慎重に進められてきた大谷翔平の投手復帰が一つの節目を迎えた。
5月23日、デーブ・ロバーツ監督は、大谷が翌日のメッツ戦前に、実戦形式で打者相手に投球を行う予定であることを明かした。大谷が打者相手に投げるのは、2023年9月に右肘の内側側副靱帯(UCL)の手術を受けて以来初めてとなる。
昨年11月にワールドシリーズで負傷した左肩の関節唇損傷の修復手術も受けたことでオフシーズンの準備が遅れ、ドジャースは一貫して慎重なリハビリ計画を進めてきた。
球団は、実戦形式に移る前に全ての球種を投げられるようになることを条件としており、21日のドジャースタジアムでのブルペンでは、スライダーやカーブを初めて投げた。
二刀流選手のリハビリにおける前例は、大谷自身が2018年の手術後にたどったものを除けば存在しない。そのため、今回のプロセスでは、大谷本人、コーチ陣、チームドクターの間で綿密なコミュニケーションをとってきた。
「ボールの質は素晴らしい。軽々と151〜153キロを出しているし、非常に良い投球だ」とロバーツ監督は語る。
「打者に対してどんなボールになるか、みんなが楽しみにしていると思う。そして本人が本格的にギアを上げるとき、私も非常にワクワクしている。だが、すべては彼とドクターの判断に委ねられている。変化球をいつ投げるのか、球速をいつ上げるのか、それも含めてすべてだ」
大谷は開幕以降、週の中頃に軽めのブルペン、土曜日に負荷の高い投球練習というルーティンで調整しており、直近では「アップ&ダウン投球」(イニングをまたいだ登板を想定した投球)を取り入れながら50球を投げた。
現在、投手としてのメジャー復帰の時期は未定だが、オールスター後となる可能性が高いとされている。
球団編成部長のアンドリュー・フリードマンも、「特に左肩の手術後ということもあり、投手として強度を高める前に、無理に早く仕上げるのではなく、万全の状態まで仕上げることを重視している。いきなりシーズンを通してのプレーは求めることはできない」と説明した。
今後、大谷が実戦形式で投球を始めれば、球団側も復帰のタイムラインをより具体的に描けるようになるだろう。なお、球団はマイナーでのリハビリ登板を行う予定はなく、シミュレーションゲーム(試合形式の投球練習)の登板を重ねてメジャー復帰を目指す方針である。
その理由の一つは、打者・大谷翔平をできる限り、公式戦で起用したいという意向だ。しかし、今後投手としての調整が本格化すれば、登板予定日の打者出場を控えるといった柔軟な運用が必要になる可能性もある。
「翔平は自分の体の状態を本当によく理解している」とロバーツ監督。「ただ、例えば土曜日の投球調整で負荷が高くなったと感じた場合、その日の試合には出ないという判断も出てくるかもしれない。正直どうなるか分からないが、そのときの状態に合わせて柔軟に対応することが重要だと思っている」
焦らず、慎重に、そして確実に。二刀流復活の日は近づいている。
