【シカゴ(イリノイ州)】— ピート・クロウ=アームストロング(PCA)は、今シーズンこれまで一度も休んでいなかった。12日の時点でカブスのスター中堅手は今季67試合すべてに先発出場し、延長戦になった試合も含めてフルイニングでプレーしていた。
だからこそ、カウンセル監督が12日のフィリーズ戦(シリーズ最終戦)で珍しく休養日を与えたとき、クロウ=アームストロングはあまり納得していないようすだった。
「ピートは納得してなかったよ。彼はただグラウンドに出てプレーしたいんだ。ただ、がっかりしてたね。『がっかり』って言葉が一番しっくりくるかな」
12日のパイレーツ戦前に指揮官は、そのときのようすを振り返った。しかし、PCAはその休養で勢いを失うようなことはまったくなかった。23歳の外野手はこの試合で、絶好調の2025年シーズンを再開。四回に先制2ランを放ち、これがチーム最多となる今季18本目となった。3−2で勝利した。
「毎日プレーする準備はできてる。休みの日なんていらない。でも“カウンズ(カウンセル監督)”は、僕たち全員のことを一番に考えてくれてる。出場するか、休むか、いずれにしても彼の判断は信頼してる。休みの日は正直どう過ごしていいかわからないときがある。ソワソワしてた?NO。集中していた?YES」
PCAは、試合後にそう振り返った。
クロウ=アームストロングは、第2打席でさっそく実力を証明してみせた。パイレーツ先発のアンドリュー・ヒーニーに苦しんでいたカブス打線にとって、彼の一撃がこの試合初の得点となった。ヒーニーは、三回までカブス打線をノーヒットに抑えていたが、四回にタッカーが初ヒットを放ち、その2人後にPCAが打席に立った。2ストライク2ボールからのフォーシーム(高さ約3.90フィート=約119cm)を強振すると、打球はスタットキャストの推定で393フィート(約120メートル)飛び、ライトスタンドに突き刺さった。
これは、キャリアで最も高い位置の球をホームランにした記録となった。さらに今季、メジャー全体で最も低い投球を2本、ホームランにしておりり、5月28日のロッキーズ戦では地面から約1.08フィート(約33cm)、5月2日のブルワーズ戦では約0.86フィート(約26cm)の球をスタンドに運んでいる。
「彼に対して“こう攻めればいい”っていう明確な方法が本当にないんだ」と話したのは、カブス先発のジェイムソン・タイヨン。6回1/3を投げて7三振、2失点の好投。6試合連続のクオリティスタート(6イニング以上投げ、自責点3以下)となった。
「みんな彼がメジャーで打つことは分かっていたけど、あのパワーはヤバい。いい球、難しい球でも平気でスタンドの奥まで運んでるからね」とタイヨンは続けた。
PCAがストライクゾーン外の球で好結果を出していることは、数字で見ると驚きかもしれない。この試合前時点で、彼のチェイス率(ボール球に手を出す割合)は44.0%で、MLB平均の28.4%と比べるとほぼ倍だった。
ストライクゾーン外のボールを積極的に振っていくスタイルにもかかわらず、クロウ=アームストロングの三振率は高くない。ストラクゾーン外のボールを振るスタイルが好成績を妨げることもなく、今年のオールスター投票で多くの支持を集めるのは間違いないだろう。
「地面スレスレの球を打つこともあれば、頭の上の球を打つこともある。正直言って、ピートへの攻め方なんてもう分からないよ」
そうと語ったのは、1点差の九回を三者凡退で抑え、今季5セーブ目を挙げた救援右腕ライアン・プレスリーだ。
2023年にメジャー初昇格を果たした当初の苦しみを思えば、いまのクロウ=アームストロングへの評価は驚きに満ちている。彼はメジャー最初の14試合で無安打に終わり、昨年7月30日時点でも打率はわずか.188だった。
それからわずか317日後の今、データサイト・ファングラフスによればナ・リーグトップとなるWAR(勝利貢献度) 3.6を記録し、この試合に臨んでいた。
「現実を突きつけられることはたくさんあったよ。ここ1、2年は手取り足取り導いてくれるような環境だったけど、多くの人が正しい方向へ自分を導いてくれた。『どん底』は大きかったし、自分自身を押しのけて前に進めたとき、それはすごく貴重な学びになった。良いアドバイスが加わって、何が必要かを取捨選択できるようになってきた。それが、毎日球場に来るときの自分の気持ちに大きく影響していると思う」
PCAはこれまでを振り返りながら、周囲のサポートに感謝を語った。
この夜もクロウ=アームストロングが今季これまでで最高の状態にあることを裏付ける内容だった。今季チームメートですら驚くような数字を残し続けており、投手がどこを攻めようとインパクトのある一打を放ってきた。
そして四回の一発が示したように、ストライクゾーンを広げて対応する能力は、1日休んだからといって鈍ることはないようだ。
「30年野球を見てきて、ホームランにするのが難しい球ってのは分かっているつもりだった。でも彼は、それをあっさり覆してきた」
カウンセル監督はPCAの才能に日々、驚かされているようだ。
また、「3番・DH」で出場した鈴木誠也(30)は5試合ぶりの本塁打となる17号ソロを六回に放った。57打点はPCAと並び、ナ・リーグ2位タイにつけている(1位はメッツのアロンソ=63打点)
