パドレスは11月13日、球団を保有するサイドラー家が、球団の将来に関するあらゆる選択肢を検討すると発表した。その中で「球団売却の可能性」もその一つとして明言されている。
パドレス会長のジョン・サイドラー氏は声明で次のように述べた。
「家族は、パドレスとの将来を評価するプロセスを始めました。その中には球団売却の可能性も含まれます。私たちはこの過程を誠実かつ専門的に進め、ピーター(故ピーター・サイドラー氏)の遺産とパドレスへの愛を尊重しながら、フランチャイズの長期的な成功の土台を築くつもりです。このプロセスの間も、2026年シーズンに向けて選手・職員・ファン・地域社会に注力し、ワールドシリーズ制覇を目指します」
サイドラー家の歩みと遺産
サイドラー家は2012年、前オーナーのジョン・ムーアズ氏から8億ドル(約1200億円)で球団を買収したオーナーグループの一員として、パドレス経営に参画。当初はロン・ファウラー氏が2012~20年までエグゼクティブ・チェアマンを務め、その後、主要投資家の一人であったピーター・サイドラー氏が2020年オフに球団統括責任者(コントロール・パーソン)としてチーム運営を引き継いだ。
ピーター氏はその後3年間、チームの成長を主導したが、2023年11月に逝去。その後も球団はサイドラー家が保有し、ビジネスパートナーのエリック・クツェンダ氏が1年間、暫定的な統括責任者を務めた。2025年シーズン開幕前には、ピーター氏の長兄であるジョン・サイドラー氏が正式に会長に就任している。
黄金期を築いた13年
サイドラー家のオーナーシップ下で、パドレスは球団史上最高の時代を迎えた。過去6シーズンで4度のポストシーズン進出を果たし、2024・25年と球団史上初の2年連続90勝超えを達成。近年はフランチャイズの枠を超え、リーグ屈指の人気球団へと成長した。客動員数も驚異的な伸びを見せている。2025年シーズンはペトコ・パークでの81試合に計343万7201人が来場し、そのうち72試合が満員札止め。いずれも球団記録を更新し、地域密着の象徴となった。
今後の見通しと次章への準備
現時点では、売却や再編の具体的なスケジュール、内容は明らかになっていない。球団によると、サイドラー家はこのプロセスをBDT & MSD Partners社と共に進めていく予定だという。声明では「プロセス完了まで、サイドラー家およびパドレスはこれ以上のコメントを控える」としている。
一方で、パドレスはすでに2026年シーズンへ向けて始動しており、クレイグ・スタメン新監督のもと、スター選手を多数擁する戦力で再び優勝を狙う。チームは「すべてのリソースをワールドシリーズ制覇に注ぐ」と改めて強調している。
