シーズン開幕から一か月。ナショナル・リーグ西地区がMLBで最も競争の激しい地区となっている。
4チームが勝率5割を超え、うち3チームは6割ペースを維持。ドジャースの独走も予想されていた中で、まさに大混戦の様相を呈している。今回は、現地の担当記者たちに、各チームの現状と今後の展望を聞いてみた。
1. 各チーム、好調の要因は?
パドレス(AJカサベル記者)
主な勝因は「投手力」と「フェルナンド・タティスJr.」だろう。主力野手のうち4人が故障者リスト入りしているなかで勝ち続けることができているのは、この2つの要因が大きい。
投手陣の好調を示すのが、開幕24試合のうち7戦で相手を無得点に抑えていることで、これは1992年のブレーブス以来の成績となっている。タティスJr.も選球眼が向上しており、トップバッターとして不安要素が多い下位打線の分まで奮闘。まさにMVP級の活躍を見せている。
ドジャース(ソンヤ・チェン記者)
大黒柱である3人、大谷翔平、ムーキー・ベッツ、フレディ・フリーマンが打てば勝つ。ドジャースは非常にシンプルだ。
開幕直後は打線が不安定で、前述の3人も好不調の波がみられたものの、それでも8連勝を飾る地力の強さは流石。多少の不安要素も3人を中心とした打線で覆すことができる底力を持っている。
ダイヤモンドバックス(スティーブ・ギルバート記者)
昨年、MLBトップの得点数を誇ったダイヤモンドバックスは、今季もその打線が健在。このオフに主力であったクリスチャン・ウォーカーとジョク・ピーダーソンを失ったものの、その2人の穴をジョシュ・ネイラー(一塁)とペイビン・スミス(DH)が埋めている。
何より、爆発的なスタートで打線を支えるコービン・キャロルの存在が頼もしい。勢いが落ちてしまう可能性ももちろんあるが、ここまでのチームを牽引しているのは間違いなく攻撃陣だと言えるだろう。
ジャイアンツ(マリア・グアルダード記者)
ここまでの最大の貢献者は韓国出身のセンター、イ・ジョンフだ。ケガに泣いた昨シーズン(37試合に出場)から復活をとげた2年目となる今季は攻守に存在感を発揮。まさにスターへの階段を駆け上がっている。
他にも、ウィルマー・フローレス(MLBトップの28打点)やマイク・ヤストレムスキーも打線を支え、守備・投手力を武器に接戦をものにしている。
2. 今後に向けて、各チームが抱える懸念は?
パドレス
投手陣の層の厚さが鍵になるだろう。質という点では、とりわけローテーションの前半はプレーオフを勝ち抜けるほどに強力な一方、量という点で見ると長いシーズンを戦う現状のままでは難しいだろう。ダルビッシュ有を筆頭に、怪我人たちがいつ復帰できるかが重要だ。
ドジャース
一見すると投手層は厚いが、それは復帰組(ダスティン・メイ、トニー・ゴンソリン、大谷翔平、クレイトン・カーショウ)を計算に入れた上での話で不確定要素が多いのも事実だ。ポテンシャルの高さは間違いないだけに、彼らが万全の状態で復帰することができれば、大きな後押しとなる。
ダイヤモンドバックス
先発投手の層の薄さが懸念だ。開幕前は十分すぎるほどに思われていたものの、ジョーダン・モンゴメリーのシーズン絶望となる負傷と、先発だったライアン・ネルソンをロングリリーバーとして起用する判断をしたことで、故障者が出れば若手頼みになってしまうリスクを抱えている。
ジャイアンツ
一塁のウエイドJr.の調子があがってこず、打線に勢いをもたらしきれていない。チームNo.1の若手と目されるブライス・エルドリッジ(現在はマイナーリーグ・ダブルAでプレー)の台頭が待たれるものの、クラブは昇格に対して慎重な判断を行っており、まだ時間はかかりそうだ。
3.シーズン序盤のサプライズは?
パドレス
ニック・ピベッタのブレイクは球団にとっても期待以上のものだっただろう。ここまで防御率1.20と最初の5試合での数値としては球団史上トップ。オフシーズンに佐々木朗希の争奪戦に敗れてしまった中で、彼のブレイクはチームを大きく支えている。
ドジャース
昨年のナ・リーグの優勝決定シリーズMVP、トミー・エドマンがさらなる進化をとげている。ここまでの本塁打数はチームトップの8本。たった一ヶ月でキャリアハイの記録まで残り5本と迫っている。二塁でもセンターでも安定した守備を披露しており、まさにチームに欠かせない存在だ。
ダイヤモンドバックス
2017年のドラフトで一巡指名をされるも、なかなかMLBへの適応に苦しんできたペイビン・スミス。アストロズ戦での三本塁打など昨季終盤に活躍を見せ、今季は退団したぺダーソンの後釜として機会を得ると、ここまでその期待に答える活躍を披露。シーズンを通してこのパフォーマンスを維持できるかはまだわからないが、ここまでの結果は非常に明るい材料だ。
ジャイアンツ
先ほどの内容とも重なるが、やはりイ・ジョンフの活躍だろう。もちろん大きな期待とともに加入した選手ではあるものの、ケガに苦しんだ昨季からこれだけのスピードでMLBの投手に適応していることは大きなサプライズだ。この調子が維持できれば、歴代No.1のKBO(韓国プロ野球リーグ)出身の選手としての称号を得ても不思議ではない。
4. 地区優勝に向けて、最大のライバルとなるのは?
パドレス
やはりドジャースだろう。投手陣の層の厚さが最大の違いで、地区優勝という点はどうしても分が悪くなる。しかし、ローテーションの前半にのみ注目すれば、MLBのどのチームにも自信を持って戦うことのできるクオリティを持っている。短期決戦であれば十分にチャンスはあるだろう。
ドジャース
昨季同様にパドレスだろう。選手層の厚さなどを考えれば、シーズンが進むほどにドジャースにとって有利な展開になるだろうが、故障のリスクは常に付きまとってくる。その点においては、パドレスも同様であり、最終的にはドジャースが優勝すると予想するが、開幕前の予想のように、圧倒的な結果になるとは考えにくい。
ダイヤモンドバックス
ドジャースの層の厚さが際立つ。パドレスも似たような課題を抱えているが、ダイヤモンドバックスはそれ以上に選手層では及ばない。よって、彼らにとっては地区優勝以上に、プレーオフに進出することが目標となる。短期決戦に持ち込むことができれば、2023年の再来も夢ではない。
ジャイアンツ
他のチームと同様、やはりドジャースが優勝の最有力候補だろう。ただ、もちろん指を加えてそれをみているつもりはないはず。レジェンドのバスター・ポージーがオーナーとして復帰した今季、球団レコードとなる107勝をあげ地区優勝を果たした2021年のようなサプライズを狙っているだろう。