今永、千賀ら2026年に球速を上げている6投手

2:54 AM UTC

球速に関する興味深いデータがある。MLBのダレン・ウィルマン氏が、Xで指摘したものだ。

7日(日本時間8日)の試合前の時点で、2026年のフォーシームの平均球速は94.6マイル(約152.2キロ)だった。投球トラッキングが導入された2008年の平均が91.9マイル(約147.9キロ)であったことと比較すると、その差は明らかだ。

シンカーも同様の結果となっている。今季、投手は平均93.9マイル(約151.1キロ)のシンカーを投げているが、2008年の平均はわずか90.7マイル(約146.0キロ)だった。

こうした傾向はすでに知られているかもしれない。投手は球速を優先し続けており、球速がすべてではないものの、大きな助けとなるのは間違いない。今季序盤に大幅な球速アップに成功し、恩恵を受けている6人の投手を紹介する。

以下の成績はすべて6日(日本時間7日)の試合終了時点のもの。

今永昇太(カブス)

2026年フォーシーム平均球速:92.2マイル(約148.4キロ)昨年比+1.4マイル=約2.3キロ

今永昇太(32)は昨季、左太もも裏の肉離れで2カ月近く離脱し、復帰後は直球の球速が伸び悩んだ。2025年シーズンの最後17先発で、今永のフォーシームは平均90.7マイル(約146.0キロ)にとどまり、新人だった24年の平均から1マイル(約1.6キロ)近く低下した。技巧派左腕にとって球速がすべてではないが、2025年の不調の一因になった。フォーシームのランバリュー(その球種が失点をどれだけ防いだか、あるいは増やしたかを示す指標)は-10で、最も価値の低い球種だった。

2026年は状況が異なる。オープン戦での直球の平均が92.5マイル(約148.9キロ)を記録すると、今永はその球速アップをレギュラーシーズンでも維持している。今季はすでに93マイル(約149.7キロ)以上を12球投げており、昨年1年間でわずか13回だった記録に早くも並ぶ勢いだ。前回のガーディアンズ戦では、5イニングの平均が92.6マイル(約149.0キロ)で、一回の平均球速と同じ数字を維持した。

今永にとって、球速と同じくらい重要なことは、変化量を含めた直球の軌道が、2年前の状態までさかのぼってみても、当時の質に近づいていることだ。全体的に見れば、球速の向上は万全であることを示している。今永はオフの間、この目標に向けて取り組み、下半身を強化して左太もも裏のケガの後に狂いが生じたフォームを修正した。マシュー・ボイド(35)やケイド・ホートン(24)のケガを受け、カブスは今永がオールスター級の投球をすることを必要としている。直球の質が戻ってきたことは、良い方向への前進と言える。

ジェンセン・ジャンク(マーリンズ)

2026年フォーシーム平均球速:94.9マイル(約152.7キロ)昨年比+1.3マイル=約2.1キロ

マーリンズは最近、革新的な取り組みの最前線におり、ジャンクはその流れに合致している。

マーリンズは昨年2月、メジャー登板がわずか15試合だった当時にさかのぼって、この右腕とマイナー契約を結んだ。ジャンクは110回を投げ、防御率4.17、FIP(守備の影響を排除し、被本塁打、与四死球、奪三振のみで投手の能力を評価する指標)3.14を記録し、主に優れた制球力に頼っていた。1年後、同投手の手法は少し変化している。

今季の初先発で、ジャンクのフォーシームは平均95.4マイル(約153.5キロ)。これは自己最速の1試合平均球速だった。2度目の先発ではそこまで速くなかったが、それはジャンクが素晴らしい投球を続けたことにも起因する。八回、多くのイニングで95マイル(約152.9キロ)前後を維持していた直球が、スタミナ切れにより92.4マイル(約148.7キロ)まで低下した。

過去、ジャンクが剛速球は一時的だった。昨季、95マイル(約152.9キロ)に到達したの回数は84回。しかし、ジャンクが週末にヤンキースタジアムでMLB公式サイトのマーク・フェインサンド記者に説明したように、なぜ安定してその数字に届かないのかを突き止めたいと考えていた。

昨年9月、ファングラフスが腕の角度のバリエーションに関する記事のためにジャンクに取材を申し込んだ。ジャンクは敬意を持って断った。「提供できる情報が何もありませんでした」と語った。「しかし、それが頭の中で電球が点灯するきっかけになりました」とジャンクはその案を温め、後にオフのトレーニング拠点であるドライブラインのスタッフに提案した。

「トレーナーに、これを調査して裏付けがあるかを確認できないか提案しました」とフェインサンド記者に語った。「トレーナーはグラフを作成し、『イエス』と答えました。投げたすべてのフォーシームの腕の角度を一つずつ分析してくれました。腕の角度が高くなるほど球速は遅くなり、角度が低くなるほど球速は上がっていました。そこで『わかった、それなら毎回そうすればいいだけじゃないか』と考えた」

ジャンクはオフの間、低いリリースポイントの取得に時間を費やし、高強度の投球や遠投、遊撃手のような動きを意識した練習を重ねた。リリースポイントが上がっていないかをトラックマンのデータで細かく確認し、現在は最適なポイントを見つけ出している。2025年、ジャンクのフォーシームの平均的な腕の角度は55度だったが、2026年は48度の角度から投げている。

他にも変化が起きている。通常、オーバースローのような高い腕の角度は、ホップ成分を生むために必要なバックスピンをかけやすい。しかし、ジャンクは低い位置から投げているにもかかわらず、直球のホップ成分を増加させている。球速が上がり、垂直方向のムーブメントも増えたため、フォーシームのStuff+(球速、変化の度合い、リリースポイントなど物理的データに基づき、投球の質を数値化した指標)の数値が急上昇した。

ジャンクは語った。

「驚くべき結果です。Stuff+が上がり、wOBA(打席あたりの得点貢献度をベースにした、投手にとっては低いほど良い指標)が下がるなど、良い兆しがあります。狙い通りに投げられますし、そうでなくても球速が上がっているため、抑え込める余裕が生まれました。そこで理解を深められました。ファングラフスの記事のために取材依頼を受けたことに感謝しています」

千賀滉大(メッツ)

2026年フォーシーム平均球速:96.7マイル(約155.6キロ)昨年比+2.0マイル=約3.2キロ

メッツが昨年9月の優勝争いの真っただ中に、千賀滉大(33)をマイナーへ降格させたことを踏まえると、今季は証明すべきことが多くある。絶好調時の千賀は、疑いようのないエースだ。今春のオープン戦で力強い投球でアピールした。注目を集め、2023年にオールスターに選出された当時の姿がまだ健在であることを予感させている。

その楽観的な見方はレギュラーシーズンにも波及しており、次のようなデータが何よりの証拠となっている。

前述の今永同様、千賀は2025年、直球に苦しんだ。ランバリューは-6で、最も価値の低い球種だった。相手打者はその直球に対して打率.281、長打率.547を記録。球速の低下と不安定な制球につけ込まれた。

2先発を終えた時点で、千賀は球界でも最大級の前年比の球速アップによる恩恵を受けている。今季の初先発では、フォーシームの平均球速が自己最速の97.4マイル(約156.8キロ)を記録した。2度目の先発では平均96.0マイル(約154.5キロ)と球速は低下したものの、2025年の全22先発のうち、どの1試合の平均よりも速い平均球速だった。負傷がちな右腕は、万全であるように見える。

千賀の最大の武器は依然として代名詞の「お化けフォーク」だが、この2つの球種はセットで機能する。高めの直球が低めのフォークを生かし、その逆もまたしかりだ。今季すでに、フォーシームで7三振を奪っている。昨季は1年間でわずか15三振だった。相手打者は千賀の直球に対し、計15打数2安打、空振り率28.9%を記録。昨年にはなかったキレが戻っている。

アントニオ・センザテラ(ロッキーズ)

2026年フォーシーム平均球速:97.4マイル(約156.8キロ)昨年比+2.4マイル=約3.9キロ

この球速向上は、ロッキーズが昨年9月に決断したアントニオ・センザテラ(31)のブルペン転向が大きく関係している。なぜか。

昨年9月、当時監督代行だったウォーレン・シェーファー(41)は「最大1、2回を全力で投げ、97から100マイル(約156.1から160.9キロ)を計測する。それには大きな魅力がある」と語った。

センザテラが130回を投げ、防御率6.65でシーズンを終えようとしていたことを考えると、それは少なくとも楽観的に思えた。センザテラは決して球の遅い投手ではなかった。フォーシームの平均は95マイル(約152.9キロ)だったが、その球種には課題があった。

投球の57%でフォーシームを使用していたものの、相手打者に打率.352、長打率.540を許していた。これは、メジャー全体のあらゆるフォーシームの中でも最悪の部類の数字だった。

現在、センザテラはシェーファーが思い描いた通り、全力で投げている。

2試合に登板した時点で、最も遅いフォーシームでも95.1マイル(約153.0キロ)を計測しており、昨季の平均を上回る数字となっている。効果も出ている。サンプルサイズは小さいものの、相手打者はセンザテラのフォーシームに対し、8打数1安打、14スイングで4度の空振り。

他にも特筆すべき点がある。センザテラの球速は全体的に向上しており、全6球種のうち、他の4球種でも少なくとも1.4マイル(約2.3キロ)の球速アップを記録した。フォーシームの割合を過去最低の39.1%まで下げているため、この向上は重要だ。まだシーズン序盤ではあるが、球速が向上したことで、ブルペン転向を成功させる要素がそろっている。

タイラー・フィリップス(マーリンズ)

2026年シンカー平均球速:96.6マイル(約155.5キロ)昨年比+1.2マイル=約1.9キロ

ブルペンから登場する際に自らを叩く独特なスタイルで、タイラー・フィリップス(28)を知っているかもしれない。非常に打ちにくい投手だが、もともと優れた横の変化を持つシンカーに1マイル(1.6キロ)以上の球速を加えたことで、相手打者にとってはさらに厄介な存在となっている。

タイラー・フィリップス(28)は2024年にフィリーズで先発投手としてメジャーデビューした。現在は短い回での登板となっており、球速が上がっているのは驚きではない。しかし、リリーフ転向1年目だった昨季の通算記録を上回る回数、今季はすでに97マイル(約156.1キロ)以上を記録している。何が変わったのか。身長6フィート5インチ(約195.6センチ)、体重225ポンド(約102.1キロ)のフィリップスは、オフに肉体強化に励んだ。フロリダの施設クレッシー・スポーツ・パフォーマンスで最低速度の基準を設けながらデッドリフトを行うなど、球速アップに特化したトレーニングを取り入れた。

「大部分は、自身の体がどう動くべきかを理解したことにあります」とフィリップスは4日(日本時間5日)、ヤンキースタジアムでMLB.comに語った。「期待球速のモデルというものがあります。表面的な部分では、腕の振り、踏み出し足のブロック、回転力、マウンド上での推進力などです。自身が得意なことを選び、それらを活用して、自身を最大限に高めようとしています」と説明した。

取り組みは実を結び、マウンド上でその違いを実感している。

「私たちの投手用プランシートがあり、自身のものを見ると、球質がいかに優れているかがわかります」とフィリップスは語った。「それにより、失投に対する許容範囲が広がります。シンカーを投げる際、ストライクゾーンでその球を信じる必要があります。92マイル(約148.1キロ)のときは、細心の注意を払わなければいけませんでした。時折、完璧な球を投げなければならないという考えに陥ることがありました。ですが、97、98マイル(約156.1、157.7キロ)あれば、打つのは困難です」と続けた。

実際にその通りだ。フィリップスは今季、これまで対戦した24打者に対し、被安打をわずか2本に抑えている。

ランディ・バスケス(パドレス)

2026年4シーム平均球速:94.3マイル(約151.8キロ)昨年比+0.8マイル=約1.3キロ

2026年シンカー平均球速:94.5マイル(約152.1キロ)昨年比+1.4マイル=約2.3キロ

パドレスの先発ローテーションはすでにケガで深刻なダメージを受けており、その中でランディ・バスケス(27)の進化は特に注目に値する。フアン・ソト(27)をヤンキースへ放出したトレードにおいて、「忘れ去られた駒」の一人であったバスケスは昨季、FIP4.85、期待防御率がMLBの下位7パーセントにあたる5.37でありながら、防御率3.84を記録した。空振り率15.7パーセントは、75イニング以上を投げた全175投手の中で最低の数字であった。

今季の初先発、バスケスはこれまでとは異なる内容だった。95マイル(約152.9キロ)以上を24球投じ、1試合における自己最多タイ記録となった。しかし、特筆すべき点はここからだ。実際は、バスケスの球速向上は昨夏の時点で始まっていた。7月に平均93.3マイル(約150.2キロ)だったフォーシームは、9月に95マイル(約152.9キロ)へ上昇。さらにオープン戦では平均95.6マイル(約153.9キロ)を記録していた。

バスケスが進化を遂げたのは、ダルビッシュ有(39)に助言を求めたことがきっかけだった。ダルビッシュはブルペンでの練習やワークアウトの後にアドバイスを送った。MLB.comのA.J.カサベル記者が記している通り、バスケスは球速アップを目標にオフのルーティンを刷新し、肉体改造にも取り組んだ。

驚くべき数値がある。昨季9月以前、バスケスがキャリアを通じて95マイル(約152.9キロ)に到達したのはわずか10度。それ以降の6試合の先発登板では57度も計測している。4日(日本時間5日)の登板ではその数値に届かなかった。フェンウェイパークの極寒の気候が影響した可能性も考えられる。そうでなければ、あらゆる兆候が、この球速アップが本物であることを示している。