ドジャース、キケとフィリップスの再契約はあるか

December 4th, 2025

ドジャースはすでに、ワールドシリーズ連覇に貢献し、フリーエージェント(FA)になっていた選手の1人と再契約交渉をまとめた。今後、他の選手も続くのだろうか。

第7戦、九回に同点本塁打を放ち、ワールドシリーズのヒーローになったミゲル・ロハスは3日(日本時間4日)、ドジャース復帰で合意したことをMLB.comは伝えている。契約は1年550万ドル(約8億5800万円)。ベテラン内野手は、2026年シーズンを現役最終年と公言している。

ドジャースが今オフに結んだ最初のメジャーFA契約は、派手さこそないが、メンバー構成を整える堅実な一手だ。ロハスはレギュラーシーズンを通じて主にベンチからの起用が多かったものの、打率.262、OPS.715を記録し、二塁、三塁、遊撃で安定した守備を発揮した。

クラブハウスではリーダー格として存在感があり、連覇したチームの中心的な役割も担っていた。

ドジャースが世界一連覇したこの2シーズン、チーム文化は常に重視されてきた。可能な限り多くのタレントを集めることが最優先事項である一方で、現在のグループが持つケミストリーを維持するためのバランスをどう取るか。オフシーズンの重要な検討材料になっている。

そうした考え方を踏まえると、今オフにドジャースからFAになった選手で、再びチームに戻ってくる可能性が高い名前として挙げられるのは、ユーティリティーのキケ・ヘルナンデスと救援右腕エバン・フィリップスの2人に絞られる。ただし、この2人はいずれもシーズン序盤の欠場が避けられない負傷を抱えており、さらにメジャー40人枠にも余裕が少ない。そのため、春季キャンプ開幕が近づくまでは契約がまとまらない公算が大きい。

ヘルナンデスは11月、シーズンの大半で悩まされていた左肘の手術を受けたと明かした。当初は具体的な手術内容や復帰までのスケジュールを公表していなかったが、その後アダム・オッタビーノの番組「Baseball & Coffee」に出演した際に、伸筋(前腕から肘にかけて手首や指を伸ばす筋肉)の修復手術を受けており、レギュラーシーズンの「1〜2カ月」を離脱する見込みだと語った。

メジャー12シーズンのキャリアを通じて、ヘルナンデスはレギュラーシーズンで常に大きなインパクトを残してきたわけではないが、ポストシーズンに入ると一気に存在感を増す。ドジャースの球団史でポストシーズン最多出場を誇り、プレーオフ通算OPS.825はレギュラーシーズンの同.708を大きく上回っている。

2025年シーズン、ヘルナンデスは左肘の問題でほぼ2カ月間負傷者リスト(IL)に入り、その前後も違和感を抱えながらプレーを続けた。34歳となったこの年の成績は93試合で打率.203、OPS.621にとどまった。

ポストシーズンでの実績は十分に証明済みだが、他球団がドジャースと同じようにレギュラーシーズンの成績を割り引いて評価してくれるとは限らない。そのため、春季キャンプ開始時点でも市場に残り、開幕から2カ月を欠場する見込みが固まった段階でドジャースが再契約を結び、60日間ILに登録するというシナリオも十分あり得る。

フィリップスも事情は近い。31歳の右腕は6月にトミー・ジョン手術を受けており、現在リハビリ中。11月上旬に予定通り投球プログラムを開始したものの、2026年シーズン前半は少なくとも投げられない見通しだ。

年俸調停最終年を迎えるタイミングで、フィリップスはドジャースからノンテンダーFAになった。それでも球団側は、新たな契約を結んで呼び戻すことに関心を示している。2021年にレイズから加入して以来、フィリップスはドジャースで通算201試合に登板し、防御率2.22、45セーブを記録。終盤を任せるリリーフ陣の中でもトップクラスの存在だった。

ヘルナンデスとは異なり、フィリップスの場合は他球団からの関心がより高くなる可能性がある。これまでの実績や復帰までのスケジュール、加えてリリーフ市場の状況を踏まえれば、2年契約の提示を受けてもおかしくない。ドジャースとしては60日間ILの枠が開くまで再契約を待つ手もあるが、その前に動かざるを得なくなる展開も考えられる(シーズンオフの期間は、メジャー40人枠にカウントされない60日間ILに入ることができないルールがある)。

フィリップスは2025年のドジャースで登板が7試合に限られたものの、マウンド外でもリリーフ投手陣に重要な存在であり続けた。この点はヘルナンデスやロハスにも共通している。3人とも、グラウンドの内外でチームに価値をもたらす術を持っている。