全米野球記者協会(BBWAA)が発表する新人王は、ア・リーグではニック・カーツが、ナ・リーグではドレイク・ボールドウィンが全会一致で選出される可能性が高く、両リーグで満票受賞者が誕生すれば、2023年のコービン・キャロルとガナー・ヘンダーソン以来、通算6回目となる。
しかし、2025年の新人たちのうち、将来的に最も価値あるキャリアを築くのは誰か。それを見極めるのは容易ではない。私たちは2015年以降、1シーズンの成績にとどまらず、過去の実績や将来性を加味して、新人選手たちの長期的な活躍を毎年予測している。例えば、メジャー到達時の年齢は成功との相関が強く、さらに投手の負傷リスクも重要な要素となる。
確かに、カーツが2025年シーズンで最も優れた成績を残したのは明らかだ。また、ブレーブスのボールドウィンは24歳で正捕手として定着したが、捕手というポジションは選手寿命が短い傾向にある。したがって、今回のランキングでは最年少(21歳)かつレッドソックス加入前は全米ナンバーワン有望株とされていたロマン・アンソニーを1位に選出した。
今回の対象となったのは、シーズン中に130打数、50投球回、または45日間のメジャー登録期間のいずれかを超えて「新人資格」を卒業した選手のみである。オリオールズの捕手サミュエル・バサーロ(MLB全体7位)、メッツの右腕ノーラン・マクレーン(同11位)、パイレーツの右腕ババ・チャンドラー(同14位)は、基準に迫りながらもわずかに届かなかった有力株だ。ブルージェイズでポストシーズンの英雄となったトレイ・イェサベージ(同26位)もレギュラーシーズンでわずか14回しか登板していないため、対象外となっている。
繰り返しになるが、以下は長期的な視点で見た新人選手のランキングであり、カッコ内はシーズン時の年齢である。
1位 ロマン・アンソニー (外野手/レッドソックス/21歳)
左脇腹の負傷で離脱するまで、71試合で打率.292、出塁率.396、長打率.463を記録し、8本塁打、40四球をマークした。ア・リーグ/ナ・リーグの歴史上、1試合で本塁打と4四球を記録した選手としては史上3番目の若さ(メル・オット、テッド・ウィリアムズに次ぐ)であり、レッドソックス史上でも、テッド・ウィリアムズと並び、デビューから50試合で82回出塁した唯一の選手となった。
2位 ニック・カーツ(一塁手/アスレチックス/22歳)
多くのスカウトが「スイング判断力・コンタクト率・打球速度の総合力で最も優れている」と評価したカーツを、アスレチックスはドラフト4位指名ながらチーム内評価1位として獲得した。その期待に応え、今季はOPS+173(100が平均)を記録し、新人としてはホセ・アブレイユと並んで歴代最高、長打率.619は歴代3位、OPS1.002は6位と圧倒的な成績を残した。さらに7月25日には、1試合で4本塁打を放ち、同一試合で6打数6安打を記録した史上2人目のメジャーリーガーとなった。
3位 ジェイコブ・ウィルソン(遊撃手/アスレチックス/23歳)
1900年以降、遊撃手を主に務めた新人でウィルソンの今季打率.311(ア・リーグ3位)を上回ったのは、デレク・ジーター、ジョー・シューウェル、アーキー・ヴォーンら殿堂入り選手を含めてわずか8人しかいない。また、三振率8%はリーグトップであり、新人遊撃手としてオールスター戦のスタメンに名を連ねたのは、1960年のロン・ハンセン以来の快挙だった。
4位 チェイス・バーンズ(投手/レッズ/22歳)
メジャーデビュー戦で、最初に対戦した5人全員を三振に仕留めた。93マイル(約150キロ)のスライダー、99マイル(約159キロ)の速球、91マイル(約146キロ)のスライダー(アーロン・ジャッジ相手)、92マイル(約148キロ)のチェンジアップ、88マイル(約142キロ)のスライダーと、多彩な球種で打者を圧倒。チーム数が増え始めた1961年の拡張期以降、先発投手としてデビュー戦でこの偉業を成し遂げたのはバーンズが初めてだ。シーズン全体では43回1/3で67三振を記録し、規定投球回に達した新人先発投手として史上最高の奪三振率(9イニングあたり13.9)を叩き出した。
5位 ケイド・ホートン(投手/カブス/23歳)
オールスター後のホートンは、12先発で8勝1敗、防御率1.03という圧巻の数字を残した。61回1/3で被打率.154、54三振、15四球と安定感抜群の投球を見せ、防御率・被打率・WHIP(0.78)のいずれも同投球回数以上の投手の中でメジャー最高を記録した。
6位 マルセロ・メイヤー(三塁手/レッドソックス/22歳)
メイヤーは新たな守備位置である三塁を学びながらプレーし、右手首の軟骨を損傷するまでの44試合に出場しただけ。打率.228、出塁率.272、長打率.402という成績は、その潜在能力を示す一端に過ぎない。2021年ドラフトでは全体4位指名で、最も完成度の高い選手と評価されており、打撃面ではコーリー・シーガーを彷彿とさせる存在である。
7位 コルソン・モンゴメリー(遊撃・三塁手/ホワイトソックス/23歳)
モンゴメリーは2024年シーズンと2025年前半を通じて3Aで苦戦したが、昇格後には71試合で21本塁打を放つ活躍。規定出場数に達した新人の中で、1試合あたりの本塁打数(0.30本)は9位、本塁打率(8.2%)は10位であり、いずれも新人遊撃手としてはリーグトップだった。
8位 佐々木朗希(投手/ドジャース/23歳)
佐々木は日本で大谷翔平の高校・プロ両方の最速記録を上回り、一部のスカウトから「史上最高のスプリット」と評される球を武器としてきた。MLBデビューイヤーでは期待に届かず、肩のインピンジメント症候群で4カ月間離脱したが、それでもポストシーズンでは9試合に登板し、防御率0.84、3セーブを挙げ、チームのワールドシリーズ制覇に貢献した。千葉ロッテ時代の圧倒的な投球を踏まえると順位は低く感じられる一方、ここまでのドジャースでの実績から見れば高すぎると感じるかもしれない、そんな位置づけだ。
9位 ジェイコブ・ミジオロウスキー(投手/ブルワーズ/23歳)
その圧倒的な球質が高く評価され、メジャー登板わずか5試合でオールスターに選出されるという史上最少記録を樹立した。60イニング以上投げた先発投手の中で、平均球速は速球99.3マイル(約160キロ)、チェンジアップ92.3マイル(約149キロ)でそれぞれ2位、スライダー94.1マイル(約151キロ)、カーブ87.1マイル(約140キロ)はいずれも全登板投手中トップだった。優れたリリースポイントと球の変化量が、投球をさらに厄介なものにしている。将来的な天井の高さと起用法は、制球をどこまで安定させられるかにかかっている。
10位 ドレイク・ボールドウィン(捕手/ブレーブス/24歳)
ボールドウィンは、400打席以上を記録した新人捕手の中でOPS+126以上を残した史上9人のうちの1人である。その他の8人は、合計51回のオールスター出場を果たしたスターが並び、カールトン・フィスクとマイク・ピアッツァという2人の殿堂入り捕手、さらにバスター・ポージーとサーマン・マンソンという殿堂入り候補も名を連ねている。
11位 カイル・ティール(捕手/ホワイトソックス/23歳)
ドレイク・ボールドウィンとほぼ同等の成績(打率.273、出塁率.375、長打率.411、OPS+121:ボールドウィンは打率.274、出塁率.341、長打率.358、OPS+126)を残した。1歳若く、運動能力にも優れる一方で、守備面ではまだ発展途上といえる。
12位 マット・ショウ(三塁手/カブス/23歳)
オールスター以降、ナ・リーグの三塁手の中でも屈指のパフォーマンスを見せた。63試合で打率.258、出塁率.317、長打率.522、11本塁打を記録し、堅実な守備でも貢献した。
13位 コール・ヤング(二塁手/マリナーズ/21歳)
このリストでロマン・アンソニーに次いで2番目に若い21歳のヤングは、ときにメジャーのスピードに戸惑う場面もあったが、依然として年間15〜20本塁打が期待できる打者であり、二塁守備でも高い評価を受けている。
14位 ディラン・クルーズ(外野手/ナショナルズ/23歳)
腹斜筋の負傷に苦しみ、打率.208、出塁率.280、長打率.352と物足りない成績に終わったが、2023年ドラフト全体2位指名にふさわしい高いポテンシャルを依然として示しており、打撃・走塁・守備のすべてにおいて平均以上の能力を備えている。
15位 ルーク・キシャル 二塁手 ツインズ(22歳)
49試合で打率.302、出塁率.382、長打率.445を記録し、天性の打撃センスを見せつけた。もし守備面がより安定し、内野に定着できる守備力を示していれば、さらに高い順位に位置していた可能性がある。
16位〜35位は以下の通り
16位 クリスチャン・キャンベル(二塁手/レッドソックス/23歳)
17位 ジャッソン・ドミンゲス(外野手/ヤンキース/22歳)
18位 ジャック・カグリアノーネ(外野・一塁手/ロイヤルズ/22歳)
19位 カム・シュリットラー(投手/ヤンキース/24歳)
20位 ルイス・モラレス(投手/アスレチックス/22歳)
21位 ジャクソン・ジョーブ(投手/タイガース/22歳)
22位 カム・スミス(外野手/アストロズ/22歳)
23位 ジョーダン・ロウラー(内野手/ダイヤモンドバックス/22歳)
24位 チェイス・ドランダー(投手/ロッキーズ/23歳)
25位 エドガー・ケロ(捕手/ホワイトソックス/22歳)
26位 クリスチャン・ムーア(外野手/エンゼルス/22歳)
27位 ジェイコブ・マーシー(外野手/マーリンズ/24歳)
28位 コビー・メイヨー(一塁手/オリオールズ/23歳)
29位 ダルトン・ラッシング(捕手/ドジャース/24歳)
30位 グラント・テイラー(投手/ホワイトソックス/23歳)
31位 シー・ジェイ・カイファス(外野・一塁手/ガーディアンズ/23歳)
32位 アグスティン・ラミレス(捕手・DH/マーリンズ/23歳)
33位 ハーストン・ウォルドレップ(投手/ブレーブス/23歳)
34位 トロイ・メルトン(投手/タイガース/24歳)
35位 カルロス・ナルバエス(捕手/レッドソックス/26歳)
