PS初出場の吉田、代打で決勝打!WCSでヤンキースに先勝

「シーズン最後と同じように積極的に」ケガを乗り越えチームのヒーローに

October 1st, 2025

ヤンキース1-3レッドソックス】ニューヨーク/ヤンキースタジアム、9月30日(日本時間10月1日)

ヒーローは遅れてやってくる。

0-1のビハインドで迎えた七回。1死二、三塁の場面で1番のレフスナイダーに代わり、代打で吉田正尚が登場。ヤンキースの2番手ウィーバーの初球を捉え、センターへの2点タイムリーを放ち2-1と逆転に成功した。ポストシーズン初打席で、最高の結果を残した。

「とにかくバットに当てて、事を起こそうと思いました。いいイメージでは打席に入れていますし、短期決戦なのでまた別物ですけど、シーズン最後と同じように積極的にいこうと思っていました」

レッドソックスはギャレット・クローシェ、ヤンキースはマックス・フリードと最高峰の投手戦が展開されたワイルドカードシリーズ(WCS)の初戦。レッドソックス打線は、フリードに苦しめられたが、九回にも、この日が自身にとってポストシーズン100試合目となった、アレックス・ブレグマンのタイムリー二塁打で1点を追加し、自軍エースの力投に応えた。

吉田はシーズンの大半をケガで苦しんだ。今季最初の出場は7月9日のロッキーズ戦。最初の2カ月は本調子とは遠く、決して毎試合に出場できていた訳ではなかった。しかし、9月は復調し、月間打率は.333まで上昇。状態を上げて、最も重要な戦いを迎えた。

「色々思い返すと、フロリダで若い子らと一緒にやったのも、本当に色々とメジャーリーグで経験できて、これも大きなビッグイベントの一つだと思うし、(結局は)勝つために全てやってきてた」と吉田は笑顔で語った。

クローシェは、7回2/3を投げて4安打、無四球、11三振の快投。二回、アンソニー・ボルピーに許したソロを除けば完璧な投球を見せ、そこからは17打者連続でアウトを奪った。

まさにこうした舞台のために、昨年12月にホワイトソックスから加入したクローシェ。自身初のポストシーズン登板で最高の投球を見せた。最後の一球となった117球目は、100.2マイル(約161.2キロ)の直球でオースティン・ウェルズを見逃し三振に仕留めた。

エースの快投を受け、アレックス・コーラ監督は試合前日に交わした会話について紹介した。

「ギャレット(クローシェ)と一緒にダグアウトにいる時に『明日は継投が必要になるだろう』と言ったら、彼は『明日、ブルペンに電話をかけるのは1度だけだよ』って言ったんだ。だから『2度あるかもな』というと『いやいや、1度だけ。(チャップマン)1人だけだよ』って言われたよ」

「我ながら、正直傲慢だったね」とクローシェはこの会話を笑顔で振り返った。

「本当にそうなるとは思ってなかった。でも、八回のマウンドに送り出してもらえた。だから実現してやろうと思ったね」

そして、まさに言葉通りの活躍を見せた。その投球の裏には、自分を信じてくれたコーラ監督への思いがあった。

「続投させた決断が間違っていなかったと証明したかった。監督は、今シーズンを通して自分を信頼してくれていたように感じるし、まだその期待を裏切ったことはないとも思っている。だから、これが初めてにならないように気合いを入れたよ」

そして、エースの後を継いで、八回2死からは絶対的守護神のアロルディス・チャップマンが登板。九回には、無死満塁のピンチを招くも、そこからはギアを上げたかのように、圧巻の投球。2三振を含む力投で無失点のまま、リードを守り切った。

「あの瞬間は何も聞こえないし、何も見えていないよ。ただ100%キャッチャーにしか集中していない」とチャップマンは語った。

オプタスタッツによると、これによりヤンキースはポストシーズン史上初めて、九回裏に無死満塁から1点も奪うことができなかったチームになった。また、チャップマンは今季、満塁では1人の打者としか対戦していなかった。

この試合最大のハイライトと言っても良い場面を作った守護神。しかし、試合を作ったのは紛れもなくエースだった。

「(クローシェは)昨年、先発投手になる方法を学んでいる段階にあった。そこからトレードされてエースとして期待され、それににふさわしい契約も得た。そして開幕からずっと、エースとして振る舞っているよ」とコーラ監督は語った。