【マンホール制作秘話】パドレス・ダルビッシュ有編

大阪出身のアーティストBAKIBAKIが制作

July 1st, 2025

MLBは大舞台で活躍する12名の日本人選手たちを讃え、オリジナルデザインのマンホールカバーを日本全国で展開している。この12種類のマンホールカバーは、それぞれ異なるアーティストによってデザインされ、選手一人ひとりの「物語」や「個性」が表現されている。

真ん中には背番号11番のダルビッシュ投手。そしてそこから伸びた10本の腕が描かれている。

フォーシーム、スライダー、スイーパー、スプリット、カーブにナックルカーブ。そしてスプリーム。

打者には次の球が全く予想がつかない。

マウンドから繰り出される球に打者は翻弄され、バットが空を切ると肩を落としながら(その球種だったか・・・)と言わんばかりの表情を見せながらベンチに戻る。

ダルビッシュの球種の多さ、巧みさがこの一枚に見事に凝縮されている。

作画を担当したのは大阪府吹田市出身のアーティストのBAKIBAKIさんだ。同地を中心に多彩な制作活動を行う気鋭のアーティストで、万博では壁画を手がけた。

今回、ダルビッシュの絵柄のテーマは「11球種を操る」で、「全球種の握りを写真や動画などで何度も何度も確認した」と話す。そのテーマで何パターンか描き、千手観音のような今回の絵柄が採用となった。

背番号11番の11球種にさらに迫力を加えているのが、鋭角的に連続した模様、いわゆる「バキバキした線」を使った「バキ柄」で、「ダルビッシュ選手のかっこよさを自分のタッチでさらにかっこよく見せたい。さらに自分の個性でもあるバキ柄も生かしたい。そんなせめぎ合いを感じながら楽しく制作をしました」と話す。

同じ大阪出身で、これまでもダルビッシュを応援してはいたが、「さすがに球種までは知りませんでした」と困ったように笑う。今回は全球種の握りを覚え、一つずつの球種を精密に表現した。

(ダルビッシュさん、この握りであっていますか)(スプリームという球種の名前、かっこいいですね)など、海の向こうのダルビッシュに心の中で問いかけながらの作業となった。

BAKIBAKIさんが手掛けたダルビッシュ有のマンホールは6月17日に大阪府羽曳野市のLICはびきのでお披露目された。マンホールカバー横のQRコードを携帯でスキャンすると、ARショートムービーでダルビッシュの「物語」を楽しめる。その作品もBAKIBAKIさんが担当した。

「公共の場にあるアートなので、いつでも誰にでも見ていただけるのは素晴らしいことですし、長く愛されるとうれしいですね。ぜひ現地で触ってマンホールならではの凸凹を感じてほしいですし、動画も楽しんでほしいですね」

今回の絵柄には故郷にまつわるモチーフも入っており、「羽曳野は古墳が有名なので、古墳も描かれていますよ」とのこと。目を凝らして見てほしい。

ダルビッシュは右肘の炎症で開幕から負傷リスト(IL)入りしているが、リハビリ登板を経て復帰も近い。

BAKIBAKIさんは「復帰されたら、試合をじっくりTV観戦したいと思っています」と話す。野球ファンの皆さんも球種イラスト片手に、握りを確認したり、打者の気持ちになって配球を予想しながら観戦してほしい。