、ドジャースタジアムを含む9球場で本塁打になる打球だったが、プレー中に2人の走者がフォースアウトになったため、そのような記録になった。また、推定飛距離404フィート(約123メートル)は、スタットキャストがデータを取り始めた2015年以降で、併殺打に終わった打球としては史上2番目(!)の長さだった。

エライアス・スポーツによれば、少なくとも直近35年間において、ポストシーズンで8-6-2のダブルプレーは一度もないという。それ以前は、公式記録員が外野の3つのポジション(左・中・右)を区別せずにスコアをつけていたため、同様のプレーがあっても詳細な記録が残っていない。

レギュラーシーズンで最後に8-6-2のダブルプレーが記録されたのは、2004年4月16日までさかのぼる。リグレーフィールドで、カブスのサミー・ソーサが放った中堅への打球を、レッズのケン・グリフィーJrが捕球。トッド・ウォーカーが本塁でアウトになりダブルプレーとなった。