ワールドシリーズ第7戦でドジャースに敗れ、シーズンが終わってわずか数日。ブルージェイズは早くもオフの『初勝利』を手にした。
エース右腕のシェーン・ビーバーが、2026年の契約オプション(年俸1600万ドル=約24億6500万円)を行使し、ブルージェイズに残留することを選択。本来なら30歳でフリーエージェントになる道もあったが、ビーバーはもう1年トロントに残り、来オフに向けて自身の価値をさらに高める道を選んだ。これは予想外で、先発投手陣に不安を抱えていたチームにとって大きな補強となる。
トミー・ジョン手術から復帰したばかりの元サイ・ヤング賞投手は、FA市場に出ると見られていたが、7月31日にガーディアンズからトレードで加入後、レギュラーシーズン7試合で防御率3.57、ポストシーズン5登板で3.86を記録し、見事に存在感を示した。
ドジャースとの第7戦後、ビーバーはロッカールームでチームが築き上げた特別な文化を称賛した。オフにFAになったベテランのクリス・バシットも、「もう一度この仲間たちと戦いたい」と涙ながらに語っていた。2025年のブルージェイズは、それほど特別なチームだった。そしてビーバーは、再びその一員としてチームに戻ってくる。
「言葉にしづらいけど、本当に多くの『見えない力』があるチームだと思う。粘り強さ、忍耐、団結力。みんなが互いを信じて戦っている。誰か一人じゃなく、チーム全員で支え合っている」
トレード当時、ビーバーはまだトミー・ジョン手術からの完全復帰への途中で、本来のピッチングを見せきれなかったが、随所で光る投球を披露した。なかでも印象的だったのは、ア・リーグ優勝決定シリーズ(ALCS)第3戦のマリナーズ戦。序盤につまずきながらも立て直し、見事な投球で相手打線を封じた。今オフのトレーニングと春季キャンプを経て、2020〜24年に防御率2.91を記録した頃のビーバーに、さらに近づくことが期待されている。
ブルージェイズにとって、これはまさに朗報だ。むしろ今オフ最大のニュースだ。年俸1600万ドルという条件で、ビーバーをもう1年チームに残せるのは夢のような話だ。
現時点の先発ローテーションは、ケビン・ゴーズマン、トレイ・イェサべージ、ビーバー、ホセ・ベリオスの4人が中心。クリス・バシットとマックス・シャーザーはFAとなったものの、球団は引き続き積極的に先発陣の補強を進めると見られている。控えにはエリック・ラウアー、ボーデン・フランシス、有望株のゲージ・スタニファーらが控えており、競争も激しくなりそうだ。また、ゴーズマンとビーバーはいずれも2026年シーズン終了後にFAとなるため、球団は将来を見据えた長期的な先発投手の獲得にも動くと予想されている。
ビーバーの残留は、ブルージェイズにさらなる柔軟性をもたらした。今オフの注目はボー・ビシェットだが、シャーザーやバシットに加え、セランソニー・ドミンゲス、アイザイア・カイナー=ファレファ、タイ・フランスもFAとなる。さらに、ゴーズマンとビーバーが来オフにFAを迎えるほか、ジョージ・スプリンガーとドールトン・バーショも契約最終年に入る。
親会社のロジャース社はすでに積極的な投資姿勢を示しており、ワールドシリーズ進出でカナダ全土に再び野球熱が広がった今こそ、短期・長期の両面で『本気の補強』に踏み切る絶好のタイミングだ。
今回のオプション行使は、2021年にマーカス・セミエンが1年契約で加入し、45本塁打を放ったとき以来の『最高の1年契約』になる可能性もある。
ブルージェイズはワールドシリーズの舞台を経験した。もう一度そこへ戻るために、その再出発として、ビーバー残留のニュースはこれ以上ない最高のスタートだ。
