どうしてもオールスターの顔ぶれは偏ってしまうものだ。大谷翔平やアーロン・ジャッジが選ばれないなんてことはあり得ず、大方の予想はついてしまう。
だからこそ、投票が始まると、「自分だけが気づいているあの選手」を推したり、投票したくなってしまうものだ。
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今回は、そんな「通っぽい」選手たちを各リーグから6名ずつ紹介しよう。
(成績は全て金曜日時点のもの)
ナ・リーグ(NL)
ロナルド・アクーニャJr.(ブレーブス/外野手)
復帰からまだ18試合しか経っていない? そんなことは関係ない。ブレーブスのスーパースターは相変わらずの爆発力を見せている。打率.353、OPS1.083、そして本塁打6本。なかでも2025年初打席で放った打球速度約186キロ・飛距離約142メートルの一発は圧巻だった。
ナショナル・リーグの外野枠は激戦。ピート・クロウ=アームストロング、カイル・タッカー、コービン・キャロル、ジェームズ・ウッド、タティスJr.、フアン・ソトらそうそうたる顔ぶれがそろうが、アクーニャは誰にも引けを取らない。
オニール・クルーズ(パイレーツ/外野手)
ナ・リーグの外野手リストはまだ終わらない。打率は.226にとどまるが、そんな数字は気にならないほどの迫力を見せるパワーとスピードを兼ね備えたプレーヤーで、13本塁打、ナ・リーグトップの24盗塁。5月26日にはスタットキャスト導入以降最速の打球197.8キロの本塁打を放った。
鈴木誠也(カブス/DH)
ナ・リーグのDH部門には、日本選手でもあり、最大のスーパースター大谷翔平が立ちはだかる。DHの枠は間違いなく彼のものだ。とはいえ、鈴木の成績はオールスターにふさわしい内容。17本塁打に加え、57打点はピート・アロンソに次ぐリーグ2位につけている。
キム・ヘソン(ドジャース/二塁手)
メジャー昇格までに少し時間を要したが、5月頭に昇格してからの活躍は目覚ましい。29試合で打率.391、2本塁打、6盗塁、OPS.997を記録している。ナ・リーグの二塁はケテル・マルテが本命だが、それに負けない活躍を見せている。
マット・オルソン(ブレーブス/一塁手)
今年のナ・リーグ一塁手部門ではアロンソとフリーマンが本命だが、そこに割って入る活躍を見せている。実際、wOBA(どれだけ得点に貢献したかを示す).398は文字通りその2人の間でリーグ2位。長打も多く、打球の質は一級品だ。本塁打・OPSが「わずか」14本、.814で2人には及ばないが、目覚ましい活躍をしているのは確かだ。
マット・チャップマン(三塁手/ジャイアンツ)
オールスターにふさわしい活躍を見せていたタイミングでの右手の負傷が非常に悔やまれる。三塁手ではマニー・マチャドの好調やエウヘニオ・スアレスの本塁打量産が目立っているが、チャップマンは攻守のバランスが非常に優れており、WAR(Wins Above Average: どれだけチームを勝たせたか)ではホセ・ラミレスとマチャドに次いでMLB全体の三塁手で3位につけている。
アメリカン・リーグ(AL)
マイク・トラウト(外野手/エンゼルス)
確かに、今季の数字だけを見れば、ジャッジやフリオ・ロドリゲス、バイロン・バクストンといった他の候補と比べて見劣りするかもしれない。とはいえ、トラウトはやはりトラウトだ。4月に放った飛距離147.5メートル(484フィート)の特大本塁打に象徴されるように、その一振りはいまだに特別。オールスター通算打率.412、本塁打2本、二塁打2本、三塁打1本というその「お祭り男」っぷりをまた見ることができれば最高だ。
ジャクソン・ホリデイ(二塁手/オリオールズ)
昨年の有望株全体1位がついに本領を発揮し始めている。4月末に父のマット・ホリデイから打撃のアドバイスを受けて以降、43試合で打率.284、6本塁打、6盗塁を記録。今のところ二塁手ではグレイバー・トーレスやホセ・アルトゥーベが本命視されているが、まだ決着はついていない。父親がオールスターに7度選出されたように、ジャクソンも初選出へと着実に歩みを進めている。
ジュニオール・カミネロ(三塁手/レイズ)
21歳のカミネロも、ホリデイと似た境遇。昨年の全体4位有望株が、今季はメジャーの舞台でもその実力を発揮している。今季ア・リーグで最速のスイングスピード(平均125.5キロ)を誇り、ワンイール・クルーズに次ぐ全体2位。豪快なフルスイングで15本塁打を放ち、これはアイザック・パレデスと並びア・リーグ三塁手トップだ。
コーリー・シーガー(遊撃手/レンジャーズ)
シーガーが優れた選手であることに疑いはない。しかし、6月は31打数2安打と苦しむ中で、ボビー・ウィットJやジェイコブ・ウィルソン、ジェレミー・ペーニャといった他の候補選手が活躍している今、彼をオールスターに推すのは一見すると無謀にも思える。だが、実は今季のシーガーは打球の質で見ると彼らを上回っている。実際の打率.238に対し、期待打率は.292。実際の長打率.392に対し、期待長打率は.534。さらに、wOBAではMLB全体のショートでトップとなっている。どうやら不運に見舞われているようだが、運も実力のうちということなのだろうか。
アレハンドロ・カーク(捕手/ブルージェイズ)
カル・ローリーが話題をさらっているが、もう1人オールスター級の捕手を挙げるなら、カークの名前は外せない。今季は打率.325、三振率はMLB全体でも2番目に低い10.1%。守備では、スタットキャストの守備指標FRV(Fielding Run Value:失点をどれだけ防いだか)でMLBの捕手中トップ、全野手でもピート・クロウ=アームストロングに次ぐ2位と攻守に活躍を見せている。
デンゼル・クラーク(外野手/アスレチックス)
打撃なんてどうでもいい!そう思わせるほどに守備で魅せる「ハイライト製造器」だ。6月6日のオリオールズ戦ではフェンス際でのランニングキャッチ、3日後のエンゼルス戦では驚異的なスパイダーマンキャッチを披露。スタットキャストのOAA(Outs Above Average:平均の選手と比べてどれだけ多くのアウトを奪ったか)では、出場回数が他の上位選手の4分の1以下ながらもMLB全体でトップ3にランクインしている。彼をオールスターに送り込めば、スター打者たちの打球をことごとく奪い取ってくれるだろう。
