野球の世界では、一つの結果や感情に長く浸っている余裕はない。
ブルージェイズがワールドシリーズ第7戦でドジャースに敗れてからわずか数日後、ロス・アトキンスGMは、ジョン・シュナイダー監督に連絡を取り、次に進むべき方向について話し合っていた。感情に流されず、常に数手先を見据えることが求められる立場だ。
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23日(日本時間24日)、アトキンスはメディア対応に臨み、5年の契約延長について説明した。その後すぐにオフィスへ戻り、ブルペン最後の1枠を巡ってあらゆる可能性を検討していたとみられる。
この仕事は、常に「次は何か」を問い続けることにある。過去を振り返る場面があっても、その思考はすぐに次の一手へと向かっていく。
「投手陣の強化は確実に進んでいる。ただ、まだ終わりではない。オフシーズンに取り組んできた選手補強や準備、さまざまな強化策について、これからも継続して考えていく必要がある」とアトキンスGM。
では、その次は何か。
フロント陣はすでにワールドシリーズを狙える戦力を築き上げている。過去1年の間に、球団社長、ゼネラルマネジャー、監督、そして“球団の顔”であるブラディミール・ゲレーロJr.と次々に契約を延長。体制は固まった。
残るは、勝つことだけだ。
2026年以降を見据え、ブルージェイズのフロントが次に描く一手に注目が集まる。
ドールトン・バーショと外野陣
フロントは、主力との契約延長に積極的だ。ゲレーロJr.の5億ドル(約790億円)契約は別格としても、昨春にアレハンドロ・カークと結んだ5年5800万ドル(約91億6400万円)の契約が好例だ。当時は妥当な内容と見られていたが、1年経った今では球界屈指の好契約と評価されている。
その流れで注目されるのがドールトン・バーショだ。今春キャンプで好調をアピールしたバーショは、今オフにフリーエージェントとなる見込み。球団はトッププロスペクトのガブリエル・モレノを放出してまで獲得しており、その期待の大きさは明らかだ。
加入後、バーショは攻守両面で存在感を発揮し、いまやチームの中核の一人に定着し、球団のアイデンティティーを象徴する存在となっている。
バーショを巡っては不確定要素も多い。年齢は今季で30歳。全力プレーが持ち味なだけに、各球団が30代半ば以降のコンディションをどう評価するかは難しい。今季も堅実に19本塁打と高い守備力を発揮するのか、それとも32本塁打のブレークを果たすのか。さらに、今オフのフリーエージェント市場の層の薄さも、価値を押し上げる可能性がある。こうした要素が絡み合い、契約延長で折り合うのは簡単ではない。FAまでもつれ込む可能性が高そうだ。
そして、より大きな課題もある。ブルージェイズには、長期的にチームの軸となるスター外野手が必要だ。ジョージ・スプリンガーも今オフにFAとなる見込みで、外野の層自体は厚くなってきたものの、球団が自前でスター級の外野手を育てた例となると、バーノン・ウェルズまでさかのぼる必要がある。
フロントが「1年先を見据えて動く」傾向にあることを踏まえれば、この状況はトレード期限に向けた重要なテーマとなりそうだ。
2027年以降の先発ローテーション
「1年先を見据える」という点で言えば、先発陣も大きなテーマだ。ケビン・ゴーズマン、マックス・シャーザー、シェーン・ビーバー、エリック・ラウアーはいずれも今季終了後にFAになる。ゴーズマン、あるいはビーバーと短期延長がまとまれば課題の多くは解消されるが、現時点では2027年に向けてローテーションに1〜2枠の空きが生まれる可能性が高い。今春の動きを見る限り、球団は層の厚さを重視する方針だ。
その中で球団6位の有望株、ゲージ・スタニファーをメジャー戦力へと育てられるかも鍵を握る。球団内では期待の声が高い。
そして、もう一つ忘れてはならないのが市場の動向だ。エース左腕タリック・スクーバルも今オフにフリーエージェントとなる見込み。この状況は、ブルージェイズの動きと重なって見える。
育成力にも注目
強い球団はバランスが取れている。ブルージェイズが球団史上最高水準の資金を投じるようになった今、選手育成の重要性はこれまで以上に高まっている。
アーニー・クレメントやネイサン・ルークスのような選手を見いだす力があれば、フロントはFAで中堅選手に約800万ドル(約12億6400万円)を投じる必要がなくなる。メイソン・フルハーティやブレンドン・リトルのような例が増えれば、リリーフ補強に約900万ドル(約14億2200万円)を費やすリスクも減らせる。こうした育成の積み重ねこそが、チームを機能させている。
中でも注目は、球団2位有望株のジョジョ・パーカーだ。球団内での期待は非常に高く、もし自前でスター級の若手打者をもう一人育てることができれば、それこそが新時代のブルージェイズを持続的に強くする鍵となる。
