カイル・シュワーバー(33)は落ち着き、速球を打つ準備を整えていた。
フィリーズのクラブハウスの外にいる多くの人々は、チームの出遅れを受けて最近、何か違うことや劇的な変化が起きることを望んでいた。バットケースやヘルメットが叩き壊され、クラブハウスの食事がひっくり返され、監督が選手の振る舞いに対する罰として交代を命じることを周囲は求めていた。しかし、シュワーバーのような選手は平静を保ち、これまで通用し、これからも通用すると信じているルーティンとアプローチを維持することを好む。
シュワーバーは試合前の準備を終え、13日(日本時間14日)にシチズンズバンクパークで行われたカブス戦の一回、速球を打つ準備を整えて打席に入った。フィリーズは13―7で勝利した。
「速球に対応できる準備ができていれば、変化球も打つチャンスがある」とシュワーバー。
カブスの右腕ハビエル・アサド(28)が投じた初球の速球を見送ってストライク。アサドは続けて低めにチェンジアップを投げた。
「できるだけ長く(球を)呼び込もうとした」
シュワーバーは低めの球に食らいついた。左膝をつきながらバットを振り抜くと、打球は時速103.5マイル(約166.6キロ)、飛距離414フィート(約126.2メートル)を計測してセンターの植え込みへ。フィリーズに1―0のリードをもたらした。
「体が前に出てしまいそうになりながら、低めの球を叩きにいこうとするとあのような結果になる。膝をつくのも同様だ。初めてではないと思うが、あのような意識で打っている」と振り返った。
フィリーズは12日(同13日)、本拠地での2カード連続負け越しを喫し、勝率が5割を切った。ダイヤモンドバックスとのカード最終戦では得点好機を逃しただけでなく、走塁死が2度重なった。ブライス・ハーパー(33)は「ただの質の低い野球だ」と現状を厳しく批判した。
しかし、13日(同14日)の初回に飛び出したシュワーバーの本塁打が、停滞していた打線に火をつけた。フィリーズが2イニング以上連続で得点するのは、4月3日(同4日)以来。
打線の勢いは止まらず、二回に1点を奪い2―0とした。三回にはシュワーバーが右翼へ2ラン本塁打を叩き込み、4―0と突き放した。五回に5点、六回に3点、七回にも1点を追加。直近の62イニングでわずか6イニングしか得点できていなかった打線が、カブス戦では最初の7イニングのうち6イニングで得点を奪う猛攻を展開した。
「最高だよ。楽しいね。私たちは得点を奪うことが大好きだ。グラウンドへ出て、仕事をすることがね。そのために球場へ来て、プレーをしているんだ」とシュワーバーは打線爆発を喜んだ。
シュワーバーは11日(同12日)、打者が「何としても」ビッグイニングや大活躍が必要だと感じてしまうことの危うさについて語っていた。無理に何かをしようとすれば、自分の力を超えたプレーに走ってしまうからだ。
「常に打ちたいと思っているし、タイムリーヒットを放ちたい。イニングの口火を切りたいとも願っている。ただ、それを意識しすぎるとボール球に手を出したり、力みすぎたりしてしまう。このチームには素晴らしい選手が揃っている。自分たちの野球に徹して、やるべきことをやるだけ。そうすれば、毎日チャンスは巡ってくるはずだ」
アレク・ボーム(29)は三回に安打を放ち、17打席無安打の不振を脱した。アドリス・ガルシア(33)も五回に安打を放ち、13打席連続無安打を止めた。J.T.リアルミュート(35)は、8月18日以来となる1試合3安打をマークした。
「リース・ホスキンスの言葉を借りれば」とシュワーバーは切り出した。「いつも心に留めているのが、『打席に立て』という言葉だ。打席に入れば、常にチャンスはある。そうだろう? とにかく打席へ向かおう。チャンスは必ずやってくる。選手たちは室内練習場で懸命に準備を重ね、勝負するための準備を整えてきた。毎日、たゆまぬ努力を続けている」
「だからこそ、結果が出ても驚きはない。打席に向かうときはいつでも、選手たちが何か良い結果を出してくれると思っている。それがこのチームの気質だ」
ベテランスラッガーは、チームの底力を信じている
