MLBパイプラインが選ぶ全体1位の有望株、ローマン・アンソニーがメジャー初安打を記録した。両親が本拠地フェンウェイ・パークに到着した直後の完璧なタイミングだった。
デビュー戦となった月曜日の試合ではヒットが出なかったが、火曜日のレイズ戦では第1打席から早速結果を出した。一回2死一、二塁のチャンスで、レイズのライアン・ペピオのチェンジアップを捉え、左翼線を破る2点適時二塁打を放った。この一打が決勝打となり、レッドソックスがレイズに3-1で勝利した。
打球速度148.7キロの一打は、ストライクゾーンから大きく外れたボール球を捉えたもの。これは、プレートの中心から39.6cm外側で、レッドソックスの打者が長打を記録した投球としては、2024年7月7日のラファエル・デバース(45.7cm)以来の「最も外側の球」だった。
アンソニーの両親と兄姉の家族4人は、打球がグリーンモンスターに向かって転がるのを見届けた。母ローリさんは涙を流し、レッドソックスのダグアウト脇で歓喜の拍手を送った。
「家族のみんなは、これまでずっと僕を支えてくれていた。だから彼らがここに来てくれたのを見て、本当に特別な気持ちになった。昨日は急な話だったので来られなかったのは残念だったけど、今日ここにいてくれてうれしかったよ」
実は家族が訪れていたのはサプライズだったようだ。
「最初の打席でバッターボックスに向かって行く時に、はじめて、あ、いるんだって気づいたよ。あんな近くにいるなんて誰も教えてくれなかったからね」
チームを勝利に導く最高の初安打を記録したアンソニーだが、その実感は試合が終わるまでなかったと答える。
「試合中は打って、二塁に出て、そこからはまた集中して点を取ることに頭を切り替えなきゃいけない。試合が終わって、家族と一緒にフィールドに立つまではそこまで実感が湧かなかった」
また、打球についても以下のように振り返った。
「もちろん、あの球は何度か見ていたし、試合前のプランでも彼(ペピオ)のチェンジアップが良いのは分かっていた。でも、別にそれを狙っていたわけじゃない。ただ、バトンをつなごう、次の打者につなげようという気持ちで打席に立っていたよ」
高い期待と共にデビューを果たした21歳のアンソニー。ウィルヤー・アブレイユが左脇腹の張りで10日間の負傷者リスト入りしたのもあり、ここ数週間ほど期待が高まり続けていただけに、ファン、そして家族にとっても待望の一打となった。