木曜午後、ターゲット・フィールドのビジターロッカールームには沈黙が漂っていた。選手たちは静かに荷物をまとめ、アナハイムへの移動の準備を進めていた。
ロッカーに座ってスマホを見る者、目を伏せたままじっとしている者、黙々とユニフォームを着替えてバッグを閉じる者。一角ではベテラン組が輪になり、この日の苦しい一戦を振り返っていた。
直近6週間、厳しい時期が続いているオリオールズ。この日の敗戦はその中でも上位に入る1日となった。
ツインズとのシリーズ最終戦。試合中に何度もチャンスを迎えながら、それを生かすことができず5-2で敗戦。このカードで3連敗を喫し、シーズンワーストの5連敗。チーム成績は13勝23敗、勝率5割まで10ゲーム差となり、2022年6月15日(27勝37敗)以来の成績となってしまっている。
ここまで負けが込んでしまうことはオリオールズにとって珍しいことだ。
チームの若手選手たちは、マイナー時代から成功を積み重ね、2023年にはア・リーグ東地区優勝(101勝61敗)、2024年にはワイルドカード進出(91勝71敗)と、近年は成功を収めていたからだ。
「毎日勝つために球場に来てるので、負けて帰るのは本当に辛い。負けることが楽しい選手なんていないし(負けが続くと)どうしても雰囲気が重くなってくる」と外野手のヘストン・カースタッドは語る。
しかし、クラブハウスに沈黙はあっても、パニックはない。シーズン序盤に苦しんだチームが、後に盛り返してプレーオフに進出した例は、過去にいくつもある。
右腕のディーン・クレーマーはこう語る。
「まだシーズンは始まったばかりだし、数週間でプレーオフを逃すわけじゃない。ただ、負けた日はみんな落ち込むし、逆に勝った時は最高の気分になる。1日1日を大切にして、できるだけポジティブにいたいと思っている」
クレーマー自身も、その姿勢を投球で示している。前回登板(ロイヤルズ戦)では7回無失点。そしてこの日はツインズ相手に7回2失点・8奪三振の好投を見せた。
しかし、それでも白星につながらないのが、今のチーム状況を物語っている。
この日、オリオールズ打線は得点圏で13打数2安打、残塁9。二回にエマヌエル・リベラの適時二塁打、三回にマウントキャッスルの犠飛で得たリードを得たとはいえ、連敗を脱出するのに充分な援護とはならなかった。
八回、ツインズが一挙3点を奪い試合をひっくり返す。グレゴリー・ソトからブルックス・リーが逆転の2点二塁打を放つと、さらにタイ・フランスがダメ押しとなるタイムリーで勝利を掴みとった。
「(先発の)ディーンができる限りのことをしてくれた中で、勝利を手にする機会は何度もあった。だが、攻撃でチャンスをものにできず、その結果、逆転を許してしまった。このような展開はあってはならない」 ブランドン・ハイド監督は厳しい口調で語った。
苦戦の理由は多岐にわたる。
先発陣の防御率はMLB28位となる5.65で、ブルペンを含む守備陣も精彩を欠いてる。ジョーダン・ウェストバーグやグレイソン・ロドリゲスなど主力を含む13人が故障者リスト入りをしており、万全の状態で戦うことができていない。
だが何より深刻なのは打線の沈黙だ。12敗を喫している直近16試合の中で、12試合で3得点以下。得点圏打率は.190(48-252)でMLB最下位に沈んでいる。
「力んでしまっている選手が多い」と語るカースタッド。「自分もそうだが、得点圏ではつい結果を出そうとしすぎて力が入ってしまう。でも本当は、もっと冷静になって打球を前に飛ばすことに集中すれば、得点につながるはずなんだ」
今後の7シリーズのうち6つは勝率5割未満のチームとの対戦が続くオリオールズ。
しかし、火曜日時点で15勝20敗と、負け越していたツインズとのこのシリーズでスイープを許したように、今のオリオールズにとっては、「楽なカード」は一つも存在しないように感じられてしまう。
「野球は難しい。時にフラストレーションもたまる。でも、顔を上げて前に進むしかない」とマウントキャッスルは語る。
苦しい日々の中でも、試合は毎日続く。だからこそ、復調のきっかけは、いつ訪れてもおかしくはない。
