メッツ、先発ローテ補強をどう進めるか?ポイント別に整理

November 15th, 2025
この記事はメッツ番記者のニュースレターからの抜粋です。全文はニュースレター(全文)で読むことができ、購読すると定期的にメールで受け取れる。

メッツの先発ローテーションは2025年序盤の快進撃を牽引したが、その後は崩れてプレーオフの望みをしぼませた。いまデービッド・スターンズ編成本部長には、層は薄くないものの不確定要素、とりわけ先発に不安を抱える投手陣を安定させる課題がある。

一塁手ピート・アロンソとクローザーのエドウィン・ディアスがフリーエージェント(FA)となり、中堅手の定位置も空いている状況でも、先発ローテの立て直しは今オフ最大の懸案と言っていい。

スターンズが検討し得る選択肢は次の通り。

1)直近の方針を継続する
スターンズは就任後、豊富な資金力に依存して先発投手に大型契約を乱発する補強は避け、ミドルクラスの先発を短期契約で加える手法に重点を置いてきた。

このやり方は2024年には奏功した。新加入のルイス・セベリーノ(1年1300万ドル=約20億円)とショーン・マナイア(2年2800万ドル=約43億円、オプトアウト条項あり)が合計63先発で防御率3.69を記録したからだ。だが今季は裏目に出た。

救援から先発に転じたクレイ・ホームズ(3年3800万ドル=約59億円)はまずまずの働き(12勝8敗、防御率3.53)だった一方、フランキー・モンタス(2年3400万ドル=約53億円)とマナイア(3年7500万ドル=約116億円)は負傷で離脱し、復帰後も苦しんだ。

2)FA市場の上位を狙う

昨季の補強が裏目に出たことから、スターンズ編成本部長は今オフのFA市場で大物先発の精査に時間を割く可能性がある。ただし、絶対的エース不在の相場である以上、慎重姿勢は崩さないだろう。

クオリファイングオファー(QO)の影響も考慮する必要がある。フランバー・バルデス、ディラン・シース、レンジャー・スアレス、マイケル・キングら先発上位4人はいずれもQOを受けており、拒否する見込み。QO提示を受けた選手を獲得する場合、メッツは2025年ドラフトの2番目と5番目の指名権に加え、国際アマチュア契約金枠から100万ドル(約1億5450万円)を放出する必要がある。

一方、西武からポスティングされる見込みの今井達也にはその種の制約はない。ただし、評価はローテーション中位格の先発という見立てが一般的だ。

3)若手に託す

答えはすでに内部にあるのかもしれない。スターンズ編成本部長は、ノーラン・マクリーン(MLBパイプライン全体11位)が8月のメジャーデビュー後に48回で防御率2.06、57三振、16四球と好投したことでこの選択肢を検討しているはずだ。

同じ有望株のジョナ・トン(全体46位)とブランドン・スプロート(球団5位)は今季の成績こそ見劣りしたが、2026年に向けて十分に魅力がある。

4)伸びてきたマイナー選手を交換要員にトレード

メッツのマイナーはここ数年で大幅に改善し、MLBパイプライン最新ランキングで7位まで浮上した。投手では前述のノーラン・マクリーン(全体11位)、ジョナ・トン(全体46位)、ブランドン・スプロート(球団5位)。野手ではカーソン・ベンジ(全体21位)とジェット・ウィリアムズ(全体30位)に加え、ジェイコブ・ライマー(球団6位)、エー・ジェー・ユーイング(球団7位)が2025年に大きく評価を上げた。

この若手資産を束ねれば、一線級先発が市場に出た際に大型トレードへ踏み込む態勢を整えられる。噂に上る名前は、タリック・スクーバル(タイガース)、フレディ・ペラルタ(ブルワーズ)、ジョー・ライアン(ツインズ)、マッケンジー・ゴア(ナショナルズ)、サンディ・アルカンタラ(マーリンズ)。