市場に残る14人の有力FAにフィットする球団は? 岡本&今井の行き先は

4:15 AM UTC

クリスマスを迎えたこの日、ドジャースがワールドシリーズ第7戦でブルージェイズに勝利してからほぼ2カ月が経過した。そして、投手と捕手が2月にスプリングトレーニングを開始するまでもまた、残り2カ月で、オフシーズンはちょうど折り返しに差し掛かっている。

多くのチームが既に大型補強を行っているが、ストーブリーグ閉幕までにまだ多くの動きが起こるだろう。MLB.comのマーク・フェインサンド記者が選んだオフシーズンのフリーエージェント(FA)トップ30のうち、約半数の14人が未だ契約していない。

MLB.comは14人の有力FA選手にフィットする球団を1チームずつ選出した。

ブルージェイズ:カイル・タッカー

ブルージェイズは、2025年の優勝にあと一歩まで迫った後、オフシーズンにその目標達成に向けて全力を尽くしていることを隠そうとはしていない。ディラン・シースとコディ・ポンセを先発ローテーションに、そしてタイラー・ロジャースをブルペン陣に加えた。しかし、FAでボー・ビシェットを失い、外野陣を強化することはまだできていない。ブルージェイズは、ビシェットが二塁手への転向に前向きであることを考えれば、再契約する選択肢もあるだろう。しかし、ブラディミール・ゲレーロJr.とコンビを組むためにタッカーのような左打者を獲得することは、さらに大きなインパクトを与える可能性がある。タッカーの稀有なスキルの組み合わせは、ブルージェイズの優勝への希望を後押しするものであり、ブルージェイズがエリート選手を引きつけ、そして獲得することができる球団としての地位を間違いなく確立するだろう。

レッドソックス:アレックス・ブレグマン

レッドソックスのクレイグ・ブレスロー編成部長は、22日に一塁手ウィルソン・コントレラスをトレードで獲得した後も、打者の補強を模索していると明かした。それはほぼ確実に内野手を意味し、それはビシェットのような別のFA選手の獲得、あるいはケテル・マルテ(ダイヤモンドバックス)やブレンダン・ドノバン(カージナルス)のような選手のトレード獲得だろう。しかし、今季クラブハウスのリーダーとしての地位を確立し、すでに適任であることが分かっている選手をなぜ選ばないのか? ブレグマンの全体的な成績は好調で5月下旬に右大腿四頭筋(太ももの前側)を負傷するまで打率.299、出塁率.385、長打率.553を記録するなど最高の状態を見ることができた。ブレグマンをホットコーナーに留めることで、ボストンはマルセロ・マイヤーを二塁に留め、センターラインの守備も強化できる。

ジャイアンツ:ボー・ビシェット

ジャイアンツは過去4シーズン、毎年79〜81勝を挙げているが、勝率5割を超えた(プレーオフに出場した)シーズンはわずか1度しかない。三塁手マット・チャップマン、遊撃手ウィリー・アダメス、一塁手ラファエル・デバースを獲得したにもかかわらず、スター選手の獲得を切望している。タッカーやFA市場でトップの先発投手も選択肢に入るだろうが、ビシェットはジャイアンツの弱点である二塁を埋め、スター揃いの内野陣を完成させるだろう。ビシェットのコンタクト・ラインドライブ(ライナー性の打球)重視の打撃スタイルは、広大なオラクルパークでは本塁打が減るかもしれないが、多くの安打を生み出すだろう。

メッツ:コディ・ベリンジャー

ベリンジャーがヤンキース、あるいはドジャースに復帰する可能性は十分に考えられる。しかし、ベリンジャーの持つ強みは、ピート・アロンソ、ジェフ・マクニール、ブランドン・ニモら3人の柱を失ったメッツのロースター(出場選手登録)にとって理想的な組み合わせと言えるだろう。ベリンジャーは、メッツが現在空席となっている3つのポジション、つまりセンター、レフト、そして一塁をカバーしてくれるだろう。また、打線に強打者が加わるだけでなく、2025年には明らかに平均以下の守備を強化するというメッツの課題克服にも貢献するだろう。ヤンキースからもう一人のキーマンを獲得することも、悪くないボーナスとなるだろう。

オリオールズ:レンジャー・スアレス

オリオールズは今オフ、どの球団よりも積極補強を行っており、2025年の惨敗を過去のものにしようと躍起になている。ピート・アロンソとテイラー・ウォードを打線に加え、ライアン・ヘルズリーを守護神に迎え、大型トレードでシェーン・バズを獲得。ウォードの対価として放出したグレイソン・ロドリゲスからのアップグレードを図った。しかし、先発ローテはケガに苦しんだ投手たちに依存しており、依然として手薄だ。スアレスはイニングを消化するタイプではなく(フルタイムの先発として4シーズンで平均147イニング)、そして典型的なエースのような投球をする投手でもない。しかし、スアレスは仕事をこなし、失点を抑えられる。ポストシーズンでも輝かしい実績を残した。

ヤンキース:今井達也

2020年シーズン後に田中将大が退団してから、ヤンキースでは日本人投手がプレーしていないが、今そのブランクにピリオドを打つ良い機会だ。ヤンキースは先発投手の補強が切実に必要というわけではないかもしれないが、肘の手術から復帰した3人の投手(カルロス・ロドン、ゲリット・コール、クラーク・シュミット)に頼っているのも事実。さらにコールとシュミットはトミー・ジョン手術からのリハビリ中だ。キャム・シュリトラーとウィル・ウォーレンは2025年は2人とも新人で経験が浅く、ルイス・ヒルは防御率は堅調だったものの、11度の先発登板で不安定なパフォーマンスだった。NPBから移籍する選手にはリスクがないわけではないが、NPBでコンスタントに素晴らしい成績を残している27歳の今井は、マックス・フリードの次の2番手として、ローテーション崩壊を防ぐ保険となる。

カブス:フランバー・バルデス

カブスがタッカーの引き止めや穴埋めをしないのならば、先発1、2番手クラスを補強する必要があるのは明らかだ。マシュー・ボイドは今季素晴らしい投球だったが、もうすぐ35歳になり、これまでも負傷がちのキャリアを送ってきた。ケイド・ホートンはまだMLBで22先発の経験しかない。今永昇太は今季後半に痛恨の不振に陥った。ナ・リーグ中地区首位のブルワーズの牙城を崩すことができていないカブスにとって、この布陣は十分ではない。バルデスはFAの先発投手の中で、最も洗練された経歴(2022年から年間平均30先発、防御率3.21)を持ち、ダンズビー・スワンソンとニコ・ホーナーを筆頭に内野守備が強力なカブスと相性が良い、ゴロを打たせる投球スタイルが真骨頂だ。

マリナーズ:エウヘニオ・スアレス

マリナーズに最初に在籍した2022-23年ではファンとクラブハウスに愛されたスアレスだが、今夏にトレードで復帰してからは目立たないパフォーマンスに終わった(53試合でOPS.682)。それでも、マリナーズにはスアレスを引き留める感情以上の理由がある。現在、マリナーズの正三塁手と予想されているのはベン・ウィリアムソン(1年目の今季はOPS.604)であり、トッププロスペクトのコルト・エマーソンがシーズン途中から定位置争いに加わると見られている。マリナーズは左腕キラーのロブ・レフスナイダーと1年契約を結んだばかりだが、それでもスアレスをDHに回す余裕がある(マリナーズは来季の三塁手の成績予測がMLB22位、指名打者で同15位)。スアレスにはまだ強烈な打力が残されており、マリナーズの優勝の野望に貢献できるだろう。

パイレーツ:岡本和真

パイレーツはここ1週間、ブランドン・ラウとのトレードを成立させ、FAのライアン・オハーンとの契約に合意するなど、攻撃面の弱点を補うために忙しく動いた。だが、パイレーツがさらに多額の出費をいとわない限り、2025年にMLBで5番目に少ない失点数ながら最も得点数が低かったチームがそこで止まる理由はない。もしパイレーツがポール・スキーンズ率いる投手陣にチームを10月まで導く最高のチャンスを与えたいのであれば、2023年には41本塁打を放つなど、NPBで安定した打撃力を発揮した29歳の岡本を獲得するのは全く理にかなっている。岡本がもし打線の層を厚くしながら三塁を守ることができれば、ジャレッド・トリオロをユーティリティーとして起用し続けられるだろう。また、オハーンとスペンサー・ホーウィッツの左打者コンビが担う一塁・指名打者の保険にもなる。

ロッキーズ:ルイス・アライズ

誰もが目にしたい光景だろう。クアーズフィールドは、単打を打つには断然最高の球場だ(二塁打でもほぼ最高だ)。そして、アライズは単打の達人だ。ホーム開催の81試合を通して、その実力がどのように発揮されるかを見るのは、きっと面白いだろう。2025年、ロッキーズはエンゼルスに次ぐどのチームよりも三振を喫し、バットでボールを捉えられる選手を必要としている。そして、アライズは誰よりもその能力に優れている。コロラドの新しいフロントは、次世代の強力なロッキーズを築くことに注力する必要があるが(アライズはおそらくその時にはチームにいないでしょう)、アライズを短期契約で獲得し、うまくいけば将来有望株と交換するチャンスを与えても、それほど問題にはならないだろう。

ブレーブス:ザック・ギャレン

ブレーブスの先発ローテは健康面の問題から2025年に崩壊し、優勝候補だったチームが89勝から76勝に転落する大きな要因となった。ブレーブスは未だに強力なチームだが、先発ローテの面々は健康状態に問題を抱えていたり、MLBでの実績が限られていたり、不安定だ。2019年途中にMLBに定着し、高い安定感を発揮してきたギャレンは、魅力的な候補だ。ギャレンは今季、防御率が4.83に急上昇し、懸念材料を残したものの、終盤は比較的好調だった。近年、投手育成で成果を残しているブレーブスへの移籍は、双方にとってプラスに働くかもしれない。

フィリーズ:J.T.リアルミュート

3月に35歳になり、衰えの兆候が顕著な捕手との契約にフィリーズが慎重な理由はいくつかある。しかし、リアルミュートをフィラデルフィアで8年目のシーズンに復帰させるには、さらに明確な理由がある。このチームは優勝のチャンスを生かすため、明らかに焦りを感じている。そして、リアルミュートがいない現状のフィリーズ捕手陣はリーグ最下位レベルと見込まれている。FA市場にはリアルミュート以上の選択肢はなく、トレードによる解決策は獲得が困難で才能の面でもかなりの費用がかかるだろう。球界、そしてFA市場にも確実なことは何もないが、フィラデルフィアがリアルミュートを引き留めるのは時間の問題だろう。

パドレス:クリス・バシット

マイケル・キングを復帰させた後も、パドレスは2026年シーズンを乗り切るためのイニングを組み立てるだけでなく、プレーオフを争う方法を見つけ出さなければならない。シースがブルージェイズに流出し、昨夏にスティーブン・コレクとライアン・バーガートがロイヤルズにトレードされ、ダルビッシュ有も右肘の手術を受け、全休が決まっているため、2025年に先発した投手の約半分がいなくなってしまった。ジョー・マスグローブはトミー・ジョン手術から復帰に向けて準備を進めているが、高額のフリーエージェント獲得による解決策は考えにくいだろう。プレラーGMが大型トレードを成立させる可能性も否定できないが、バシットとの契約は代替案として非常に理にかなっている。 36歳の右腕は現時点では高額な契約を要求することはないだろうが、4年連続で170イニングの記録を達成している。バシットとの契約は良い保険になりそうだ。

レイズ:ルーカス・ジオリト

ジオリトは2021年に3年連続でサイ・ヤング賞レースでの投票を得てから、波乱の4シーズンを送ってきた。右肘の手術のため2024年シーズンを全休したが、今季はレッドソックスでやや復活を遂げた。しかし、スタットキャストのデータによると防御率3.41はxERA(打球の質も加味して算出される期待防御率)5.00と、水面下で懸念される多くの数字を覆すものだった。とはいえ、レイズでキャリアを再生させたベテラン投手はジオリトが初めてではないだろうし、レイズはバズをトレードに出したことで先発ローテーションの補強が必要になる。頼みの綱のシェーン・マクラナハンも長く続いたケガの離脱期間からの復帰を目指す段階にある。レイズが今夏優勝争いに加われなくても、復活したジオリトはトレードデッドラインで注目される物件になるだろう。

その他

ガーディアンズ:ハリソン・ベイダー…ガーディアンズは常に外野手不足。さらに今季は歴史的水準で右打者がおらず、右打ちのベイダーは理想的な補強だ。

カージナルス:ザック・エフリン… 再建に舵を切ったカージナルスだが、人手不足かつ若手が多い先発ローテに指南役兼保険となり得るベテランは必要だ。

ダイヤモンドバックス:セランソニー・ドミンゲス…セットアッパーとクローザー級の救援投手はFA市場にはほぼ残っていない。ブルペン陣に負傷者を抱え、どの球団よりもリリーフ投手の補強を必要としている。

アスレチックス:タイラー・マーリー…マーリーは健康維持に苦労しているが、健康ならば戦力になる。アスレチックスが強力打線を誇る一方、先発ローテには疑問が残る。

タイガース:ジャスティン・バーランダー…バーランダーはまだ実力を維持している。タイガースの先発ローテにとって良い補強となるだろう。