アメリカ代表の結束、ライバル関係の休戦、そしてレジェンド左腕の別れ

2:56 AM UTC

スター選手が揃うチームであっても、必然的に「ルーキー」のレッテルを貼られ、一人前として認められる前に必要な通過儀礼を経験する選手が必ず1人はいるものだ。

アメリカ代表の場合、その選手に該当するのはレッドソックスの期待の星であるロマン・アンソニー外野手(21、レッドソックス)だ。アンソニーは今週、ヒューストンで行われるワールドベースボールクラシック(WBC)のプール戦開幕に向けて、チームバスでの移動中に使用する音響機材を用意する任務を任された。

マーク・デローサ監督は「明らかに巨大なスピーカーを買いに行かされて、トビー・キースの曲を大音量で流していた」と語った。

WBCが競争であると同時に国の誇りをかけた大会であることを踏まえれば、選ばれた曲がキースのヒット曲「Courtesy of the Red, White and Blue」であったことは驚くことではない。ただし、実際にその曲を選んだのが誰なのかは不明である。

「僕は音楽には触れない」とアンソニーは語った。

「僕にはスピーカーを調達し、きょう確実にそこにあるようにして、音楽をかけたい選手たちに渡す義務があった」

アメリカ代表は約1週間、合同で練習を行っており、優勝が共通の目標である一方で、選手たちはチームメートとして共に過ごす時間を楽しむことにも同じくらい熱心だ。6日のブラジル代表戦に向けた準備を進める中、5日にヒューストンのダイキンパークで行われた最終調整で選手たちは楽しく、いくつかの場面について語った。

バスの移動は、特に合唱が伴う場合、にぎやかになるようだ。

フィリーズのカイル・シュワーバー(33)は「私は歌わない」と明言した。

「しかし、それはむしろ仲間を1つにまとめるためのものだった。私がメジャーリーグに昇格して以来、そういったつながりをもたらしてくれるものだ」

その結束はこれまで好評を得ている。

アンソニーは「素晴らしい集団だ。初日からこのチームにうまく溶け込み、一緒に過ごすのは簡単だった。最高の経験だ。大きな学びの機会になっている。とても楽しい」と語った。

ライバルは休戦協定?

今後数日間のプール戦の大部分でダイキンパークは満員になると予想されており、アメリカ代表の試合では超満員になることがほぼ確実視されている。

各地から観客が訪れると予想されるが、多くはアメリカ代表に入っている一部の選手を応援することに慣れていないアストロズファンだと思われる。そのため、該当する選手たちが打席に立つ際、普段とは異なる反応が起こるかもしれない。

例えばカル・ローリー捕手(29)を例に挙げてみよう。アメリカ代表の捕手を務めているが、普段はマリナーズのスター選手であり、マリナーズが遠征でヒューストンを訪れる際に最もブーイングを浴びる可能性が高い選手だ。マリナーズとアストロズはア・リーグ西地区で優勝争いをするライバル関係だ。

ローリーはアストロズとの「白熱したライバル関係」を認め「相手はマリナーズを好んでおらず、マリナーズも相手を好んでいない」としつつも、今回の歓迎ぶりは少し友好的になるかもしれないと考えている。

ローリーは「しかし『USA』のユニホームを着ている間は、少しの間だけ私たちを応援してくれると思う」と語った。

「それが野球だ。ライバル関係や厳しい試合を望むものだ。しかし、ファンは国の誇りのためにライバル関係を脇に置いてくれると思う」

ヤンキースの一員としてヒューストンを含む全米を遠征する際、敵チームのファンからの強い反応に慣れている強打者のアーロン・ジャッジ外野手(33)は、ダイキンパークを「プレーするのに素晴らしい場所」と呼び、今週末にアメリカ代表を待つ友好的な環境を予想した。

ジャッジは「ここには辛い思い出もいくつかあるし、良い思い出もいくつかある。それも野球の一部だ。そして今、赤、白、青の(アメリカ代表)ユニホームを着る機会を得て、ここでたくさんの素晴らしい思い出ができると思う」と語った。

カーショウ最後の花道

アメリカ代表のアンディ・ペティット投手コーチは、2023年のWBCの時のように今回は睡眠不足になっていない主な理由として、左腕のクレイトン・カーショウ投手(37)を挙げた。

WBCはレギュラーシーズンとは関係のない独立した大会だが、それでも多くのものが懸かっている。それに伴い、監督やコーチには、参加する選手たちを健康でケガのない状態に保ち、メジャーリーグの所属チームに戻った後に待ち受ける162試合の日程に向けて準備を整えさせるという責任が加わる。

もちろん、唯一の例外はカーショウであり、おそらく今大会で最もリラックスしている選手だ。昨季ドジャースがワールドシリーズで勝利した後に引退しており、最後の花道としてアメリカ代表に参加している。

ペティット投手コーチは「だからカーショウには『おい、お前は火消し役だぞ。緊急事態には準備をしておいてくれ』と伝えた。すると『必要な時には準備ができている』と返ってきた」と語った。

数日前のロッキーズとのWBC前の練習試合でカーショウはアメリカ代表として特に良い投球をしたわけではなかったが、今週末にプール戦が始まれば、それは問題にはならないだろう。他の全投手が球数制限を守り、健康を最優先する状況で試合展開が悪くなり始めた場合、カーショウが頼れる選択肢となる。

結局、失うものは何もない。

ペティット投手コーチは「そういった役割を果たせる投手が控えていると分かっているだけで、気が楽になる」と語った。

「夜も眠れるようになる。前回のWBCではあまり眠れなかった。毎日、投手起用や、どのようにうまく回していくかについて非常に神経を使っていた」

3度のサイ・ヤング賞を獲得した左腕が、2大会ぶり2度目の優勝を目指すチームUSAを支える。