ベテラン。
経験を積んだ者たちには、「キャリアの厚み」という特別な輝きがある。彼らのプレーは、単なる試合の一部ではなく、野球というゲームの歴史そのものを映し出している。私たちは、彼らが歳月を重ねていくのを、自分自身の時間の流れとともに見つめてきた。
野球は、ただ力で押すだけのスポーツではない。場面を読み、状況を見極め、勝負どころで最善を選ぶ知恵。これこそが、ベテランが今も輝き続ける理由だ。
一塁手:ポール・ゴールドシュミット(38歳)
カージナルスでナ・リーグMVPを受賞したのは、ほんの3年前のことだ。将来クーパーズタウンに名を刻む可能性のあるキャリアの集大成だった。その後もカージナルスで2シーズンを過ごし、昨季はヤンキースで派手さはないものの、まずまずの成績を残した(146試合でOPS.731)。全盛期のスターではないが、特にピート・アロンソ獲得を逃したチームが一塁の1年限定補強を探しているなら、ゴールドシュミット(ゴールドグラブ4度受賞)以上の選択肢は見当たらない。
リリーフ投手:クリス・マーティン(40歳)
メジャーデビューを果たしたのは2014年、ロッキーズでのこと。当時すでに28歳近かった。その後、日本でも2年間(2016〜17年)プレーを経験。10シーズンで7球団を渡り歩き、418試合に登板しながらも先発は一度もない。昨季もレンジャーズで49試合に登板し、防御率2.98と素晴らしい内容だった。2023年にはレッドソックスで防御率1.05を記録し、サイ・ヤング賞の投票も獲得している。いつも何とかしてアウトを取るのが最大の強みだ。
指名打者:アンドリュー・マカッチェン(39歳)
2023年、5年ぶりにピッツバーグへ戻り、2013年にMVPを獲得した街で再びプレーする姿は、実に感動的だった。復帰から3シーズンが経ち、もうMVP争いをすることはないが、チーム内でも上位の打撃成績を残してきた(それがパイレーツ打線の事情を物語っている面もあるが)。本人は来季もパイレーツでのプレーを望んでいるが、現時点では不透明だ。彼がまだ現役を終える気持ちになっていないのなら、私たちも同じ気持ちだ。
外野手:トミー・ファム(38歳)
トミー・ファムは3月に38歳を迎える。信じられないほどのベテランだ。昨季は2021年以来、初めてトレード期限での移籍がなかったが、2024年には3球団を渡り歩いた。それでも38歳の今も、彼の理想の役割は変わらない。右打ちの代打としてベンチから出場し、ときに長打を放ち、出塁率でチームに貢献する(2025年の出塁率.330はMLB平均を15ポイント上回った)。
ファム自身は通算200本塁打(残り51)と200盗塁(残り69)を目指しているが、現実的には難しいかもしれない。彼ほど魅力的な野球人はいない。引退したら、少し寂しくなる存在だ。
リリーフ投手:デービッド・ロバートソン(41歳)
ヤンキースで2度クローザーを務め、マリアーノ・リベラの後継という重責を担ったほどのベテランだ。昨季の大半はテニスをしたり農場で過ごしたりしていたが、8月にフィリーズのブルペン強化のため復帰。結果的にこれが自身10度目のポストシーズン出場につながった。ポストシーズン通算43試合で防御率3.40という実績を考えれば、再び10月の舞台に戻ってきても不思議ではない。もっとも、その前にもう少しテニスを楽しむ時間があるかもしれないが。
一塁手:カルロス・サンタナ(40歳)
16年のキャリアでゴールドグラブ賞とシルバースラッガー賞を獲得しているが、オールスター出場が1度(2019年)のみというのは少し意外だ。出塁能力は常に武器だったが、昨季のクリーブランド復帰では成績を落とし、打率.225、出塁率.316、長打率.333で8月にリリース(解雇)され、その後カブスと契約した。現役選手では通算四球数(1330)でトップに立ち、歴代でも40位タイ。あと1四球を選べば、殿堂入り選手ティム・レインズを抜く。
先発投手:マックス・シャーザー(41歳)
2025年のレギュラーシーズンの成績だけを見れば、41歳のシャーザーにもうそれほどの力が残っていないと思うかもしれない。だが10月、彼は改めて「マックス・シャーザー」であることを証明し、その姿は、2026年に向けて彼を呼び戻したいと考える球団を後押しするものだった。彼はこの20年近く、最も威圧感のあるポストシーズン投手の一人であり続けている。そして忘れてはならない。監督がマウンドに行ってマックスを降板させようとするなら、ひと悶着覚悟したほうがいいということを。
一塁手/指名打者:ジャスティン・ターナー(41歳)
ターナーは昨季、メッツ時代初期を除けばキャリアで最も生産性の低いシーズンを過ごした。カブスで打率.219、ポストシーズンではわずか2打席のみ。球団はオプションを行使せず、4年連続でフリーエージェントとなった。本人は2026年の現役続行を望んでおり、数字は落ちたとはいえ、これまで常に懐疑論者を見返してきたキャリアを考えれば、簡単に見切ることはできない。
先発投手 ジャスティン・バーランダー(43歳)
自ら公言している通り、通算300勝に到達できるのだろうか。2025年は29先発でわずか4勝に終わり、残りは34勝と、簡単な道のりではない。それでも、彼がいまだに質の高いMLB先発投手であることに疑いはない。昨季は防御率3.85と十分に立派な数字を残し、9月の5先発では防御率2.08と抜群の内容だった。もしかすると、本当に300勝に届くかもしれない。50歳まで投げていても不思議ではない投手なのだから。
リリーフ投手:カービー・イェーツ(39歳)
2024年、パドレスで防御率1.17、33セーブを記録し、2度目のオールスター選出を果たすとともに、ナ・リーグのサイ・ヤング賞投票で8位に入った。しかし、昨季ドジャースでのシーズンは混乱続きだった。防御率5.23と苦しみ、後半戦はハムストリングの負傷に悩まされた。30代後半では健康を保つのは難しくなるが、ケガがなければ、まだ十分、戦えるように見える。
