リバー・ライアンのメジャー1年目は鮮烈なデビューとなったものの、ケガの影響により短期間で終了した。トミー・ジョン手術のリハビリに費やした1年を経て、27歳の有望株右腕は2026年のドジャースで活躍するチャンスを得ようとしている。
ライアンが2024年にメジャーデビューした当時、ドジャースは先発投手陣の負傷者続出に悩まされていた。それは数年間で何度も繰り返されていた状況だった。ライアンは4度の先発登板という限られた出場機会の中で、20回1/3を投げてわずか4失点(自責点3・防御率1.33)と好投した。
MLBパイプラインによるドジャースの有望株ランキングで9位にランクインしているライアンは、2024年8月に手術を受けたあと、2025年シーズンの大部分でチームに帯同せず、マイナーでリハビリ登板を行うこともなかった。しかし、1年間のリハビリを経て、いい状態で今季を終えており、「失われた時間」が今後に向けた大きなモチベーションとなる可能性も秘めている。
ライアンとギャビン・ストーン(2024年10月に右肩を手術)は2度のポストシーズン出場を逃しただけでなく、ワールドシリーズ制覇も2度逃したことになる。この2人の右腕はリハビリを終え、ともに通常通りのオフシーズンを過ごしており、来春のスプリングトレーニングには間に合う予定だ。
デーブ・ロバーツ監督は、ウィンターミーティングの際に「リバー(の復活)にワクワクしている。ギャビン(の復活)にもワクワクしている。私たちが(ポストシーズンで)困難を乗り越えて喜び合っているのを見て、それに参加することができなかったのは、2026年により大きなインパクトを残すためのモチベーションとなるだろう。彼らの活躍に期待しているよ」と話していた。
ドジャースの先発陣は非常に層が厚いため、ライアンとストーンがメジャー復帰を果たし、ローテーションに定着するための道のりは複雑だ。しかし、ここ数年で最も充実した先発陣となっており、これは決して悪いことではない。
つまり、ライアンとストーンを含めて8人の先発投手がいることになり、5人ローテーションなら3人、6人ローテーションなら2人が先発の枠を外れる。もちろん、ロースターの40人枠内には、この8人のほかにも必要に応じて先発できる投手がいることは言うまでもない。
しかし、ドジャースがここ数年で痛感したように、長いシーズンを戦い抜くためには5~6人の先発投手だけでは足りない。開幕ローテーションに残れなかった投手にもシーズン中のどこかで必ずチームに貢献するチャンスが与えられる。
先発陣の人員余剰に対処するもう1つの方法はトレードの駒として活用することだ。メジャーレベルの先発投手は価値が高い。よって、ドジャースは余った先発投手を交換要員にしてロースターのアップグレードを図ることも可能だ。
ブランドン・ゴームスGMは、ウィンターミーティングで「投手陣の層が厚いのは一時的なものだとわかっている。リスクとリターンが見合っている取引があるからといって、必ずしもトレードに応じるわけではない。どんなことにも長所と短所がつきものだ」と語り、余剰人員の先発投手をトレードで放出することに慎重な姿勢を示した。
ライアンは魅力的なポテンシャルを秘めている一方、実績に乏しく、トミー・ジョン手術明けという不安要素も抱えているため、トレード市場でどのような評価を受けるか興味深い。トレードが成立する可能性がある一方、ドジャースはライアンをトレードせず、近い将来の先発ローテーションの重要な一角として活躍することを期待するかもしれない。
先発投手陣の人員整理は、ドジャースが今オフ中に検討しなければならない決断の1つだ。ドジャースは「今」の勝利を継続しつつ、「未来」でも勝ち続けるための方法を模索している。強力なローテーションに加え、ライアンのような選手が控えていることは、ドジャースが今後長きにわたって勝ち続けるための準備が整っていることの証とも言えるだろう。
ロバーツ監督は「すでに実績を残している選手もいれば、これから活躍する選手もいる。繰り返しになるが、これはこのチームが今年だけでなく、今後に向けてどれほど万全の準備を整えているかを示していると思う」と語り、黄金期の継続への自信を示した。
