11日(日本時間12日)、ジャイアンツ戦の開始4時間以上前。オリオールズの試合前練習で内野の芝生の上に一塁側を向いた巨大な薄型テレビが設置される珍しい光景があった。クレイグ・アルバーナズ監督(43)を始め、所属選手たちもこれまでに見たことがない練習方法だった。設置したのは、ジェイソン・バージョワ一塁コーチ(44)だ。
もちろん、練習中に男子ゴルフのマスターズ・トーナメントを観賞するためのものではない。走塁練習でジャイアンツの投手陣をシミュレーションするために設置された。カムデンヤーズでの今週末のシリーズで対戦するさまざまな投手の動きやけん制球を映し出した。
このテレビは、とてつもなく巨大だった。
「80インチだったと思う」とバージョワ・コーチは、球場の地下通路を通ってオリオールズのクラブハウス入り口までテレビを運びながら語った。
「ウエートルームなどで活用しているのは見たことがありますが、グラウンド上ではありません」とアルバーナズ監督。「ただバージョワが『フィールドに置いてみませんか?』と言ってきた。私は『素晴らしい、やってくれ。電源があるならいいぞ』と答えました。どうやって電源を確保したのかは知りませんが、相当長い延長コードを使ったのでしょう」と振り返った。
11日(日本時間12日)、突然の大型テレビの登場に驚きを隠せなかったのは、コービー・メイヨ(24)やブレイズ・アレクサンダー(26)ら。レオディ・タベラス(27)らとともに練習に加わっていたアレクサンダーは、バージョワ・コーチから「面白いものがあるぞ」と声をかけられた際、当初は何を準備したのか分からなかった。
練習の仕組みはこうだ。
テレビに映し出されるジャイアンツの投手陣の映像は、等身大に見えるほどズームされていた。あたかも本物の投手がマウンドに立っているかのようだった。過去の試合映像から、通常の投球と牽制の動きが交互に流された。
オリオールズの走者は、投手の特定の動き(本塁へ投げる予兆)を見てスタートを切るか、一塁へ戻るかの判断を繰り返した。
「iPadを見てイメージを膨らませるよりも、実際にグラウンドに出てライブに近い状態で練習する方がはるかに簡単です」とアレクサンダー。「バージョワは最高です。よく研究し、準備を怠りません。今年の目標の一つは盗塁を増やすことで、バージョワはキャンプ初日からその意欲を知っていました」と語った。
アレクサンダーは開幕からの13試合でチームが記録した4盗塁のうち2つをマークしている。これは昨季、ダイヤモンドバックスで記録した自己最多まで、あと2に迫る数字だ。
これまで盗塁を量産してきたわけではないが、バージョワ・コーチやダイヤモンドバックスで長年、一塁コーチを務めるデーブ・マッケイら、高く評価されている2人の走塁コーチから指導を受けてきた。アレクサンダーが学んだ最大の教訓は、投手の動きを読むことは純粋な速さと同じか、それ以上に重要であるということだ。昨季、ダイヤモンドバックスとマリナーズで計30盗塁を記録したジョシュ・ネイラー(28)の姿を見て、それを実感し始めた。
「ただ足が速いから盗塁ができるというわけではありません。映像を深く掘り下げて観察することが重要なのです」とアレクサンダー。「細部へのこだわりや、得た情報を完全に信頼することが大切です」と研究の大切さを語った。
リビングにあるものより巨大なテレビで映像を見ることが、助けになるのは間違いない。
「実際の投手がそこにいない状況でリードの幅やジャンプのタイミングを再現するのは難しいですが、あのテレビならより鮮明な視覚情報が得られます」とアルバーナズ監督。「実際の球場で試合に向けて準備するための新たな視覚的手段です。テレビを使ってスタートのタイミングを確認できますし、バージョワが選手と対話しながら練習を進めることができます。試合中では一塁手に聞かれて作戦が漏れてしまうため、こうした踏み込んだ会話はできません」
「素晴らしい試みですし、最高でした」と指揮官は満足げに新しい取り組みを評価した。
