フィリーズの外野手補強は完了、今後は正捕手引き留めに注力へ

新加入のガルシアが正右翼手、正中堅手には有望株クロフォードを抜擢

2:30 AM UTC

アドリス・ガルシアは2026年のフィリーズの正右翼手となるだろう。有望株ジャスティン・クロフォードが新しく正中堅手となり、左翼にはブランドン・マーシュが入る。左翼では左打者のマーシュと右打者(おそらくオットー・ケンプ)が併用される見込みだ。

今後数週間で予想外の事態が発生しない限り、2026年シーズン開幕時のフィリーズ外野陣は上記の布陣となりそうだ。フィリーズは16日(日本時間17日)にガルシアと1年1000万ドル(約15億円)の契約を結んだことを正式に発表。ガルシアは、スプリングトレーニング開始前にトレード(または解雇)される予定のニック・カステヤノスに代わる正右翼手となる。また、有望株クロフォードはフリーエージェント(FA)となったハリソン・ベイダーの後任に抜擢される。価格が暴落しない限り、ベイダーがフィリーズに戻ってくることはないだろう。

「基本的には外野陣は固まったと思っている。とてもいい布陣になった」とデーブ・ドンブロウスキー編成本部長は語った。

フィリーズは今オフを迎えるにあたり、2つの最優先事項があった。1つは強打者カイル・シュワーバーと再契約を結ぶこと。もう1つは正捕手J・T・リアルミュートと再契約を結ぶことだ。

先週、フィリーズはシュワーバーと5年1億5000万ドル(約225億円)で再契約を結んだ。リアルミュートには再契約に向けたオファーをすでに出している

ドンブロウスキー編成本部長は「引き続きリアルミュートと連絡を取り合っている。ただ、状況はそれほど変わっていない。解決策を見つけられるかどうか、引き続き検討していきたい。再契約を結びたいという方針は今後も変わらない」と話した。

フィリーズは2つの最優先事項を抱えつつ、外野陣の問題を解決する必要があることも認識していた。カステヤノスと結んだ5年1億ドル(約150億円)の契約はあと1年残っているが、フィリーズはスプリングトレーニングが始まるまでにカステヤノスとの関係を終わらせるつもりだ。また、ベイダーは1年あたり1000万ドル(約15億円)から1500万ドル(約22億5000万円)の3年契約を求めていることが報じられており、フィリーズはベイダーとの再契約が困難であることを把握していた。

先週のウィンターミーティングの時点で、ある関係者は「フィリーズがシュワーバー、リアルミュートとの再契約に成功した場合、ベイダーと複数年契約を結ぶことはないだろう」と予想した。その後、ガルシアと1年契約を結ぶことが決定。これにより、ベイダーがフィリーズに復帰する可能性はほぼ消滅した。

ドンブロウスキー編成本部長は16日(同17日)、次のように語った。

「もし(球団3位メジャー全体54位の有望株である)クロフォードにチャンスを与えたいなら、その機会を確保する必要がある。それがチームの現状だ。クロフォードに出場機会を与え、多くの試合でプレーさせたいと考えている」

フィリーズの外野陣はここ数年、低迷が続いている。2024年はOPS.708にとどまり、今季もメジャー19位のOPS.710に終わった。しかし、有望株クロフォードを正中堅手に抜擢し、復調の可能性があるガルシアを正右翼手に据えることで、この状況を打破したいと考えている。

ガルシアは、今季のマックス・ケプラーと同様に、ややギャンブル要素のある選手だ。今季はレンジャーズで打率.227、19本塁打、75打点、OPS.665、OPS+93と低調なシーズンを過ごし、先月ノンテンダーFAとなった。直近2年間ではOPS.675、OPS+96と平均未満のパフォーマンスにとどまっている。しかし、2021~23年にはOPS.777、OPS+113を記録し、オールスター2度選出。さらに、2023年のア・リーグ優勝決定シリーズではMVPに輝いた

ガルシアが攻撃面で復調することを示唆する指標はそれほど多くない。しかしフィリーズは、ガルシアが打席での判断力を向上させ、ストライクゾーン外のボールに手を出す傾向を改善することができれば、復調できると信じている。

「スイングをもっとコントロールする必要がある。全スイング、全打席でホームランを打つ必要はない。彼ならできるはずだ」とドンブロウスキー編成本部長は期待を寄せる。

また、ロブ・トムソン監督は「無理をしないことが大切だ。彼の周りには本当に優秀な選手がたくさんいるからね」と語る。

ガルシアも指揮官の意見に同意している。通訳を通して「重要なのはヒーローになることではない」と自然体でプレーする姿勢を強調した。

ガルシアは成績次第ではフィリーズ打線の4番打者として起用される可能性もある。ただし、現時点ではアレック・ボームが開幕戦で4番を務める最有力候補だ。

なお、ドンブロウスキー編成本部長はシーズン開幕に向けて、引き続きロースター40人枠をアップグレードする方法を模索していく方針を示しているが、リアルミュート以外に「特に大きなニーズはない」とも述べている。

「ブルペンの補強を検討することになるだろう。しかし、頼りになるリリーフ投手がすでに5人もいる。若い選手にもチャンスを与えないといけない。高く評価している若手選手も数人いる。現状としてはそんな感じだ。あとは、各ポジションの層の厚さを考えていく必要がある。その点については現在、取り組んでいるところだ。しかし、捕手を除いて、レギュラー陣に関しては、ほぼ万全の状態だと思う」と現有戦力への自信を示した。