気がつけば、シーズン最初の1カ月がすでに終わっている。子どもの成長のようにあっという間だ。
5月、シーズン2カ月目に突入する。この時期は見過ごされがちだが、実は長期的に見れば重要な意味を持つ(例えば昨年の5月1日時点で、メッツはMLB全体で2番目の成績だった)。ここでは、この1カ月の注目ポイントを6つ紹介する。
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1 不振の“優勝候補”たちは立て直せるか?
開幕前の期待が大きいほど、不振の時の反動は大きい。実際、既にレッドソックスとフィリーズは成績不振に伴い、監督を解任している。
ただ、立て直すことも十分に可能だ。例えば、昨年のブルージェイズは5月1日時点で負け越していたが、その6カ月後にはワールドシリーズ制覇にあと一歩まで迫っていた。レッドソックス、フィリーズだけでなく、メッツ、アストロズ、ロイヤルズにもまだ希望は残されている。
これらのチームはいずれも勝率5割を5ゲーム以上、下回っているが、まだ完全に脱落したわけではない。フィリーズとメッツはブレーブスに離されているものの、まずは勝率5割に復帰すればワイルドカード争いに加わることができる。レッドソックスも同様で、アストロズとロイヤルズに関しては、所属地区に勝ち越しているチームがアスレチックス(わずか3ゲーム差)しかおらず、どのチームも独走していない。
ただし、5月も4月のような戦い方をする余裕はない。ひどい1カ月は耐えられても、それが2カ月続けば立て直しは極めて難しくなる。
2 ナ・リーグ中地区で抜け出す・崩れるのはどこか?
今季ここまでの最大のサプライズの一つは、ナ・リーグ中地区の全5チームが勝率5割以上ということだ。もともと圧倒的な強豪が揃う地区とは見られていなかっただけに、その意味は大きい(ちなみに、パイレーツはちょうど5割で最下位)。
負傷者が続出する中でも勝ち続けているカブス、ブルワーズを筆頭に、パイレーツは予想以上の打撃力を発揮し、カージナルスはジョーダン・ウォーカー、イバン・エレーラ、JJ・ウェザーホルトといった若手が台頭。そして何より、テリー・フランコーナ率いるレッズが、エリー・デラクルーズのMVP級の活躍にけん引され、素晴らしいスタートを切っている。
この中から脱落するチームも出てくるだろう。得失点差が-8のカージナルスはその可能性が高いと見られるが、いずれのチームも競争力と意欲を備えている。シーズンを通して激しい争いになる可能性は高い。5月の段階で抜け出すチームは現れるのだろうか。
3 マイク・トラウトは健康を維持し、“マイク・トラウト”であり続けられるか?
昨季は2019年以来初めて119試合以上に出場したが、キャリアで最も低調な打撃成績(それでもOPS+は124)を記録。年齢による影響が心配視された。
だが、2026年のトラウトは、まさに全盛期そのものだ。ア・リーグで得点と四球のトップに立ち、10本塁打を記録。出塁率は2019年のMVPシーズン以来の高さで、OPSは.999(通算.977を上回る)。守備や走塁でも軽快さが戻っており、すでに5盗塁を記録(6盗塁を超えれば2019年以来)している。懸念はやはり負傷だが、2010年代に見られた“確実な殿堂入り選手”としての姿は戻ってきた。この状態を5月、そしてシーズンを通して維持できるかが鍵となる。
4 ゲリット・コールとカルロス・ロドンは万全の状態で戻ってくるのか
常にプレッシャーにさらされ、ファンの中には“崩壊の危機”を感じている者もいるヤンキースだが、今季はア・リーグ最高のスタートを切っている。しかもこれは、チーム屈指のエースであり高額契約のコールとロドンを欠いた状態での結果だ。両者はすでにマイナーで登板を重ねており、今週は2Aで登板している。
チームの好調ぶりやキャム・シュリットラー、マックス・フリード、ライアン・ウェザース、ウィル・ウォーレンら投手陣の状態を考えれば、無理に復帰を急ぐ必要はない。それでも、すでに機能しているチームにリーグ屈指の先発投手が2人加わることになる。5月は、ヤンキースがさらに飛躍する月になるのだろうか。
5 ルーキーたちの勢いはどこまで続く?
ここまでは間違いなく“ルーキーのシーズン”だ。現時点で新人王候補を絞るのは極めて難しい。ナ・リーグではパイレーツのコナー・グリフィン、メッツのノーラン・マクリーン、カージナルスのウェザーホルト、レッズのサル・スチュワートが注目を集めているが、ダイヤモンドバックスのホセ・フェルナンデス、ロッキーズのTJ・ラムフィールド、ナショナルズのフォスター・グリフィンも侮れない(まだ挙げきれていない選手も多い)。
ア・リーグはさらに充実しているかもしれない。投手ではガーディアンズのパーカー・メシックやレッドソックスのコネリー・アーリー、打者ではホワイトソックスの村上宗隆、ガーディアンズのチェイス・デローター、ロイヤルズのカーター・ジェンセン、タイガースのケビン・マクゴニグルなどが挙げられる(2024年全体1位のトラビス・バザーナも昇格している)。
この1カ月はルーキーたちがリーグを席巻したが、メジャーでは対戦を重ねるうちに必ず対応される。どの選手がその壁を乗り越えられるのかが問われる。
6 大谷翔平はサイ・ヤング賞争いに加わるのか?
大谷翔平がまだ手にしていない賞は何か。ワールドシリーズ制覇2回、リーグ優勝決定シリーズMVP、新人王、そしてMVP4回。そう、残るはサイ・ヤング賞だ。そして、今季はそれを狙っているようにも見える。投手として登板しながらDHに入らなかった試合がすでに2試合ある。これまでにない調整を行なっているように見える。
そして、おそらく偶然ではないが、投球内容はキャリア最高のスタートを切っている。最初の5登板で防御率0.60という驚異的な数字を記録し、まだ本塁打も許しておらず、FIP(守備の要素を排除した防御率)でもナ・リーグトップに立っている。打撃成績はわずかに落ちているが、投球内容は圧倒的だ。これまでサイ・ヤング賞の投票を受けたのは2022年(エンゼルス時代の4位)のみだが、これほどの投球はかつてなかった。5月も同様の内容を続ければ、サイ・ヤング賞の最有力候補に躍り出る可能性がある。改めて言うが、それはとてつもないことである。
