マーリンズのエース、サンディ・アルカンタラは、苦難の2025年シーズンに自身の周囲で飛び交う噂を無視することができなかった。クラブハウス内のテレビに映る解説者たちのコメントや、SNSの投稿があふれる21世紀において、それは仕方のないことだった。
そのため、アルカンタラはトミー・ジョーンズ手術から復帰して2年目となる今季、精神面を変える決意をした。健康な状態を維持し、チームのために5日ごとにマウンドに上がることに集中した。
そうすることでアルカンタラは2026年シーズンの2試合で全盛期の姿を取り戻した。1日(日本時間2日)、ローンデポパークで行われたホワイトソックス戦に10-0で勝利。自身2度目のマダックス(100球未満での完封)と通算5度目の完封勝利を挙げた。
アルカンタラは「多くのことを経験してきた。昨季の序盤は良くなかったが、後半戦は自分にとって十分なものだった。多くの人が私についてネガティブなことを言っていたが、あまり考えすぎないようにした。チームが勝利するのを助け、5日ごとに最善を尽くすことだけを考えてマウンドに上がっている」と語った。
今季6試合目での完封とマダックスの記録は、昨季のレンジャーズのネイサン・エオバルディが達成して以来、シーズン最速となる。直近のマダックスは、昨年6月27日(日本時間28日)にクリーブランドで記録したカージナルスのソニー・グレイ(89球)だった。
マーリンズで最も長く在籍している選手として、アルカンタラは球団記録を塗り替え続けている。完封数ではケビン・ブラウンに並ぶ球団歴代3位となり、完投数(13)では歴代2位のA.J.バーネットにあと1つまで迫った。2022年以降で10度目の完投は、メジャー全体の他の誰よりも2つ多い。
クレイトン・マカラー監督は「今日はアルカンタラの日だ。九回のマウンドに立つ姿を見て、アルカンタラを知ってからの時間を思い返していた。昨季の序盤、そしてシーズンの大半で彼がいかに苦しんでいたかは周知の通りだ。それでも、決して屈せず、戦い続けている。再び九回のマウンドに上がり、完封で締めた今日の試合は、これまでのものよりも少し特別に感じているに違いない」と振り返った。
2023年4月4日以来の完封を記録した30歳右腕は、わずか93球(ストライク69球)で、若く攻撃的なホワイトソックス打線を退けた。同打線は試合開始の2球で2アウトを喫する滑り出しだった。許した安打はバント安打1本を含む単打3本のみで、7三振を奪った。
四回2死からミゲル・バルガスに死球を与えた後、アルカンタラは八回2死でルイスアンヘル・アクーニャに安打を許すまで16打者連続で退けた。八回をわずか5球で終えることができたため、84球で九回のマウンドに上がった。
オープン戦でのイニングの立ち上がりが5イニングまでだったことを理由にわずか73球で交代させた開幕戦とは異なり、マカラー監督にとってエースを続投させる決断は容易だった。指揮官が親指を立てて合図を送ると、アルカンタラも同じように応えた。
ロブ・マルチェロ投手コーチ補佐がベンチからサインを送っていたが、アルカンタラが拒んだのは試合を通してわずか3度だった。レニン・ソーサに対してボールカウントが2-0と先行した場面では、新しく習得したスイーパーで内野フライに打ち取った。これは、打席の序盤で制球を乱した後に投げ直したいと考えていた球種だった。その後、得意のチェンジアップを3球続けてアンドリュー・ベニンテンディを三振に仕留め、最後は97.9マイル(約157.6キロ)のフォーシームでコルソン・モンゴメリーを内野ゴロに打ち取って試合を終えた。
ホワイトソックスのウィル・ベナブル監督は「アルカンタラは本当にすごかった。称賛すべきだ。私たちは良いゲームプランを持って臨んだと思う。選手たちは集中し、闘志を燃やしていた。ただ、本当に優れた投手に敗れた、それだけのことだと思う。アルカンタラを打ち崩す手立てがなかった。球は本当にすごかった。ストライクゾーンを攻められ、何もさせてもらえなかった。チャンスは全くなかった」とお手上げだった。
ロッキーズとホワイトソックスを相手にした今季最初の2試合の先発登板で、アルカンタラは16回を投げて7安打7、1失点(自責点0)、12三振、わずか2四球としている。
規定投球回に達した先発投手で防御率がワースト2位だった2025年、マーリンズはあと一歩でポストシーズン進出を逃したが、現在のアルカンタラの姿はチームにとって吉兆だ。アルカンタラの活躍もあり、開幕から6試合で5試合に勝利した。これは(コロナ禍の影響を受けた2020年シーズンを除き)2014年以来のことだ。チームは週末、ニューヨークでのヤンキース3連戦に臨む。
カード最終戦で4打点を挙げ、12打点でメジャー最多に立つ捕手のリアム・ヒックスは「楽しかった。それは間違いない。アルカンタラは多くの球種がさえていたし、ほぼ全ての球が機能していた。波に乗っている時は、受けていて本当に素晴らしいし、捕手としての仕事が本当に楽になる」と好投をたたえた。
