【大谷翔平特集】投手復帰後、別次元になった3つの理由

August 20th, 2025

大谷翔平が、二刀流として完全復活したのは、誰の目にも明らかだ。

投手・大谷は以前にも増して凄みを増している。直近2試合で8回1/3を投げ15三振、今季ここまで23回1/3で32三振と好調だが、2025年の大谷は、以前とは『違う投手』でもある。

エンゼルス時代とは大きく異なる「ドジャースの投手・大谷を」特徴づける3つのポイントを見ていこう。

1) 平均球速の向上

これまでも速球派だったが、今季はさらに別次元で、肘の大手術から復帰したばかりとは思えない球速をマーク。フォーシームの平均球速は自己最速の98.2マイル(約158キロ)。2023年の96.8マイル(約155.7キロ)、2022年の97.3マイル(約156.6キロ)も超える。先発投手の中で今季トップ5に入る。

2025年 4シーム平均球速ランキング(100球以上)

  • 1位:ジェイコブ・ミジオロウスキー:99.3マイル(159.7キロ)
  • 1位:ハンター・グリーン:99.3マイル(159.7キロ)
  • 3位:ジョー・ボイル:98.8マイル(159.0キロ)
  • 4位:チェイス・バーンズ:98.4マイル(158.5キロ)
  • 5位:大谷翔平:98.2マイル(158.2キロ)
  • 5位:ポール・スキーンズ:98.2マイル(158.2キロ)

ドジャースでは球速帯も安定しており、98マイル以上が63%、99マイル以上が31%、100マイル以上が10%。過去どのシーズンよりも倍近い頻度で高球速をマークしている。6月28日ロイヤルズ戦では自己最速の101.7マイルを計測。直近の登板では、100.7マイルで元同僚のマイク・トラウトを空振り三振に仕留めた。

2018年にトミー・ジョン手術を受けた後のエンゼルス復帰時とは全く異なる。手術前は平均96.7マイル、2020年復帰時は93.8マイルに落ち込み、完全復活までに3シーズンを要した。

しかし2025年の大谷は、投球フォームをフルワインドアップに変えたこともあり、復帰直後から速球が高威力で炸裂している。速球使用率は今季 45% に上昇し、スピンレートもキャリア最高の 2,435 rpm を記録。これらの要素が三振量産につながっている。

2) 代名詞のスプリットが激減

大谷のメジャーデビュー当初、武器はスプリットだった。2018年ルーキーイヤーは、スプリットで59打席中35三振、被打率.036と圧倒的な威力を誇った。

2021年にはスプリットで138打席中78三振、被打率.086。使用率は約20%だった。しかし復帰後は、使用率は4%未満で、左打者にのみ投じている。右打者にはほとんど投げず、かつてのような「絶対的な決め球」ではなくなった。

理由の一つは制球難。2023年以降、スプリットのコマンドが安定せず、今季もばらつきが大きい。また、球質自体も変化している。従来は縦落ち中心だったが、今季は横変化が顕著で、平均14インチ以上のアームサイド変化を記録。キャリア最多の横変化量となり、リリース角度が2023年の41度から35度に下がった影響とみられる。

左打者には外に逃げる球として有効だが、右打者には逆にバットの軌道に入りやすいため、使用が制限されていると考えられる。

3)新たな決め球・高速スライダー

スプリットの代わりに台頭しているのがスライダーだ。ここで言うのはスイーパーではなく、伝統的な高速スライダー。2022年終盤から投げ始めた球種で、今季は使用率11%に増加。すでに10三振を記録し、速球やスイーパーと並ぶ武器になっている。

スイーパーも健在だが、左打者相手には高速スライダーがより有効で、決め球としての役割を担っている。

平均87.6マイル(約141キロ)で、深い縦変化もあり、通常のスライダーより約2インチ多く落ちる。空振り率は驚異の57%で、スプリットを上回る大谷の『空振りNo.1球種』になった。

大谷のシーズン別 最高空振り率の球種

  • 2018年:スプリット 56%
  • 2021年:スプリット 49%
  • 2022年:スプリット 50%
  • 2023年:スプリット 44%
  • 2025年:スライダー 57%

大谷の投手としての最大の特長は、瞬時に適応し、新しい威力球を追加できること。以前はカットやシンカーで、それが今季は新たな高速スライダーの台頭によって、まったく別次元の投手に進化している。