マーフィー監督の10歳息子、「絶対に勝てる」と逆転進出を宣言

October 16th, 2025

ブルワーズがポストシーズンを勝ち進む中で、全国のファンも徐々に、パット・マーフィー監督の“クセ”を知り始めている。たとえば、記者会見では見慣れない顔がいると必ず自己紹介を求めることや、4人の子どもたちのうち、特に末っ子のオースティン(10歳)とジャクソン(6歳)がたびたび壇上に現れることなどだ。

ドジャースタジアムでの練習日にも、オースティンが会見に同席し、記者たちからの質問を静かに聞いていた。第3戦でのブルワーズの先発プランや第1戦で早期降板したクイン・プリースターの起用といったものから、ポストシーズンでまだ目立った活躍のないクリスチャン・イェリッチについてなど、多岐にわたった。

そして、最後にAP通信の記者がオースティンに質問を投げかけた。

AP記者:「オースティン、みんなが君のお父さんの話をいつも聞いてるよ。じゃあ、ブルワーズの“内部事情”に詳しい君としては、この0勝2敗の状況をどう乗り越えるべきだと思う?」

オースティン:「ただ信じて、粘り強く戦い続けることだと思う。やれるって信じてる。うん、絶対にできると思う」

AP記者:「そう思うのはどうして?」

オースティン:「だって、シーズン最初に0勝4敗で始まったときも、みんなすごく良い形で立ち直ったから。あのときの試合はひどかったけど、そのあとリーグ最高の成績で返してきたでしょ。だから今回もやれるって思う」

隣に座っていたマーフィー監督は、誇らしげな笑みを浮かべた。

「その質問をしてくれてありがとう」と、彼は記者に向かって静かに言った。

マーフィーのメモ

ブルワーズのパット・マーフィー監督は、選手たちはもう十分すぎるほど自分の声を聞いてきたと感じていた。

だからこそ、NLCSで2連敗から巻き返しを狙うこのタイミングで、「言葉」ではなく「文字」で思いを伝えることにした。

第3戦前日練習で、ドジャースタジアムの選手ロッカーに置かれていた監督からのメモに、ミルウォーキーの地元紙の記者が気づいた。それは、数字的には厳しい状況にあるチームへ向けた励ましのメッセージだった。メモはこう伝えていた 。

「ブルワーズはシーズンを通して、周囲の期待を覆してきた」

「読んだかい?」と、指揮官はホッグ記者に尋ねた。

「だったらわかるだろう、あれは心からの言葉だよ。もうね、この9カ月間、彼らは俺の声を嫌というほど聞いてるから。だから時には、声じゃなくて、30秒で読めるような短くてシンプルな言葉を紙に書く方がいいんだ。心から伝えたいことを書いた。たとえば『偉大さは、こういう時にこそ生まれる』ってね」

指揮官はこう続けた。

「誰も気づいてないかもしれないけど、これはとてつもないチャンスなんだよ。開幕4連敗、得失点差はMLB史上最悪レベル。そのときに『あと4勝でワールドシリーズ進出だ』なんて言われたら、みんな飛びつくだろう。どんな山が立ちはだかっていても、俺たちは登るだけ。さあ、やるべきことをやろう。過去は過去だ。今を生きよう。このチームでなら、きっと乗り越えられる。今季ずっと、特別な芯の強さを持って戦ってきたから。だから、自信はある」