2025年の開幕初戦は、ドジャースの層の厚さを改めて感じさせられるものだった。
開幕投手を務めた山本由伸が5回1失点で先発の役割を果たして降板すると、6回は左腕バンダ、7回には右腕カスパリウス、8回は36歳のベテラン右腕トレイネンと無安打で繋ぎ、9回は新加入の左腕スコットが三者凡退に抑えた。
ドジャースは昨季プレーオフで活躍したコペック、フィリップスらが怪我で出遅れているが、その影響を全く感じさせない強固な投手リレーを見せた。
攻撃も同様だった。
春季キャンプ後半から体調不良を訴えていた主軸のベッツが東京シリーズの開幕戦の欠場を発表し、開幕戦前日に帰国した。さらに開幕戦当日、スタメンに名前を連ねていた一塁手のフレディ・フリーマンも打撃練習中に左肋骨に違和感を覚え、急遽欠場するアクシデントにも見舞われた。
だが、昨季も怪我人の多い中で戦い、ワールドシリーズを制覇したドジャースは強かった。
攻撃の核になったのは大谷翔平(30)だった。
1点をリードされて迎えた5回、カブスは先発の今永から2番手右腕のブラウンへ早めの継投策を行う。
一死から四球で出塁したパヘスを1塁に置いて大谷が打席に向かうと、それまでざわついていた東京ドームは一気に静寂に包まれた。
「大谷の打席を見逃したくない」
そんな思いだったのだろうか。
普段は「打撃では緊張しない」という大谷も観客の緊張が伝染したのか、「日本独特の雰囲気というか、これだけお客さんが入ってくれることもそうだし、なんとか打たなければいけないという雰囲気があった」と明かし、「久々に緊張して打席に行った。(観客が)シーンとなるのはちょっと気になる」と苦笑した。
だがさすがはスーパースターだ。
大谷は2ストライクと追い込まれてからの高めに浮いたカーブを見逃さずに強振し、右翼へ運んで一死1、3塁と好機を広げると、続くエドマンがブラウンの高め直球を左翼に運ぶ適時打で同点に。さらに相手のエラーや後続打者の適時打もあり、この回一気に3点を奪い逆転に成功した。
さらに9回、先頭打者の大谷はカブス4番手のブレイジャーのスライダーを少し体勢を崩しながら右翼線への2塁打で出塁すると、3番ヘルナンデスの左前安打で4点目のホームを踏んだ。
主力選手を欠きながらも開幕戦で盤石な勝利を挙げられたのは、一人一人が自分の仕事を全う
した証だ。
春季キャンプでスミス捕手がドジャースの精神をこう語っていた。
「ドジャースでは一人一人に高いレベルを求められる。毎日、勝つために何をすべきか行動しプレーすること。日々ベストを尽くす。シーズン中もそれを積み重ねていくだけ」
初戦から「ドジャース野球」を披露した彼らの明日以降の戦い方にも注目だ。